『医療崩壊』小松秀樹

横文字に弱い私は「インフォームド・コンセント」って言葉はなかなか覚えられない。どうも頭の中でコンセントの数を増やしたりするリフォーム??などと建築用語っぽい方向に連想が行くので、それが医療用語だと馬鹿頭脳が認識しないんだな。
でもこの本読んでやっと、ちょっと頭に入った。

医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か

医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か

この本実は入院中に読んでいたんだけど、あまりにリアルな環境で読んでいたので読みながら寝ていると、本の中での出来事と現実が溶解してきてあんまりよろしくないので途中でやめといた。だって手術の描写とかリアルすぎてなぁ。ガーゼの重さで出血量知るとか。へぇ。
まぁ、大病院における限界等を知っておくと、入院していても、どこまで期待し、どこまで期待しないほうがいいか判るのでこっちも対応しやすいってのがあったのでその点では参考になった。なんせはじめて入院するし手術もするので、大病院なんて未知なる世界。そこで働くお医者さんの本音とか、現場の状況とか掴んでおくと、その未知なる世界がなんとなく読めるので安心するってあるよね。

以前もブログで話題にしたけど、奈良での医療事故の問題のマスメディアの取り扱いとかをめぐって、お医者さんたちの本音などを辿ってみたが、今回お世話になった産婦人科などは、大病院の勤務医不足で社会問題にもなっている。
この本では報道のあり方。メディアの扱いや、或いは警察の介入等への怨みつらみ・・いや、問題点の指摘とか、対する医局や、厚生労働省、医師達側の問題など、また患者側の対応の問題などを取り扱っている。(DQN患者とかいるからな)

この書はかなり専門的なので評価を下すには私自身に知識がない。ただ、日本の医療が、イギリスとかアメリカに比べると数段いい現実を思うと、日本のお医者さんたちは頑張ってきたんだなぁと改めて思う。

で、まぁこの書に関しては、以下の方のブログが参考になった。私には書評すらまともに書けぬほど未知世界なので、寧ろこの方の書評(しかも力作)を読んで欲しいかなと。
http://d.hatena.ne.jp/jmiyaza/20070104/1167837448

お医者さんらしい専門的な立場からの視点での評価、批判は参考になりました。知識のない私としては解説としても有難い。数回に分けて大変にリアルな視点で丁寧に批評しておられるので、判りやすいですね。しかも内田樹山口昌男というわたくしにも馴染み深いセンセの書を取り上げて行くあたり、元ネタより面白いかも・・と思ってしまいました。(マス・ヒステリーに関わる項では、いつも取り上げるオルテガセンセなども連想してしまいました)

で、上記の項では「医師への信頼」ということへ触れているが、「医師は万能ではないことを先ず判ってくれ」とする小松氏への批判としての、医師への信頼のあり方を書いておられて、まぁ確かにわたくしも、冒頭に挙げた「インフォームド・コンセント」を行う医師の説明する言葉に、思わず医師を信頼したなぁ。「こんだけ丁寧にデメリットとメリット、リスクと結果起きることを説明してくれるのは有難い。決めるのはこっちだけど・・こんなお医者さんなら安心〜」などと思ったもんだ。説明内容よりも、医師のその性格に安心したというか、自分の性格に向いていたということもあるだろうけど。
結局、互いに信頼しあわないと駄目な気がします。「治療」という要素にはメンタルな要素は大きい。希望を餌にしといてもらわないと気分が「治る」に向かず、いたずらに不安感だけが拡大してしまい気分鬱々として、闘病する気力萎えになってしまうと思います。


ま、他人に内臓見られる(しかもいじくられて、とられる)ってのは、散らかった部屋見られるより恥ずかしいしね。だから信頼できる人に任せないと安心できません。