ブッシュ君が教皇をSir呼ばわりしたことを新聞が騒いでいる件について

こんなニュースが流れていたらしい。

バチカン関係者あぜん、ブッシュ大統領が法王に「サー」

http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2237452/1679521
【6月10日 AFP】バチカン市で9日、ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)に内謁したジョージ・W・ブッシュGeorge W. Bush米大統領は、法王に対し用いられる尊称「聖下(His Holiness)」ではなく「閣下(sir)」と法王に呼びかけたと報道された。

 当時の代表取材記者によると、奉仕活動のグループ、聖エジディオ共同体(Sant’Egidio community)の代表と今回の訪問中に面会するかどうか法王から尋ねられたブッシュ大統領は、「はい、閣下(sir)」と答えたという。

わたくしは英語のことが判らん。だからこの手のプロトコルもよく判らん。
しかしカトリック信者でもないブッシュが猊下呼ばわりするってのもなんか違うんでないか?とも思うので、敬語としてのSirのナニが悪いんだ?と思わなくもない。


まぁ、郷に入れば郷に従う日本人にとっては「失礼」と思う人もいるかもしれないけど、(そういう日本人の性質の利点ってのは多いにあると思う)逆にアメリカ人がイタリア人に嫌われていたりするのは、行儀の悪さや傍若無人さだったりするんで、上記記事のブッシュ君の態度

さらに、書斎で机を挟んで法王に向かい合ったブッシュ大統領は、足を組んだ「テキサス流」のリラックスした姿勢をとっていたことも指摘されている。

・・ってのは、嫌われるかもしれない。この手の行儀悪くて俺様アメリカ人旅行者をすごい目で睨んでるおばさんとかおじさんをよく見かけたですよ。「あなたもこいつらがトンでもだって同意するわよね!」ってこっちに降られたこともあったですよ。まぁそう思ったのでうなずいときましたが。

しかし嬉々としてこういうニュースを載せるマスメディアってのは、なんだろうね。
ブッシュが馬鹿。ってまぁ思う事はよくあるけど。。。。

バチカンはあぜんとしてないと思うがマスコミがあぜんとしたんだと思う。

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ブクマにこんな方のエントリが紹介されていた。勉強になるなぁ。

○tnfuk [today's news from uk+]
http://nofrills.seesaa.net/article/44449162.html
米大統領教皇をSir扱いする。

この方もプロテスタントの大統領がなにもバチカンのお作法に従う必要はあるまいとしている。

各国の記者が集まるような、全世界的に注目を浴びる場で、米国大統領が教皇のことをHolinessで呼ばずsirと呼ぶ、というパフォーマンスを実行している。これはどう考えても、「米国はあなたの権威の下にはない」ということをはっきりと示すためのものだ。

という分析を載せておられる。
更に、考えて見るなら、国内で増え続けるカトリック信徒(このうち保守な立場の人々はブッシュ支持だ)、ブッシュが属するプロテスタント保守派、ブッシュ反対陣営でもあるリベラルプロテスタント、とまぁ複雑なアメリカで、宗教を利用した政治を行ってきたブッシュ君。ここでこういう態度に出る意図はナニか?南米で起きている反アメリカ的な動きとバチカンとの関係なんかもあるのかな?先日教皇がブラジル行ってたし。。。と、妄想してみたり。

(ただしひとりひとりのカトリック信者の感情の問題は別かもしれないが。)

あんまりどうこうもないですね。
カトリック信者は教皇信者というわけではない。教皇はあくまで神との橋渡し役の司祭であるにすぎず、組織をまとめる司教の一人であり、またそれら司教達の代表者であるに過ぎないので神性冒涜などということはないです。他者への敬意としての敬語を使ってるのだし。

ゆえにこのブロガーさんが書いておられるようにバチカンが問題にするはずもないとは思います。

メディアのほうが騒ぐってのも変ですよね。


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ついでにもう一つ馬鹿珍・・・バチカンニュース

▼「神の銀行家」変死、マフィアら無罪 謎解けぬまま…
http://www.asahi.com/international/update/0608/TKY200706080037.html

 ローマ地裁は6日、バチカンとの深い関係から「神の銀行家」と呼ばれたイタリア最大銀行の頭取が25年前、銀行倒産後にロンドンの橋で死体で発見された事件をめぐり、殺人罪などに問われていたマフィア幹部など5人の被告全員に無罪判決を言い渡した。

 事件では、背景となった銀行倒産の原因にバチカン宗教事業協会(通称・バチカン銀行)関連の多額の融資焦げ付きが指摘され、波紋を呼んだ。当初自殺とされながら、遺族らの訴えを機に05年に公判が始まった。検察側は動機として頭取が過去のマネーロンダリングを暴露するのをマフィアが恐れたことなどをあげたが、判決は4人について証拠不十分、1人について「証拠なし」とした。

 変死したのはアンブロシアーノ銀行頭取ロベルト・カルビ氏。82年夏、13億ドル(約1600億円)の不正融資による焦げ付きが発覚、その数カ月後にロンドン中心部セントポール大寺院近くのテムズ川の橋の下で首をつった状態で発見された。ポケットに多額の現金やれんがが入っていたが、英当局は自殺と判断。遺族は納得せず、専門家を雇って調査し、カルビ氏の靴に付近の土を踏んだ痕跡がなかったことなどを突き止めた。

 カルビ氏の死後、イタリアの司法当局は87年、バチカン銀行の総裁に対し、「アンブロシアーノ銀行を倒産に追い込んだ」などとして逮捕状を出したが、バチカン市国は引き渡しを拒否した。

おおお〜こりゃタイムリーだ。個人的に。

実は今この本読んでるのだ↓

秘密

秘密

ソレルスは正直読みづらい。
詩のような文で、バチカンの秘密に迫るミステリー。マフィアとバチカンの因縁というお話を書くもんだから。それも欧州の知識人なら当たり前にしってるよね♪な感じ。丁度、あのこれまた読みずらい『ユリシーズ』を彷彿とさせる古典と歴史知識でぐにょぐにょしている。あんまり南島の馬鹿すっぽ抜けた天気のもとで読む気が起きる本じゃないので挫折し掛かってます。『ルーブルの騎手』と共に冬まで封印するか?

しかし、あやしいなぁ。この判決。