最近読んだ漫画『累』と『ハチミツとクローバー』

うちの生徒は美大生の性か、コスプレとか、フィギアとか、ゴスとか、ロリとか、いわゆるな趣味を持っていたりするのが多い。で、先日も友人達で撮ったコスプレ写真を見せてくれた。『ONE PEACE』と『ハチミツとクローバー』『NARTO』のコスプレって辺りがイマドキである。『NARTO』と『ハチミツとクローバー』は読んだことがない。と言ったら、『NARTO』を貸してくれるというので楽しみにしていた。
しかし、何故か「『NARTO』が見当たらないんで、これ貸してあげる〜」と持ってきてくれたのがこれだった↓

累 巻之壱 (BEAM COMIX)

累 巻之壱 (BEAM COMIX)

え〜
ギャグ漫画期待していて、怪談物に化けるとは・・・・。
正直、ナルトな世界が遠のいて、がっかりしながら、家、帰って読んだ。
怖かった。

三遊亭圓朝の『真景累ヶ淵』という古典の怪談話とその「累ヶ淵」の伝承に題材を得て作られたこの漫画の作者、田邊剛の描写はすごい。とにかく日本の伝統的な怪談のあのおどろおどろとした湿度ある闇の世界をリアルに再現している。読んでいて思わず背筋が寒くなる。江戸の流れの伝統文化というのはこういう闇を巧く表現するよなぁというか、男女のこうどろどろとした陰湿な関係性というのは普遍的で、現代にもあるわけなんだけど、犬も食いたくないそれを文学的にまで高めてしまうってのはすごいよな。天才だよ。圓朝
これ、島のあの家(隣家は離れていて、前は海、横はジャングル、近所に寂れた海岸と墓場あり)で読まなくてよかったです・・・・。おトイレ行けなくなります。

で、も一つが『ハチミツとクローバー
ぜんぜん世界が違う。メルヒェンである。

ハチミツとクローバー 1 (クイーンズコミックス)

ハチミツとクローバー 1 (クイーンズコミックス)

よく聞く漫画なので学生に「面白いか?」と聞いたらマジ面白いという。少女マンガの雄といえば(というか「雄」という修辞は適切じゃないが)これまた人気の『NANA』がある。『NANA』は読んでいるんで、「どっちが面白い?」と聞いたら「当然『ハチクロ』でしょ〜」という答えが返ってきた。「ナナは嫌いなの」だそうだ。
美大生には『NANA』は受けが悪いらしい。わざとらしいとか、鼻につくとか、そういう回答。まぁ確かに、ご都合主義的な内容に加えて、おされっぽそうに見えて実は田舎臭い。今時パンクでピストルズで、それでヴィヴィアン・ウェストウッド・・・って・・・イモ臭いというか、貧乏臭い。なんか世界がおされもどきなんである。
で、おされを一応探求している美大生にとっては、ナナはあんまりアプローチしなかったようだ(まぁナルトのコスプレしてる人々にいわれたくないかもしれないけど)

で、そういうイマドキな美大生にとって『ハチミツとクローバー』はヒットするらしい。舞台も美大だしね。

だが、読んだ正直な感想は「樹村みのりか、陸奥A子か・・・・これは?」であった。現代版、メルヘン漫画というか、現代なだけにギャグはお約束だが、どーにもわたくしにはアプローチしなかった。大人になるってやぁね的に。
集英社というのは、伝統的に『NANA』路線と『ハチクロ』路線を継承していて、いやすごい、時空を越えて、継承されて行く文化。娘達はこういう漫画を読んで、恋愛体質を身につけてしまうんだな。

まだ二巻しか読んでないんだが、どこが「ハチミツ」で「クローバー」なのか謎である。それと美大である必然性がよく解らん。まぁ以下乞うご期待。

ところで『ナルト』は何時読めるんだろう?