天声人語

【天声人語】 （朝日新聞）

教皇ベネディクト16世は女性司祭や司祭の独身性は論ずるに値しないと主張している。しかしちょっと待って欲しい。女性司祭や司祭の独身性は論ずるに値しないと主張するには早計に過ぎないか。教皇ベネディクト16世の真摯な姿勢が、今ひとつ伝わってこない。例えば日本カトリック司教団からはカトリックはもっと開かれるべきと主張するような声もある。このような声に教皇ベネディクト16世は謙虚に耳を傾けるべきではないか▲思い出してほしい、過去にも何度も教皇ベネディクト16世は日本カトリック司教団の叫びを無視している。教皇ベネディクト16世は日本カトリック司教団のカトリックはもっと開かれるべきという主張を間違いであるかのような発言をして、市民団体などの批判を浴びた。陳謝したものの「真意が伝わらなかった」と発言の撤回はしなかった。 確かに日本カトリック司教団にはバチカンに批判的という問題もある。だが、心配のしすぎではないか▲教皇ベネディクト16世の主張は一見一理あるように聞こえる。しかし、だからといって本当に教皇ベネディクト16世は女性司祭や司祭の独身性は論ずるに値しないと主張できるのであろうか？それはいかがなものか。的はずれというほかない▲事の本質はそうではではない。その前にすべきことがあるのではないか。教皇ベネディクト16世は、未来を担う一員として責任があることを忘れてはならない。教皇ベネディクト16世の主張には危険なにおいがする。各方面の声に耳を傾けてほしい。▲教皇ベネディクト16世に疑問を抱くのは私達だけだろうか。女性司祭や司祭の独身性は論ずるに値しないと主張したことに対しては日本カトリック司教団の反発が予想される。カトリックはもっと開かれるべきという主張を支持する声も聞かれなくもない▲
教皇ベネディクト16世もそれは望んでいないはず。しかし教皇ベネディクト16世は頑固な保守の伝統主義者である。女性司祭や司祭の独身性は論ずるに値しないと主張する事はあまりに乱暴だ。教皇ベネディクト16世は再考すべきだろう。繰り返すが教皇ベネディクト16世は頑固な保守の伝統主義者である▲教皇ベネディクト16世の女性司祭や司祭の独身性は論ずるに値しないと主張したことは波紋を広げそうだ。今こそ冷静な議論が求められる。

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