ダ・ヴィンチ・コード訴訟

何故かベストセラーになった三文サスペンス「ダ・ヴィンチ・コード
この手のサスペンスは以前からあるのに何故?という不可思議な売れ方をした小説ですが(密かに「ゲームの達人」系と名付けている)訴訟を起こされたようです。
▼「盗作」と英で提訴 ダ・ヴィンチ・コード
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=home&NWID=2006022801000857
→いつもお世話になっているuumin3さんが紹介しておられた記事。下野新聞って・・どこ?

【ロンドン28日共同】世界的ベストセラーになったダン・ブラウン氏のミステリー小説「ダ・ヴィンチ・コード」は自分たちの著書の“盗作”として、出版社に損害賠償を求めた裁判の審理が27日、ロンドンの高等法院で開始された。
 原告は1982年に出版された「レンヌ=ル=シャトーの謎−イエスの血脈と聖杯伝説」(邦訳題)の共著者マイケル・ベイジェント氏とリチャード・リー氏。訴えられたのは出版社ランダムハウスで、ブラウン氏自身は被告ではない。
 両著書ともイエス・キリストマグダラのマリアと結婚し子どもをもうけ、その血脈が秘密のうちに今日まで続いているとのアイデアを中心に展開しているが、原告代理人は「ダ・ヴィンチ・コード」が「聖杯伝説」の核心的なアイデアを取り込んでおり、著作権侵害に当たると主張している。

え〜、聖杯マグダラ伝説ってのは、かなり「と」なネタではありますが、この小説が書かれた以前から私も知っていたネタだ。で、この「レンヌ・ル・シャトーの謎」もかなり前に知っていたし、我が国が誇る「なんだか判らない知識を多方面に渡って知っている」博覧強記親父、荒俣宏の方が小説化は先なのだ。だから「ダ・ヴィンチ・コード」を読んでも「ああ。なんだ。このネタかよ」ってなもんで、これを「一級の知的ミステリーだ!!!」と思ってる人っていったい・・???・などと不可思議だったですよ。だから鳴り物入りで売れていたってのも不可思議であり「ゲームの達人」分類をしていたんだけど、流石に上記のニュースは気の毒だ。
マイケル君とリチャード君は荒俣宏大先生も訴えないといかんぞ。エチエンヌ・ジルソンは佐藤賢一を訴えないと。「直木賞とったのは俺のお蔭だろ!!!」とかなんとか。他にも色々出て来そうだなぁ。最近読んだ「五輪の薔薇」の作者はディケンズに訴えられたりね。
uumin3さんも指摘しておられた知的所有権の問題。「なにかにインスパイアされる」ってことが知的所有の侵害に当たるなら、それを振り回されては文化は衰退してしまう。人文書から小説が生まれたっていうだけの話で。そういうものが赦されない世界においては例えばあのルネッサンス芸術全てもまず引っ掛かることになるよ。フィリッポ・リッピは北方フランドルの画家達やドナテッロの剽窃だし、ミケランジェロはローマの剽窃からはじまったわけで。
マイケル君とリチャード君も「俺のアイディアが小説化され、全世界でベストセラーだぞ。をい」みたいに喜ばないとこみると、もしかしたらダン・ブラウンが「俺様独自のアイディアだぜ」などとふんぞりかえっていたんでしょうか?それなら気持判らなくもないけど。こういうことが権利として変な先例になるのはどうだろうか?
しかしこのお二人さんの本。勿論、ムー系とはいえ「真実はこうだ!」みたいな話だったのに「アイデァを盗用した!」などといってる時点で、「あの歴史検証は創作」ってことになっちゃうと思うのだけど。(もっとも、確かに「と」なだけあって捏造文書に裏付けられたネタだったわけだが・・・認めるなよ。ロマンが無くなる。)

レンヌ=ル=シャトーの謎―イエスの血脈と聖杯伝説 (叢書ラウルス)

レンヌ=ル=シャトーの謎―イエスの血脈と聖杯伝説 (叢書ラウルス)

そういえば・・・・著者の三人の一人、ヘンリー君は訴訟に加わっていないんだね。この三人の間でもなにかあったのかにょ?