池波正太郎

『ワンピース』を大人買いしてしまって今月の書籍代にこと欠いた私は家にすっころがっている講談本を読むことにする。
父が『剣客商売』で有名な池波正太郎のファンなもんで沢山ある。『剣客商売』も『鬼平犯科帳』も揃っているよ。
例えば池波の有名な、あまりに有名な『剣客商売』は江戸情緒を皆様に伝えますよな永井荷風な領域が舞台。主人公はいつも季節のうまいものを飲み食いしていて自由人なひょうひょうとした爺様、しかしいったん仕事となればいきなりハードボイルドなじじいに変容。そういうメリハリある設定がうちの親父にヒットしたのか?
そういう江戸爺様の池波の書いたほかの小説でも読んでみようと幾つかタイトルに馴染みのないのを手に取った。

秘密 (文春文庫)

秘密 (文春文庫)

男振 (新潮文庫)

男振 (新潮文庫)

新装版 蝶の戦記 (上) (文春文庫)

新装版 蝶の戦記 (上) (文春文庫)

『秘密』は江戸なミステリーだった。池波的なピンポイントな江戸町が舞台。無理やりな結末が少々笑ったものの池波のアイテムが散りばめられていて、江戸な池波さん好きにはまぁいいかも。
『男振り』は設定がすごい。いきなり禿になってしまうという奇病がコンプレックスの主人公。しかもお家騒動に巻き込まれ・・散々苦労す。というなんだかミラクルにハイパーな設定だけど、妙に読後がさわやかだった。ネタバレになるので詳しくは記さないけど、この手の開放感、「自由人」というのが池波さんの人気の要因かも知れぬ。
『蝶の戦記』は女忍びが主人公で『あずみ』かと思っちゃいました。時代も少し前だけど似ているし。川中島の合戦から、姉川の合戦まで。つまり上杉謙信織田信長武田信玄が活躍した時代の忍びの物語ですね。まぁ普通に忍者が出てくる小説。とりわけ派手な忍法は出てこないところが池波さん的か。
ところで母方の更に母方の先祖は浅井長政が家臣だったとか「姉川の合戦」で負けてそれ以後ひっそりと暮らしていたとか聞いていたけどあまりに気が遠くなるほど遠い時代過ぎて「浅井長政ってどんなヤツよ?」とか「姉川の合戦ってナニ?」とか、その名称は知っていても実はよく知らない。で、はじめてどういう人だったかとか戦いだったのかこの本で知った。成る程。大変だったんですね。ご先祖様も苦労したようで。南無南無。
因みに浅井長政は未だにばあちゃん的に「御屋方様」的に語られるのが不思議だ。遺伝子に組み込まれているのだろうか?