『秘密の新撰組』三宅乱丈 疲れたときの一冊
まぁ、なんか忙しくってパソする暇もないやってなぐらいでメールチェックすら怠っていた。コメントのお返事も遅くなってごめん。
さてそんないそがしい時は馬鹿漫画を読むに限る。最近ちょびっとだけギャラが入ったので、目をつけていた三宅乱丈の漫画を先ず購入したよ。
- 作者: 三宅乱丈
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2005/07/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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実際はまぁ過激派というか、長州辺りから見るなら怖いテロリスト。左翼にとっての暴走する日本赤軍とか、右翼にとっての街頭右翼的存在としか思えないんだが、本人達はいたって純粋で真面目。まぁどこも純粋過激派はそうなってしまうという悲劇といいますか。おそろいの派手な法被着てるあたりも馬鹿っぽい。扱い方を間違えればそんな馬鹿にしかならなさそうだが、やはり歴史小説家の手にかかれば理想に燃えた漢。三国志並みの物語に仕上がるんである。
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1972/06/01
- メディア: 文庫
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で、そんな漢な過激派のおっさんたちを『ぶっせん』の三宅乱丈が書くとすごく笑える存在になってしまうのが、この『秘密の新撰組』
設定で既にどうよ?笑)というか・・・
つまり、密偵行為用に怪しげな女性ホルモンが大量に分泌される薬を用い、女に偽装して長州の動きなどを探っていた新撰組幹部。それはごく一部の幹部の秘密であったのだが、豪放磊落なのを通り過ぎて、ナニも考えていない近藤勇のいたずら心によって、土方歳三をはじめとする幹部数名がその薬を飲まされ、胸に乳房が生えてしまうという設定。しかも服用を誤ってしまい元に戻らない事態に。
・・・この設定からしてかなりすごい。新撰組萌えな方々が怒りそうである。
そういうわけで新撰組の「秘密」とは「近藤勇をはじめとする数名に乳房がある」ということ。で、これを隠すのに必死になったり、女性ホルモンのせいで性格までもが女性化してしまう者が現れたり、女性化した姿が美しすぎてほれちゃったり、混乱したりという設定。男同士の汗臭い世界に「おんな」臭さが入り込んでトンでもなことになるという新鮮組みマジ萌えな人が怒りそうなスラップスティックなギャグなはずなのだが、歴史に記された事態は非情にも過ぎていくので、けっこうマジにその辺りは描かれている(幕府と帝の思惑の間にあって悩むとか)というアンバランスさが面白い。登場する志士達が基本的にみんな熱い漢で描かれているんで新撰組萌えな人も納得できる一冊(?)。
まぁほんとは少女マンガ風にアレンジされちゃった新撰組物語へのアンチテーゼかもね。人気キャラの沖田総司の扱いなんか酷いし。
とにかく三宅乱丈の持ち味が全開で楽しめる漫画です。三宅乱丈は最近『イムリ』という真面目な本格ファンタジーなどを書いていて、三宅風としか言いようがない彼独特のギャグが読めないんで寂しかったんだがこっちでその方面を放出していたんですね。
悩めることがあったり辛いときなどに読むといいかも。あまりの馬鹿馬鹿しさに疲れが取れる漫画でありますよ。