書評

『考える生き方』finalvent ちょっと気まずい気持になるけど日常をほんのり豊かにする著作

はてなや極東ブログ、Twitterで活躍しているブロガーfinalventさんが本を出したってんで、購入して読んでみた。なんとなくちょっと気まずい思いがした。考える生き方作者: finalvent出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2013/02/21メディア: 単行本(ソ…

「台湾海峡ー一九四九」龍應台 戦争が踏みしだいていく人々の記録

久しぶりにブログを書く。すっかりここ使うの忘れとった。今日は終戦記念日。ちょうど読み終えた本があったんで紹介でもしてみる。 台湾海峡一九四九作者: 龍應台,天野健太郎出版社/メーカー: 白水社発売日: 2012/06/22メディア: ハードカバー購入: 2人 クリ…

『時間封鎖』ロバート・チャールズウィルスン 世界の滅亡を前にじたばたするアメリカの人々の例

正月からこっちなんか色々本読んでる。書評がたまりまくったんでまとめ書きしてるんだが、本当は本日は26日。でも沢山あるんで遡った日付にしてますよ。先日東京創元社のSF文庫は何故か漢字率が高いと書いたが、漢字で埋め尽くされた題字の本があったので…

『L'INCAL-アンカル』ホドロフスキー/メビウス 80年代SF映画に影響を与えた超名作

昨年暮れに驚くべき名作が出版された。偉大なるホドロフスキーとメビウスの『アンカル』である。わたくしはこれを青葉台の本屋で発見して卒倒しそうになりましたですよ。世間から大層疎くなっていたのでまさかこんなすばらしいことが世の中で起きていたとは…

『逆転世界』クリストファー・プリースト 超へんてこな世界が萌える

ツイッターで愛・蔵太氏が『異星人の郷』について呟いていらしたのを読み、なんでも中世のドイツの村に異星人がどうたらという設定で、中世!ムッハー!な私の琴線にいたく触れたので、先日仕事帰りの本屋でそれを探すべく本屋のハヤカワ創元社棚に突進した…

『醜聞の作法』佐藤亜紀 近代から人間は進歩していない

元旦早々、書棚にある堆積された文庫本を整理していたらルソーの『ジュリ・新エロイーズ』が出てきた。一巻目を読んでなんじゃこりゃぁ?と思って放置していたのだな。スコラ学の雄アベラールって、勇ましい神学文書書くもんでカコイイ!と、エチエンヌ・ジ…

『バウドリーノ』ウンベルト・エーコ 中世から人間は進歩していない

元旦だ。 昨年はツイッタにはまってブログを放置しまくった。その間、世間様では様々な事件が起きていた。尖閣諸島で中国様があやしからん行為に及び、日中両国が国家間でナニか事なかれ的に済まそうとしたところ、証拠ビデオが流出し国民の怒り爆発、双方の…

『不毛地帯』山崎豊子 やな性格の親父カタログ本

2月に友人が島に遊びに来ていた時、ちょうどテレビのドラマで山崎豊子の「不毛地帯」をやってるよ。と、それがたいそう面白いとの話。実家に帰った時、この山崎の古い新潮文庫(老眼対策してない頃のね)があったので島に持ち帰って来た。読んだ。不毛地帯…

『ミレニアム』スティーグ・ラーソン 勧善懲悪的なスウェーデンの社会派ミステリ

昨年の様々なミステリ大賞で名が挙がっていた作品『ミレニアム』 本屋さんの店先に平積みになっているその様から『ダヴィンチコード』や『ゲームの達人』を連想してしまい、なんとなく敬遠していたが、一応ミステリ業界で評判らしいということで読んでみよう…

「ペルディード・ストリート・ステーション』チャイナ・ミエヴィル 圧倒的幻想世界

わたくしは本屋さんで本を買うのが好きである。書物という形状にパッケージングされたそれの放つオーラで本を買う。いわゆるジャケ買い人間である。視覚的に実存状態でないと好きな本のにほひがどうもつかめない。つまりネット買いが出来ない体質であるので…

