宮城谷昌光と塚本青史の本をダラ読み

最近中国ネタをずっと追っていたせいもあって脳が感化されやすいわたくしは、マルケスの短編集をほおり出して、家にあった宮城谷さんとかの中国講談本読んでました。なんかあまのじゃくなんで一方的に叩かれている場面ではそういうののいいとこを知ろうとかそういう方向に行くのよ。つまり、まぁ世が否定的になる時、それを逆に評価したくなるための材料探しがしたくなるというか。そもそも中国は好きだったんで、劣化甚だしいのが悲しかったというのもあるんだけど。
まぁ宮城谷さんの本はこれでもう何度目なんだというぐらいの再読。再読に堪え得るだけの内容なんですごい。特に晏子

晏子(一) (新潮文庫)

晏子(一) (新潮文庫)

これは文庫判なのですが私の持ってるのは単行本で、実は宮城谷さんのってこれを一番はじめに買ったかもしれない。もしくは『重耳』だけど『晏子』はジャケ買い的に購入。本の風体に気品がある本はジャケ買いする。逆に気品がないと購入が萎える。この場合は質感が気に入った。なんせハンコ部分と題字にまで凝ってる。そこだけコーティングしてるんだな。
まぁ本文は宮城谷さんなんで、いつもの宮城谷さん本だというだけである。つまり春秋蘊蓄てんこ盛りで、ジャケと同じようなそれなりの風格があるので安心して読める。中国の賢人達が大量に出てくるんでどれが誰だか、別の本の主人公が別のトコに出てくるのでだんだん小説同志の境界が容喙してナニがなんだか判らなくなるけどまぁいいやって感じ。まとめて読むとその時代に詳しくなるどころか余計に判らなくなったりもする。でも、それはこの春秋戦国の世がそんな時代で、さっきの主人公は今度は敵方とか人が国を超えて移動したりもするので今この人どこの国にいるの?とか迷ってしまったりもしますし。
そんな複雑な春秋戦国史は未だそういうわけで判んないんですが、同じ頃というかその末期の時代の小説が家にあったので手に取った。
これね↓
白起

白起

白起とは秦の将軍で、常勝将軍と呼ばれたほど激しく強い人だったそうだ。ほぉすごい。
我父はそんな大変に強い、しかもあの大量な人民と国が組んず解れつしている日本のスケールを終えたような世界で常勝なんていうのはすごいってんで、この将軍を大変に気に入っていた。そういうわけでこの小説本が出た時はすかさず買って読んで、すげーすげーと喜んでいた。
で、その本が何故か島の家においてあるのは親父が持ってきて忘れていったからなんだけど、読んでなかったので事のついでに読んだろと思って読んだ。


・・・・・・・・・詰まらなかった。

宮城谷さんと比するとどうも冗長で、白起もっと活躍しろとか思うのにそういう戦闘シーンはさらっとかいて終わり、時代の政治の複雑な様をうだうだと書いている有り様で、この時代の歴史の複雑さが面白いと思っているのかもしれないんだが、それやっちゃうとわけが判らないのは宮城谷本を読むとどんどん判らなくなるということで体験済み。それを一つの小説でやられてしまってはもう道に迷いまくることこのうえない。せっかく強い男を主人公にしてるなら講談本的にもっと活躍させたりドラマティコにしてよなどと思うんだけどなぁ。キャラ立ってるはずのがキャラ立ちしてないです。孟嘗君がさらっと出てきてて、宮城谷さんのそれが読みたくなった。それは実家にあるんだな。。。。泣)
まぁ、ちょっと選んでる語句とかが、今っぽ過ぎるというか、春秋を書くにはなにか違うような・・的に現代風すぎて、そういう辺りでも、のめり込めないところがあるのかな?とは思いました。あと、市井の人の言葉が名古屋弁とか。それ佐藤賢一氏もやっていて、オック語圏の人の言葉が関西弁ってのはなぁ。それは嫌だと編集者にお伝えしたことはある。なんか違う方向にいってしまうんですよね。気持ちが。

そういうわけで途中で苦しくなってやめちゃいました。マルケスに戻りました。

ただ、この作者の本、別のも読んでみないと判らないので、sumita-mさんがエントリで紹介していたこともあってそれを読んでみることにしようとブクマ。
○Living, Loving, Thinking
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080602/1212418220
■『張騫』など

あとよんだ宮城谷本。どっちも再読。

子産(上) (講談社文庫)

子産(上) (講談社文庫)

沙中の回廊 上 (文春文庫)

沙中の回廊 上 (文春文庫)