『さよなら絶望先生』久米田康治

さよなら絶望先生(1) (講談社コミックス)

さよなら絶望先生(1) (講談社コミックス)

以前、師匠に紹介され、utsutsuさんも読んでいるというこの漫画。竹下センセのヴィンチ村のおっさん本の合間に読了。竹下センセの一章を読み終わる前に読了って、漫画ってのはスピード感があるね。ブログのレスポンスぐらい。もしくははてな村の流行の推移ぐらい早いよ。
正直、村の本屋さんには『プルート』も『20世紀少年』も『ドラゴン・ボール』の新装本も『デスノート』全巻も置いていない。ちょいと文化不毛な絶望的な品ぞろえなんだが『絶望先生』が置いてあったのは驚きであるよ。『絶望先生』に島本屋の未来の希望を見た。
で、まぁ読んだです。
絵柄が、林静一山田章博Web2.0ってな、大正浪漫ノスタルジーがハイテクになったみたいな、美麗なんである。最近の漫画描きさんはさりげなく絵が上手だよなぁ。でもなんとなく「どこかで見た」観。トラウマになるくらいの印象を残す絵を望むなら、はいだしょうこさんを見習った方がいいと思うけど。でもそうなると完全に違う漫画になりますね。これくらい綺麗で上手だと安心感があるか。
内容が、いわゆる最近覚えた「クオリア」的に、そこはかとなく「こいつ・・・絶対、はてな辺りでこっそりブクマとかしてるぜ」な、にほひがする。そんな印象。ネット臭がするうえに登場人物が全部壊れてメンヘラー臭いし、よっく考えたらブラックなんだけど、それがさらっとしてる辺りは絵の上品さとのギャップか、そのミスマッチな辺りがよいのかも。
しかしほとんど登場人物で変なのは女の子で、なおかつ髪形の違い以外は人物の区別がつかん。美男美女とサラリーマン風男子と口が四角い吉田戦車っぽい脇役の3種類くらいしか人物表現に差がない気がするので時々誰が誰だか分らなくなる。人物の横に数字なり記号なり識別表示が欲しくなるでありますよ。
とにかく狭いネット社会文化の独特の後ろめたさをなんとなく共有する的な「クオリア」がある漫画という印象。
「変だ」という褒め言葉をお送りしたいです。