というよりこれから買う本

1968〈上〉若者たちの叛乱とその背景作者: 小熊英二出版社/メーカー: 新曜社発売日: 2009/07/01メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 129回この商品を含むブログ (94件) を見るネトしていてたまたま見付けた。忘れるといけないから備忘。わたくしはどうもこ…

『激しく、速やかな死』佐藤亜紀 視覚的な解説を試みる

ええと、やっと集英社の仕事を出したんで、一息つき中。今日は堕落する。寝たりゲームしたり本を読んだりする。ところで昨日、仕事の重圧からの逃避でぱそをアップ。佐藤亜紀さんの本について触れましたら、大蟻食さんがいらしてくださったので、それの御礼…

『沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史』佐野眞一 打ち砕かれる南島幻想

島はついに梅雨が明けて凶悪な天候に晒されていて大変。先日まで寒いです〜などと言っていたのに、いきなり刺すような陽光に焦げつく大地から立ち上る湿度で暑さ倍増感。洗濯物は速効で乾くが、身体はそれについていかない。お陰で仕事をする気が全然起きな…

島雨に、渋谷陽一の忌野清志郎追悼本を読んだ

島は梅雨まっただ中で空梅雨状態が続いていたのがついに4日前ほどからどかどかと雨が降り注ぐ日々が続く通常の季節の相貌となった。真夜中に雷がどすんばたんとやっているので眠れず、仕方がないのでぱんぱんと海に落ちる稲光を眺めて珈琲を飲んでいたら余計…

『エリーゼのために』忌野清志郎の話を更にしつこくするが今度は芸術についてだ

いい加減、もう清志郎はいいだろ?と思う方もいるだろうが、15年ぶりの再会なんだから赦してくださいです。本日、本棚に清志郎が昔出した詩集があるのを発見した。我が家の書棚は4次元スポットが多いので何冊かあったはずだが見つかったのは『エリーゼのため…

今日は少しだけトロピカ

相変わらず寒い島であるが、晴れているので外はトロピカルである。単に我が家がコンクリなのが寒い要因かもしれない。しかも床が石だしな。ケータイもうっかり落とせやしない。畳とか木にしたかったんだが腐るんでやめたんだよ。アトリエなんかただのコンク…

『時間都市』J・G・バラード 死去の知らせにびっくり

ぱそさぼりしています。いいかげんメールチェックしないとと立ち上げたらメールが沢山入っていた。げー。 私は常から筆無精で電話無精で、とにかくまぁ色々と無精である。書かなきゃと思いながら返事が書けず、電話しなきゃと思いながら気がついたら夜中であ…

『テンペスト』『奄美自立論』奄美と沖縄、琉球弧という「周縁」の世界における相違

先日こんな記事をブクマした。○台湾は日本の生命線 http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-716.html ■ 証言の「断片」のみ放映―台湾の被取材者が怒る反日番組「NHKスペシャル/シリーズ・JAPANデビュー」 台湾を応援しているようでその実…

『深海のyrr』フランク・シェッツィング なんじゃか変な世界同時多発テロな海洋ミステリ

庭の一部が海に接している我が家から見える光景は海である。朝から晩まで海。なので海系の物語はつい読みたくなる。漫画でも『万祝』や『One Piece』や『海獣の子供』などはつい「海モノ」というキーワードだけで買ってしまった。さて、島生活に戻ってから、…

『悪人顔ですみません』ベネデイクト16世 昨今評判が悪い教皇による弁明

http://airbook.jp/AirSIN/14673# 最近、ローマ・カトリックの教皇は「失言」等の問題でメディアにぶっ叩かれまくっていて、我が国の麻生太郎並である。 曰くムスリムを馬鹿にしたとか、コンドームについての科学的認識が著しく欠けているとか、ホロコースト…

