芸術家へのアピール

14 この書簡を私はあなたがた、この世界の芸術家の方々に、私の評価をあなた方に示し、芸術と教会とのより有益な共同作業を再び行うために著わしています。私はあらゆる時代においてより高貴な表現形式で芸術を特徴づけた霊的で宗教的な次元の深さを再発見するように招きます。そしてこの見通しの中で、私はあなた方、書かれたあるいは口頭の、劇場のそして音楽の、造形のそしてコミュニケーションのより近代的技術の芸術家の方々に訴えます。私は特にあなた方、キリスト教徒の芸術家に訴えます。芸術家一人一人が、実際的な現象を越えた福音と芸術との間の常に緊密な結びつきが受肉した神の神秘に、そして同時に人間の神秘に創造的直感を伴って入っていく魅力を含んでいることを思い起こしてくださることを望みます。
 すべての人間はある意味で自分自身を知りません。イエス・キリストは神を啓示しただけではなく、「人間に人間を完全に示しました」(23)。キリストにおいて、神は自らに世界を和解させました。すべての信徒はこれを証言するために呼ばれています。しかし、人生を芸術にささげたあなた方芸術家は、キリストにおいて世界がああがなわれたこと、すなわち人間があがなわれ、人間のからだがあがなわれ、聖パウロが「被造物は、神の子たちの現れるのを切に待ち望んでいます」(ロマ8,19)と書いた被造物全体のあがないをあなた方の豊かな才能で語らなければなりません。被造物は芸術を通してまた芸術において神の子たちが現れることを待ち望んでいます。これはあなた方の課題です。芸術作品と触れることで、すべての時代のー今日でもー人間性は固有の道と固有の未来を照らされることを待ち望んでいます。
(23) CON. ECUM. VAT. II, Cost. past. sulla Chiesa nel mondo contemporaneo Gaudium et spes, 22.