エロゲネタに応答してくださったブログの紹介とその後考えてみたあれやこれや

はてな界隈でかますびしいエロゲネタ。
先日、前述したように、そもそもエロゲーというジャンルはよく知らず、せいぜいが知ってるのが麻雀で勝つと女の子が脱ぐアレぐらいな時代で止まっていて、漠とした認識としては『ときめきメモリアル』のエロバージョンみたいなもんをやってるんじゃね?ぐらいだったわたくしには、レイプとか生々しい設定がある事自体に驚いたほど世間知らずであった。

先ず以て、わたくしは先日書いたようにエロは好きではない。しかし別段それを以て他人様のエロ好きをどうこうしたりする気持ちは微塵もない。

美大なんで学生がSMの絵を描きたいなどと申し出て来ればこういう資料があるよとか、エロを題材にした作品作ってる学生には「こりゃエロが足りないんじゃねーか?」とか普通に評したりする。たぶん、将来、エロゲー産業に携わるであろう学生もいると思う。

数年前、入院する羽目になった時に萌え系を愛する某友人が「入院中に読むといいよ」と萌え系創作物をくださった事がある。わたくしは萌え系はネタ的に愉しむが本気で愉しんでいるわけではないので困った。しかしその創作物ってのは、なんとマルクス思想関係を萌えキャラで表現したというすごい代物で、正直、その破壊的な創造性に感動した。中読むとエロだったのでちゃんと読まなかった。ごめん。

これな↓

まるくすタン―学園の階級闘争 (A‐KIBA Books Lab)

まるくすタン―学園の階級闘争 (A‐KIBA Books Lab)

まぁ個人的に好みではないがネタ的に愉しむって言う距離感もあるよなー。

で、こういう自在な面白さという表現世界の自由はあって欲しいと思う。ゆえに表現の自由に関していうなら、エロだろうがなんだろうが、兎に角、自由であって欲しい。法で規制するという方向が生じればやはりわたくしはNOという。好みがどうこうに関わらず、少なくとも法というレベルであるならば、規制が生じるのは危惧する。今回、多くのエロゲユーザーが危惧していた点はまず法的規制方向で、こちらに関しては危惧は当然だと思う。法で規制されればそれがいずれ拡大していくだろう。存在を棲み分けとこうねというのと、存在を無くせというのは大違いである。過去に『沙織事件』というのがあったそうで、WIKIの説明などを読むとその規制の推移のあり方にはどうもやはり批判的にならざるを得ない。ことに宮崎の事件と結びつけて考える様な短絡はどうなんだろう?当時、オタクをその様に廃していった風潮には不快感を持ったのを覚えている。

しかし、世の中にある「空気」というレベルでの話では、レイプ設定というのはどーにも不快であることは主張したい。つまりこれは多くのブクマカさんたちも指摘していたのだが「レイプ」が軽々しく扱われている事への不快ではある。これに関してはかなりぶくま数を集めた記事、

レイプ・妊娠・中絶というプロットがムカつくというだけの話ですが何か - C plus M
http://d.hatena.ne.jp/cmasak/20090510/1241885465

だからやっぱり検閲は答えとしては間違いだと思うのだけれど、でもやっぱりずっと「ムカつく」「ムカつく」って言い続けないと負けるんだ(何に)。

・・・というcmasakさんの主張にかなり同意する。

しかし、そのレイプという表現物に対し、それを享受するユーザーというのを実存で知らない為に、判らない事は多かった。今回、その立場から応答してくださったGET27さんに、まず感謝する。

グラスホッパー レクイエム
http://d.hatena.ne.jp/GET27/20090518
■性欲をオゾマシイものとして理解しようとしない弊害


まぁ、まず性欲自体を「おぞましい」と思わないという事は主張しておいた。どうもわたくしを清教徒的な立場に置きたがるのに困ったので説明にあがった。エロが好きでないからイコール潔癖とか言われてもなー。比較的淡泊ではあるけど。性欲それ自体は人の自然である。むしろそれがまったく無い人というのがいたら驚きではある。言葉尻をつかまえて、エロが好きでないからエロ否定派箱に入れられてもな。困る。エロじゃなくて「レイプ」を問題としてるのに。

ただ、ここでGET27さんが語るのは、レイプエロゲーについての危険性を言うのは「エロゲーが宮崎を産む」と同様の短絡的なモノの観方だろうという主張である。これは多くのユーザーも指摘している。いわゆるゲーム脳理論的な、飛びすぎた結びつきであろうと。
GET27さんとのやり取りや過去ログを読ませていただき、これらユーザーがレイプゲームにどのような距離をとってそのゲームを観ているのかというのは理解出来た。また陵辱エロゲ世界にも様々な表現があり「レイプするは鬼畜だ」という認識の設定のものまであるという。なかなか奥が深そうである。

それこそ「ネタ的に愉しんでいる」人も多いようだ。

GET27さんは多くの人が主張するゾーニングについて懐疑的立場である。
ゾーニングしたから、規制したからと言って、実存の問題解決に繋がらないであろうという主張である。

http://d.hatena.ne.jp/GET27/20090519/ikie

ここでリンクされている記事にもあるように、ゾーニングによる異質なモノへの排除に繋がるであろう危惧という事の指摘である。つまり「綺麗で潔癖な社会ってどうよ?」という主張である。まずもってわたくしはそのような清教徒的な潔癖社会ってのは断固断りたい。この主張に関してだけならば賛同である。

ただ「他者(女性、男性、幼児)を一方的な暴力で屈伏させる設定」を享受する人を、異質なマイノリティな存在として差別する社会はどうか?という話になるとややこしい。正直、その性癖があったからといってその人自体を排除、差別するという意識はあまり無い。「その性癖はキモいんじゃね?やばくねーか?」という感想は抱く。しかしそれを以てその人そのものを蛇蝎のように嫌う社会こそ「おぞましい」。そのような、そんな排除する社会には住みたくない。

その性癖自体を「キモい」としてしまう意識こそ問題ではないか?という場合が難しい。
わたくしが今回、レイプモノは不快だ。と主張したこと自体が問題となる。

この件に関してまとめてくださった方がいた。

○日常ごっこ
http://d.hatena.ne.jp/amamako/20090520
■レイプゲーム規制問題について「まじめに」考えるためのまとめ

よくまとまっているし、色々なところで行われていた議論主張などが取り上げられていて参考になった。
考察の一助となるのでぶくました。

ここでは「レイプ」行為に対する女性への差別問題。またレイプモノ創作物における記号化や、監禁王子などのような事例の指摘について色々な事が取り上げられています。ヴァーチャルと実存について色々な論者の意見が取り沙汰されていますね。

回答は出ないかもしれない。GET27さんが指摘しているように、平行線になるかもしれない。

ただ、上記記事で取り上げられたfont-daさんの意見にあるように

私たちは、児童ポルノを肯定するならば、同時に児童に対する性的虐待を否定し、被害者を支援しなければならない。
http://d.hatena.ne.jp/font-da/20090510/1241961519

・・・といった姿勢は持って欲しいとは願う。
ここでは児童ポルノであるが、レイプも同様に考えて欲しい。

実際、多くの陵辱ゲームユーザーは実存のレイプそれ自体には否定的な健康で紳士な青年男子であろう。GET27さんもそうだし、それは様々なログからも伝わってくる。

ならばこそ、真のヴァーチャルなゲームとなる為に、実存のレイプは無くなって欲しいですな。