『薔薇の名前』ウンベルト・エーコ 鰤ネタにつられてみる

ええと、鰤さんからトラバが来ていて、それでコメ欄に書こうと思ったのに何故かわがパソでは書き込めないという、もしかしたら悪霊の仕業か?!な妨害・・いや、単に鰤さんとこのブログの仕様とわがパソの相性が悪いらしいので、返事がてらエントリを書くこ…

『泣き虫弱虫諸葛孔明』酒見賢一 我、ついにはてな村の宗教の地に領土獲得し、三国拮抗する

まずは、はてな村ネタです。http://hatenarmaps.com/view/antonian上記のようにオーストラリア状のはてな村国家にわが領地が獲得されましたよ。 「宗教」領土を形成するのは3ブログ。touryuuuanさん(誰?)とragarajaさん(誰?)とわたくし。孔明の天下三…

『マングローブ―テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実』西岡研介  色々疑り深くなりそうな怖い本

評論界の武闘派、福田和也はなんか怖そうなおじさんで睨まれたくないんですが、このおじさんが「怖い」と書いていたから興味を持ってしまい、買ってしまった本です。マングローブ―テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実作者: 西岡研介出版社/メーカー: 講…

『砂の器』『ゼロの焦点』松本清張『飢餓海峡』水上勉 暗い戦後小説読みまくりな日々

土日がぽっかりと休みとなったのでだらけて読めそうな楽な小説を読もうと思った。有名で誰もが読んでいるはずみたいな存在なのに読んでなかった系の古い小説を読みたくなったのだな。松本清張や水上勉というと両親や兄が読んでいて家によく転がっていた。物…

]『ローマ亡き後の地中海世界』塩野七生 全部読んじゃったんでつまらない

結局全部読んじゃったんで、あとが二月に出るとかですごくつまらない。下巻を早く出してくれ。待ちきれないです。ローマ亡き後の地中海世界(上)作者: 塩野七生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/12/20メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 17回この商品を…

『ローマ亡き後の地中海世界』塩野七生 初読みはこれ

元旦の初読書はこれ。新年明けての初読み。ローマ亡き後の地中海世界(上)作者: 塩野七生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/12/20メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (52件) を見る中世のなかなか語られない時代の歴史。隙間家…

最近読んだ本を羅列する。エコなのとか、国家論なのとか

このところフランシスコ麻生太郎ローゼン閣下の衰退が激しく、麻生太郎の口の悪さを愉しむコミュもなんだか楽しめない。景気対策ではがっかりさせられ、口の悪さは切れがないどころか、困った領域に突入していて愉しむレベルではない。ストレス溜まりすぎと…

『街場の教育論』内田樹 大学が抱える問題の処方箋になるか?

いつもののぞいている『美徳の不幸』さんのブログ。呟きみたいに面白いことを書かれているので、読んでいます。 そこで『ハチミツとクローバー』に関する感想がちょこっとでていた。その中で気になった記述。 ○美徳の不幸 http://d.hatena.ne.jp/t-kawase/20…

『小説フランス革命シリーズ』佐藤賢一 悩める漢たちの群像

世間は「テロルか?」という感じで大騒ぎであるが、テロには超ムカつくということを今日書いた。暴力が日常にやってくるって野蛮なのはやめようや。戦争とテロは嫌だね。わたしゃ安穏と生活したいんですよ。ヘタレですから。さて、その暴力で以て政治的目的…

『虹色のトロツキー』安彦良和 団塊革命家の見た泥沼の満州

uumin3さんのところで安彦さんが学生運動家でガッコで暴れて処分を受けていたという話が出ていた。ああ、アムロみたいなヤツだったんだなぁなどと感想を持った。○uumin3の日記 http://d.hatena.ne.jp/uumin3/20081110#p1 ■安彦良和さんのこと なんでも、弘…