カトリック・その他

寓意・写本から彫刻へ

リエバナのベアトの生きた時代。700年代末。イベリア半島の地図はそのほとんどをイスラムに支配されている。当時の西ヨーロッパは辺境であり、イスラムは強大な力をもっていた。フランスのトゥールポアチィエの戦いではイスラムの軍勢と戦火を交え撃退してい…

寓意・リエバナのベアトを契機として

ロマネスクからゴシック、そしてルネッサンスへと到る12世紀から15世紀初頭まで、西方の視覚芸術世界は飛躍的発展を見せるのであるが。 先日エントリで度々話題に出したウンベルト・エーコの『薔薇の名前』この表紙画がなんともへたくそなんだか怪しげにお洒…

寓意・リエバナのベアトを契機として2

先のエントリで紹介した薔薇の名前の表紙画の図像にすこし解説を加えておこう。 アマゾンの表紙を拡大して見る機能を通じてよく見てくださいです。 この表紙画に使用された絵はヨハネ黙示録の5章「小羊、4つの生き物、長老達のヴィジョン」であり、以下のよ…

シトー会の祈りの空間について

ユリアヌス先生のところでシトー派について少々やり取りをした。 聖ベルナールという人は12世紀の人で当時クリュニー修道会が全盛だった時代に真面目にシンプルな修道院生活を目指して修道院の改革をした人だ。ベネディクト会から派生したシトー会は観想修道…

黒看板キリスト教徒の謎

木走さんからご質問がありましたのでこれを取り上げます。 初詣の時期に、明治神宮とかで、「イエスを信じ、罪を悔い改めなさい。」とかいうプラカード持って何やらテープを流している人々がおられますが、彼らはナニモノなんでしょうか? 毎年、暮れになる…

洗礼式

本日はイエス様の誕生日だよ。一応、役2006年くらい前の今日とか決めているけど、ほんとは少し違うらしいよ。でも永らくいつの間にかそういうことになっていたので、とりあえず今日お祝いします。 で、今日は祖母の洗礼式も兼ねての主の降誕のミサです。主の…

キリスト教等に関する誤解再び

某ブログで「カトリックの一般信徒は旧約聖書を読まない」といった事が書かれていた。その前に「キリスト教徒は、イエスをユダヤ人ということを知らない」ということも書かれていて、少々驚いた。なんだ?その都市伝説は???御迷惑になるのでこちらではや…

へ理屈をこねるわざ

先日バール・カルト先生(カール・バルトではない)が模擬裁判というエントリで面白いことを書いていた。 裁判という現場での心得らしいよ。 http://d.hatena.ne.jp/Barl-Karth/20051215 弁護士は,司法試験に合格しているわけだし,年に数件は刑事弁護をや…

信仰について

待降節である。心を静かに主の誕生を待ち望むひとときであるので、わたくしも霊的読書などを行おうと「完全の鑑」という本を選んだ。アシジの聖フランシスコ伝記である。 ここで上記のエントリに少し関わる話がでて来る。 聖フランシスコはなんせ清貧オタで…

カトリックに対する誤解

カトリックに対するイメージがよく独り歩きをして誤解を受けていることが多い。ここで引用するのは御迷惑がかかると思うので引用はしないのですが、ある方のブログにラジオで心理学者が「カトリックの聖書読みは歴史的記録としての書物ではないという意識が…

カタリ派ゲーム

SCHOLASTICUS LUGDUNENSISのchorolynさんがこんなゲームアイディアを。 http://d.hatena.ne.jp/chorolyn/20051215/1134607637 ちなみに、中世史でゲーム化したら面白いネタないかなと、昔妄想してたことがありました。 カタリ派をゲーム化するとどうなるかと…

祈りの文のリズム感

最近の私は物覚えが悪い。ミサの式文の「信仰告白」が「使徒信条(クレド)」に代わったのはよいが憶えられない。アヴェマリアの口語訳が憶えられない。主の祈りも昔の言葉が混じってしまう。何度も唱えるのに憶えられないってのはどういうこった???と言…

95箇条の論題

コメント欄で出たルターの95箇条の論題のパロディ発見。 東京大学 メイド研究会サイトから http://maidken.hp.infoseek.co.jp/ http://maidken.hp.infoseek.co.jp/sasagawa/disputatis.html メイド服の効力を明らかにするための95箇条の論題 Disputatis pro …

ロゴスと知

先日コメント欄に「イタリア人の識字率は低い」と書いたらある方から識字率を文字通り文字が読めないとするなら「イタリア人の識字率は日本人ほどではないにせよ高い」「イタリアに住む非イタリア人は識字率が低い」とのご指摘を受けたですよ。 ところで、文…

萌えネタとしての独身制

ま・ここっとさんとコメント欄でルターが結婚した話とか、修道女が還俗する話しとかになったので、少しうにゃうにゃ考察してみた。 カトリックの神父は結婚してはならない。修道者は当然そういう道を自ら選ぶ人なわけでこれまた結婚しないことを誓っている。…

