与論島で感染者が出た件

私の家は与論島にある。

今は仕事の都合で横浜の実家に居候の身であるが、私の本宅は与論島にある。

その島に感染者が出たので天地がひっくり返るような思いをしているところである。

 

はてなさんがいつの間にかはてなダイアリーやめちゃって、あやしからん仕様のブログに変わって以来、アウェー感甚だしく、ここは放置していたが、皆様にお伝えしたいことがあるので、帰還してきた。

島ニュース

www3.nhk.or.jp

5000人の島で23人の感染者がどういうことかというと、東京で言えば3日間で6万人の感染者が出るに等しい。

 

そのような人口であるから、商業施設も限られるし、島民同士は親戚同士みたいなもので、医療施設はあの徳田虎雄氏が立てた徳洲会病院が一つ。それ以外は小さな診療所があるだけ。高齢者の比率は高く70歳以上は23パーセント。100歳以上がけっこういる。うちの祖母(実は京都出身)も余生は島で過ごしたが、100歳を島で迎えることになった。本来はのんびりとした健康的な島である。

 

しかし、人間関係が密ゆえに、感染症が持ち込まれるとあっという間に蔓延してしまう。お店やさんも皆行くとこはだいたい同じ。銀行も一件だけ。飲み屋も行くところは限られるので大体同じようなメンバーによく出くわす。ヤマトさんは顔見知りで、通りすがりにトラックから「今日は荷物来てますよ〜〜」などと言ってくる。空港に着くと「おかえりー」と言われ、機内や飛行場で知り合いがいたりする。そういう密なコミュニティである。

そういうわけでコロナについては危惧していた。島外の感染がいつかくるかもしれない。観光で食っている島であるがゆえにお客さんは断れない。

 

3月頭に島に帰った時、インフルエンザの後遺症が残っていたため、島の人との接触を避けて家にこもっていた。折しも横浜には例のクルーズ船が停泊し、最初の感染者は神奈川で、こんな土地から島に帰ってきたら島民を怖がらせるだろうし、万が一を考え、友人との飲みも断り、妹と家でずっとアマゾンプライムを見ていたのである。感染していないとわかる期間が過ぎて初めて隣家の友人と飲んだ。

その時、もし万が一、島で発症したらどうなるんだろうか?と問うた。

島では対応できないから検査は奄美大島か徳之島に行くことになるとのことであった。

「島で感染者が出たら大変なことになるね」と、呑気に話していた。

 

その友人の旦那も今回、陽性が出た一人である。職場感染である。

幸いなことに、症状はほとんどなく、健康体で、海保の飛行機で運ばれていったものの、ホテルでの隔離で済んでいる。

 

とはいえ、3日で23人の感染者。

初めの看護師さんの感染発覚からこれだけの人数である。第一号となった看護師さんの医療意識が高かったから、あれ?おかしいと気づいて検査し、たまたま島の第一号になってしまったのであって、実は感染はもっと広がっているんじゃないかと心配している。

感染者は、今わかっているので、総合病院関係者、役場の人、郵便局員。島の集配所となっている郵便局は唯一なのだが、これも閉鎖。病院も一般外来は受け付けない。唯一の総合病院が閉じてしまった。

全ての機能が動かなくなり、飲食店も全て閉まってしまい、知らずにやってきてしまった観光客だけがゾンビのように街を徘徊していると。

以前から島友人が「島に来ている観光客がマスクもせずに出歩いて、飲んだくれている」と懸念していた。「島はコロナの心配ないから〜〜」などと無防備なのはいいが、お前が感染してたらどうするんだ?!と、元は代々江戸っ子の短気なおっさんなので、観光客見るたびに血圧を上げていたが、今回の件でますます血の気を上げているので別の意味で健康が心配である。

 

Gotoトラベルで島のような観光地に来てくださるのは平時なら嬉しいことである。

でも、今、島の医療インフラは機能していない。高齢者が多い島でコロナが蔓延したら行くところはない。現時点では少数なので、奄美大島や県が助けてくれるが、患者があふれかえったらどうなってしまうんだろう。島外での入院は費用だって大変だ。

 

だから、今は感染者が多い土地から「心配のない土地」への観光移動はやめてほしい。本当は、こんな遠方の島に来てくださる観光客に感謝しているし、もてなしたい。島民はそう思っているけど、今は、済みませんとしか言えない。その気持ちを汲んでほしい。

www.yoron.jp

 

来島者及び島民の皆様の安全を守るため、与論島への来島及び島民の島外への移動は、当分の間、極力自粛していただくようお願いいたします。

 

島はいつもお客さんを大切にして喜んで受け入れてきた。

ですが、今だけはよろしくお願いします。

 

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ちなみに私は今年度はもう島に帰らないと決めた。しかも首都圏がこんな体たらくじゃ2年ぐらい帰れんかもしれない。とはいえ家が空き家になるので江戸っ子の友人夫婦に住んでもらうことにした。島の繁華街に住んでいて無防備な観光客見るたびに怒るので早く引っ越せと言っている。