『葬送』第一部 平野啓一郎

あいかわらずこれ。長いね。それでも下巻まで来たよ。
ドラクロワは虚弱体質で、仕事をしては体調を悪化させ、家で療養している間、訪れた友人達を捕まえては芸術についてあれこれと語り続けている。その一方でショパンはサンド夫人とその娘の結婚を巡る話で行き違いになっていく。そして結核が悪化し倒れる、ノアンに引き篭っていたジョルジュはショパンに会いに行かない。彼女が画策した娘の結婚の問題が優先される。娘の結婚に反対したショパンがうっとおしい←いまここ。
ジョルジュ・サンドの肖像は平野氏の手にかかると手厳しい。独善的な権威を自らに持ちたがる鼻持ちならない自己中女性として書かれている。父権社会にNOを突きつけながら、その実自分自身が家族に対して、或いはショパンに対しても支配しようとする女。実の娘に対して振舞う自己中な発想。平野氏の書くサンド夫人はどこか偽善的で支配的な女性である。それはサヨク活動家の、弱者の味方を標榜しながらも、その実その弱者を嘲笑するかのような鼻持ちならない偽善性に通じるのかもしれない。自らの論、或いは考えは優れているが、理解しないお前らは悪い的な。それは昨日のエントリで引用した様々なブログでも語られていた。
平野啓一郎は現代のそうした左派活動家、或いはフェミニスト達に対してなんらかの憎悪でもあるのか?と勘ぐりたくなる。私的には女々しいショパンの方がイライラするんじゃが、こちらはナイーブで繊細な天使のような人物として描かれている。ショパンびいきのあまりにサンド夫人をこき下ろしてるんじゃろかいのう?
まぁ、自分にも人にも嘘つくようなのとか、矛盾した行動にでるのとか、偽善的なのとか、とにかくわたくしの嫌いな要素がつまりすぎていて味方したくなくなるんだけど、この小説でのサンド夫人の悪役という位置。かなり気の毒だ。
Σ(゚Д゚)<もしや平野さんは女嫌い????
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・BL方面か?