坂東さん、批判にさらされるの巻

こんなことがあってネット上で盛り上がってる。

▼女流作家「子猫殺し」 ネット上で騒然
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2349351/detail
2006年8月18日付け日経新聞(夕刊)「プロムナード」に掲載された、直木賞作家・坂東眞砂子さんのエッセイが、ネット上を騒然とさせている。「私は子猫を殺している」というのである。坂東さんの掲示板では、06年8月19日にエッセイのコピーが書き込まれてからコメントが突如急増し始め、坂東さんへの批判が怒号のごとく続いている。

騒ぎになっているのは「こんなことを書いたら、どんなに糾弾されるかわかっている」という文章ではじまる「子猫殺し」と題されたエッセイ。
タヒチに住んでいる坂東さんは、家の隣の崖の下の空き地に、子猫が生れ落ちるやいなや放り投げているという。

猫を投げ捨て?
あ?確かにのら猫ってむかつく。なんせわが家の庭に侵入し糞尿まき散らし芝やらナンやらを台なしにしやがった。しかもノミもまき散らしやがる。おまけに家の中に侵入しカナの飯を食いやがる。ゴミ袋を引き裂きゴミをまき散らされたこともある。こんなヤツは崖下にでもほおり出してやる!!!!と何度思ったか判らん。
実家でもわが家は猫被害の巣窟だった。もうね床下で死ぬし、玄関わきをトイレにするし。茶花が沢山ダメになった。猫いらずを猫に食わせて根こそぎ撲滅したくなる。猫なんか嫌いだよ。わかるわかる・・・それに猫擁護の人ってどこか狂信的なのが多い。だからネットで騒然となるんだろうな・・・
でもまぁ、野良にむかつきながら心で何回も殺戮しても、結局子猫が捨てられてると拾って飼い主探しちゃうんだけどね。やっぱ野良って可哀想だよ。
・・・・と思って読み進めると・・・・

内容は以下のとおりだ。

猫に言葉が話せるなら、避妊手術など望むはずがないし、避妊手術を施すのが飼い主の責任だといっても、それも飼い主の都合。「子種を殺すか、できた子を殺すかの差だ。避妊手術のほうが、殺しという厭なことに手を染めずに済む」。そもそも、「愛玩動物として獣を飼うこと自体が、人のわがままに根ざした行為なのだ。獣にとっての『生』とは、人間の干渉なく、自然のなかで生きることだ」。人間は、避妊手術をする権利もないし、子猫を殺す権利もないが、「飼い主としては、自分のより納得できる道を選択するしかない」。

最後は、

「自分の育ててきた猫の『生』の充実を選び、社会に対する責任として子殺しを選択した。もちろん、それに伴う殺しの痛み、悲しみも引き受けてのことである」
と締めくくられる。

う〜〜〜〜〜〜〜〜む。なんかなぁ。
違うような気もするが、判るような気もする。けど、なんだかわけの判らんへ理屈なんでみんながもにょってしまったみたいだなぁ。

島犬カナは避妊している。うちの島は原則として放し飼い犬が多い。いや大杉。しかも医者がいないんで避妊も去勢もしていない。その為犬っころがわんわんと増えていく。集団化する野良犬は島の頭の痛い課題だ。うちにも一度野良集団がやって来たことがある。ああ犬が群れてるのってちょっと怖いけど、島犬達は野良でもへたれナノで「あんたらナニ用じゃい?」と恫喝したら文字通り尻尾を巻いて逃げていった。そんなわけでおそらく子犬が生まれてすぐに殺してる人もいるだろう。
繁殖期には雄犬が群れてくることは目に見えているし管理が出来んのでカナは避妊させた。しかしカナはなんだか不健康になってしまった。元々個体として弱かった。ミモザと違って子犬の時から食が細かった。そんなわけで避妊という過酷な措置が果たして正しかったのか?いまでも残酷なことをしたという後ろめたさがある。カナにも生の歓びを感じさせてあげたかった。だから坂東さんの言わんとすることはよく判る。けれどその子犬達に引き取り手は先ず望めないだろう。どの家も過剰な子犬を抱えている環境だもんな。
その場合の選択として、避妊か?子犬殺しか?と問われれば、自分としてはどちらも罪深いことには代わりがない。どっちも悲しい。だから手放しで批判も出来ないけど同意も出来ないなぁ。

ただねぇ・・・

坂東さんの「どんなに糾弾されるかわかっている」という予想通り、エッセイへの批判や怒りがネット上で噴出している。

「坂東先生の本はすべて焼き捨てます」
坂東眞砂子掲示板」では、06年8月19日のエッセイのコピーのカキコミがされてからというもの、批判や罵詈雑言で溢れ、その数は50近くになる。掲示板のなかで、坂東さんのファンだったという人も、

「もう、坂東先生の本は買いません。今まで大切にしてきた本も、すべて焼き捨てます。それが、先生に殺されてきた何の罪もない猫ちゃんたちへの、私ができるせめてものことだからです」
と書き込んでいる。

・・・・・・・・ってなぁ。
私は坂東さんの小説が好きだ。ファンだ。
だからこれからも読む。
上記に紹介されたエッセイはどこか脇が甘いと感じるけど、小説を面白いと思った事は事実でこれからも読みたい作家だ。
まぁ、小説家で犯罪者なヤツだっているくらいだ。ジュネとかサドとかなぁ。

なんか倫理で全て決定してしまうってどうなの?と記事後半部分には思ってしまったよ。作家も芸術家もどこか壊れた人間だと思っている。倫理的には変と思ったことは批判するのはいいとは思うけど、元々ファンだった人が「猫ちゃん達が可哀想だからその本は読みません」とかってなぁ。書かれたモノは自立し、公的な存在となるなどと思っているわたくし的には「実生活の倫理がクソ=だから読めない」にはならない。トンでもなヤツがすごくいい作品を書く事がある。その作品自体は評価されるべきで抹消されてはならない。例えば極端な話、すごい芸術家がいて、本人が死刑になるような行為を犯した凶悪なヤツなら死刑になって当然だと思うが、作品は皆の公的な財産だから永遠に残すべきだなどと思うわけなのであるが。

しかし言論を公的に出すという覚悟。やはり大変なんだと思う。
坂東さんには今後もいい作品を書き続けてもらいたいですよ。

もっと詳しい原文がでているブログ
痛いニュース
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/770743.html
コメント欄でみんながもにょっている。そうだよね。もにょるのも無理ない。
なんというか手放しで批判も出来ないが賛同も出来ないもにょりを感じてる人は多いみたい。


きっこのブログ
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2006/08/post_3aec.html
有名なきっこさんも言及だが、この人は相変わらずどうしようもないな。なんつーかきっこという人自身が「トンでも自分勝手」で、「自分の意見が絶対に正しい」「ニポン女性全員の考え」と思っている人の典型に見えるんだよな。わたくし主観的には。
だから「スルーしてきた」のだけど。やれやれ。


○uumin3の日記
http://d.hatena.ne.jp/uumin3/20060822#p1
まったく同意見。というか私のたわ言はしょうもないけど、uumin3さんの御意見は一読の価値あり。