レオナルド・ボフ

カトリック神学の中に「解放の神学」というのがあって、イエズス会のゲティエレスとかいう人なんかが有名ですが南米から出てきた実践的な政治的色合いの強い神学で、南米という貧富の差の激し過ぎるような土壌という混迷した状況から必然的に生じた信仰の高…

覚悟ということ

師匠と飲んでいて、出た話だけど、昨今は覚悟のない聖職者が多い。とか言う話。 カトリックという組織は自称2000年くらい続いていることになっている。ローマ・カトリックは異端なので認めない人とか、ローマは勝手に出ていったのでそこからの歴史だという人…

カトリックの出版物

カトリックギョーカイはマイナーなので出版物といってもおよそ売れる本がでるわけではない。神学の翻訳本などは必要な人には大変必要なのだが、正直世間的には「なんだこりゃ?」な代物だろうし、信者達でも神学などに興味のあるのは一握りだ。だから注文な…

無原罪の聖母

ジョン・レノンが死んだ日は「無原罪の聖母」の日でもあった。日本人にとって「無原罪の聖母ってなにそれ?」的に馴染みない教義だろうがキリスト教世界ではローマ・カトリックがこれによって「異端」とまで言われるほど物議をかもし出すネタである。聖母、…

待降節

今度の日曜日から、待降節に入る。クリスマスを迎えるに当たって「主の降誕」を待ち望む時期という意味である。アドヴェントなどという季節だ。この時期になるとヨーロッパでもクリスマス準備が始まる。といってもあのサンタクロースはアメリカのシロモノだ…

ジェンダーと宗教とカルト問題

先日取り上げた大峯山の問題はかなり話題なようですね。宗教とジェンダー・・・。どうもネットであまり評判のよくないこれらのツールのヒエラルキアが宗教>ジェンダーになっちゃってるのを新たに発見。「宗教は嫌いだけど」という枕詞が多いのも少し悲しく…

宗教と性

昨日、大峰山を巡るフェミと宗教の話を取り上げたが、質問状のあまりの下品さに卒倒しそうになったことも書いた。こんな質問状をうちの師匠、濱ちゃんが突きつけられたらすごい激怒するだろうなぁ・・と思いつつ、実は自分も以前そのような質問をして困らせ…

宗教とジェンダー

uumin3さんがご紹介していらしたこの記事 http://d.hatena.ne.jp/uumin3/20051105#p2 大峰山での愚行 この共同の記事「女人禁制の大峰登山目指す」が気になっておりました。 女人禁制を守る修験道の根本道場、奈良県天川村の大峰山(山上ケ岳) の開放を求め…

天声人語

【天声人語】 (朝日新聞)教皇ベネディクト16世は女性司祭や司祭の独身性は論ずるに値しないと主張している。しかしちょっと待って欲しい。女性司祭や司祭の独身性は論ずるに値しないと主張するには早計に過ぎないか。教皇ベネディクト16世の真摯な姿勢が、…

全体主義のメモ

友人がメールでちくってくれたお話。 宮本久雄師によると、西欧形而上学の全体主義を完成させたのは、トマスで はなくスコトウスであったとのことです で、宮本師はドミニコ会士なので「トマスが全体主義の生みの親とされるのはいやでありまする。」と考えて…

トマス・アクイナス

スコトゥスなどの話の流れで、F神父がトマスの「神学大全」を「ありゃ、神学の入門書」「学生の勉強用だ」とか言っていた。へぇ。 確かにすごくマニュアル化されているもんなぁ。はぁ。 とりあえずトマスは「読める」けど、スコトゥスは寝るもんよ。なるほ…

靖国とカトリック

中央協議会の公文書にこんなのがあったよ。 正平協発らしいね。 内閣総理大臣 中曽根康弘殿 1985年8月15日 日本カトリック正義と平和協議会 会長 相馬信夫 首相に 公式参拝反対 要望書 信教の自由と政教分離の原則は、日本国憲法の基礎の一つにかかわ…

神観その2

思った以上に多くの方から反応があったので、少し整理してみます。 ソドム街さんへの応答に書いたように、わたくしは「三位一体」という父なる神、子なる神、聖霊という三なる神が一であるという関係性を大層美しいと思うので、神そのものに人間的な解釈に見…

神観

昨晩ミサに行ったので、堂々とだらけられる日曜日であります。さて昨日神観の話を書きましたが、今一度考察してみようかなと思います。 きっかけは『福音宣教』誌上における岡田武夫大司教の論考です。ここで彼は高名なプロテスタントの神学者が書いた「神の…

十字架の道行き

今日は夜ミサに行ってまいりましたよ。最近朝起きるという行為に対し自分を信用していないので、日曜日の主日ミサにいけないだろうと踏んで、夜の主日ミサに行くことにしましたよ。教会の時間というのは日の落ちるときから日の落ちるときまでが一日なので、…