施すということ・2

先日、ま・ここっとさんがご自身が書かれた面白いエントリを紹介してくださった。

○Tant Pis!Tant Mieux!そりゃよござんした。
他者への『哀れみ』とは?
http://malicieuse.exblog.jp/1119009

ま・ここっとさんはおフランス在住。そこで出会ったエピソードです。カトリック国の人々とプロテスタント国の人々の「施し」に対する考え方の違いがみごとに現れている。

南米の人々の考え方

毎日夕方になると彼らのように裕福な家庭の勝手口前に『何でもいいから
仕事をください』という人々が列を作るので,家長は彼らを家に招きいれ
皿洗いや洗濯などの簡単な仕事を与え日銭を報酬として与えるそうです。
それが自分よりも少しでも貧しいもの,弱いものへの哀れみであり,神様
へのアピールなのだ,と。日曜日のミサの際,自分自身と神様との対話
(=祈り)で「自慢できる事項」なのだ

それを聞いた北欧・ゲルマン連合軍の主張は
そんな哀れみを与えるからあなた達の国は裕福に転じない。
という簡潔なものでした。
お金を稼げるように,自分自身が地位も向上できるように勉学をつむなり,
きちんとした仕事につくのが神様に近づくことなのだと北欧・ゲルマン軍
団は南米チームに力説しました。

こうやって比べると正直、自分のことしか考えていない南米・・って気もしなくもないが、あきらかに中世の身分制度が存在した時代の「施し」の考え方ですね。プロテスタントの人に「暗黒の中世なカトリック」と批判されても仕方ないような気もしますね。ま・ここっとさんが指摘する通り、今現代の国家としてのGNPの格差は歴然としている原因ともいえます。
ただし、ここで彼らは「労働報酬としての対価として支払っている」という点です。単純に「施している」わけではない。人間の尊厳としての労働とそれに応じた対価という関係性は一応クリア出来てはいる。つまりアフリカのような、くれくれ状態の援助漬け病には罹ってはいない。しかしそれでも、階級差の解消という問題の回答にはならない。なるほど南米で「解放の神学」が切実なのがよく分かる。たぶん現場にいたら私は北欧チームを応援してしまう気もしますが、もう少し考察してみようかと。
実際、いくら機会を与えなくては・・といっても、目前の明日への糧に困窮する人を救うには気の長い話ではあります。日々の生活費の危機から明日の職を切実に欲しいというのを私も体験しましたが、こんなお金持ちがいてくれたら、泣いて喜んでしまうかもしれません。それに地位や向上といっても、社会を構成するのは地位が高い人ばかりではなく、どうしても格差は生じてしまう。今や先進国は第三世界が存在するからあるのだという事実も存在する。安い労働力を外国に求めて裕福になっているのが先進国なわけで。日本などもその典型ですが、その辺りについて北欧・ゲルマンな方々に聞いてみたいものがありますね。特にドイツにおける外国人労働者の数は非常に多く今や世界一です。その辺りについて低賃金で働く他国の労働者の存在をドイツの人々はどう思っているのか?聞いてみたい。高めるというのは結局、相対的に低くなってしまう存在もあるわけですし。
あと、各国の人口の相違などの問題もある。だから一様に批判を行うのも難しいとはいえます。ま、確かに南米はもっと発展してもいいとは思うんだが、国家としての政体はどうなんだ?と思いたくもなるような話もよく聞くわけですが。
しかし「みんなが頑張れねばならない」という考えは時に過酷な場合もあります。北欧の場合は自殺率も高いと聞きます。
◆自殺率
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/2770.html
他にも「家族」というキーワードでは北欧の婚外子の数はダントツに多い。福祉が充実している性もありますが、母子家庭と父子家庭の多さはすごいそうです。勿論女性の労働の場の多さも目覚しいものがありますが、そのぶん離婚率も高くなってしまっているのが北欧です。因みに南米をそれく比べても仕方ないですね。カトリック国ですから。しかしフランスなどではカトリック国といわれながらも近年は離婚率は急上昇していると聞きました。

こうしてみると「心の貧しい人」の存在は寧ろ先進国に多いともいえます。南米はたくましいのか自殺者の数は相対的に見て低い。ただ、同じ貧しい国でも元ロシア圏の国々の自殺率は異常に高く、単なる気候の違いかもしれませんです。

ま・ここっとさんの分析ではプロテスタントカトリックの考えの違いを指摘しておりましたが、それは一概に言えるのかどうかは実は判りません。ただ、カトリックには「己の分際」という概念がどこかにあるとはいえます。それは翻れば階級差をはじめから認める思想に繋がる場合もあります。しかし必要以上の欲を出さない。他者の尊厳を犯さない。という発想にも通じるわけですし、その辺り、表裏一体の思想ではあると思いますね。