キョンシーの服飾

キョンシーで思い出した。教会で我が師、濱ちゃんにカテキズム(カトリックの教義)を教わっていた頃の話です。授業が終わってなんとなく雑談をしていた時に中国ゾンビ、キョンシーの話が出たのですね。すると我が師は「あ。それ、僕、知っているよ。こういうのでしょ?」といいながら、そこら辺をぴょんぴょん飛びはじめました。一応、尊敬する我が師。しかし世間に激しく疎い濱ちゃんがキョンシーホラーを知っているとは?!正直、対応に困りましたがそれよりも、キョンシーの格好が妙に似合いそうで嫌。こんな感じ↓

話を聞くとどうやら姪っこにねだられて映画を一緒にレンタルして見たらしいです。そして気にいったらしい。

ところで上記の師匠が着ているキョンシーの服ですが、清代のお役人さんの衣装なんですね。キョンシーはことごとくそういう衣装を身に着けていますから、清代の伝統的な仏様用の衣装だったのでしょうか?白い衣装を纏う日本の伝統的な葬儀とは違うんですね。
この清の官僚の衣装ですが、満州族固有の帽子の頭頂部(頂載)には玉が飾られていて鳥の羽が施されています。この玉や羽根の種類で官位の高さが決まるということで、孔雀の羽根はかなり高い地位の人です。一番位の高い人の玉はルビーです。また長衣(黼服)の刺繍の模様も位階によって違います。皇族は円形ですが官僚達は文官も武官も矩形。一番偉い文官は鶴、武官は麒麟などと種類も決まっています。
このように衣装を一目見て判るような方法論はカトリックなどでも見られます。教皇枢機卿大司教>司教>司祭>助祭と違います。この手の衣装による視覚的分類法は面白いですね。こういうのは「平等」という観点からするとトンでもないことなんでしょうが、美術的にはすごく興味深いです。

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これが第一作目。2作目は子供のキョンシーが出て着て可愛いということで人気が出たようです。私は映画のシリーズの2.3ぐらいまでしか見ていないんですが、調べたら7とか・・かなり続いていたんですね(^^;日本ではテレビシリーズが放映されて余計に人気が出たらしいです。テレビシリーズは見たことがないのですが、聞けばかなりチープだそうで。映画のもかなりチープなので、それ以上チープだとさすがに見るに耐えないかもしれない。
ストーリーはあってなきに等しい。期待するだけ無駄ですが、カンフーのワザとテンポと怪しげな道術のファンタジーが異質で面白いですね。私自身は清代の、乾隆帝やら康煕帝の頃の文化に興味があって、当時の風俗を知るには映画を観るのが手っ取り早いということで借りてきて嵌まりました。まゆ毛の繋がった主人公の道士役のラム・チェンイン(林正英)の身のこなしがなかなかよいのでファンになりましたよ。モンティ・パイソンの青野さんの吹き替えもよかったのかもしれない。
最近まで安倍晴明の「陰陽師」などが流行っていましたが、それより前に中華版陰陽師のこの映画が流行したということで、この手の呪術ファンタジーというのは一定のニーズが在るもんだと思いました。「ハリーポッター」などもそれ系ですよね。西洋の魔術ファンタジーは非常に古典で「指輪物語」に代表されるあの世界は映像媒体が発達する前から人気があり、日本でも翻訳されたり、様々な童話などにも出て来てなじみがありますが、中国の呪術世界は馴染みがありませんね。その点でも、この「霊幻道士」シリーズは物珍しい存在だったと思います。なによりも説明を求めたくなるような伝承的決まりごとが当たり前のように存在しているのが不思議でしたね。香港は当時はまだイギリス領で、経済的にも発展した東京と変らないようなところというイメージ世界だったわけですが、そこでこのような文化が息づいているというのは当時はちょっと新鮮でした。イタリアで白黒の古そうな中世モノのドラマを見てしまった時ぐらいの驚きです。そのイタリアの時代劇のタイトルは「マンドラゴラ」。マジにマンドラゴラを引き抜くシーンが出て来て笑った。
異文化との出会いは面白い。

*ところで、霊幻道士を調べる為にアマゾンを漁っていたら「貴方へのお勧め」が全てこれになってしまった。なんとなく嫌な気分である。