夏の終わりの島の点景

モノクローム画像かと思われるかの色のない風景。
灰色の空は南へと雲が急ぎ、風が洋上を荒立たせ、波は岩礁に砕け、海面に盛り上がった波が浜に打ち寄せている。
男が犬と共に浜にいる。
男は身を浜に横たえ動かない。その傍らで犬が身じろぎもせず座っている。満ちた波が男の足元を洗いはじめるが、男はぴくりとも動かない。
波がその男の体を洗いはじめ、やがて大きなうねりが浜に押し寄せたかと思うと男の身体を海へと引きずり込む。犬が波に向かい吠え立てている。荒れた海の敵意から主人を守ろうとしているのか、しかし犬の思いは虚しく彼の主人の身体は浜に寄せる暴力的な波に翻弄され、やがて沖へと持ち去られる。
犬は主人のいなくなった浜をかけ回り海に向かって盛んに吠えている。
そして主人を追いかけ海の波間へと飛び込んだ犬も消える。
男と犬がいなくなった浜は、変わらず波が打ち寄せ続けている。

その、フィルムの締めくくりはこんな風だった。

・・・・・というような、夏のおわりの島の風景。
春から夏へと過剰であった生命が尽き、眠りにはいる前の秋という季節の訪れを感じる島は、上記のようなへんてこな映像が浜散歩していて頭に浮かんじゃうような寂しさであるよ。死の映像を脳裏に描くってのは不健全だなとか思いながらこそれがどこか心地よく感じてしまう。そういう季節感。

さて、既に過ぎていった祝福されたトロピカルな島の夏の締めくくりはコウサカ君のライブだったよと言う話は昨日書いた。
今日は朝から空がやっぱり灰色で、風はびうびう。海はごうごう。珊瑚に砕ける波がどんと音を立てているように大変に津軽度があがってしまっていて、ついこの間まで、目の前の海に浸かって暑い暑いなどと言っていたのがアンビリバボーな天気である。

そういう日にコウサカ君の新作をでかい音量で聞いていた。新作のめるひぇんりふれくしょんたらいうアルバムなんだが、てぃだ(太陽)の光が降り注ぐかのような音の煌めきが麗しいのであるよ。
これね↓

Marchen reflections コウサカワタル
アコースティックな楽器をぱそぱそで加工したりとかしてるそうです。 白馬にのった王子様が童話の国を旅するみたいな物語イメージなんだそうだ。あぁ?なんだそりゃ?なテーマだが、オリエンタルなおとぎ世界が広がっているって感じで、成程。つまり透明な輝きを持った音の心地よさがある。昔ドゥルッティ・コラムとかいうグループがいたけどそんな感じの心地よさ。コンサート行って寝てしまったんだよな。あれ。そのドゥルッティコラムの中心人物、ヴィニ・ライリーという人はレスポール弾きだったが、弦楽器の持つ美しさに熟知していた人だった。今、何してるか知らんけど。なんか素敵音な音楽家だったなぁ。コウサカ君は東のヴィニ・ライリーだな。
自主制作版の限界か、彼のアコースティックな音の深みがもっとひろえてると良かったのにとか、低音部の再現に弱いかもなどとは思うが、ぎじつ的なことが判らんのでなんとも。レコーディングの問題だとは思うんですよね。

自主制作版なので手に入りづらいかも知れないが、そういう系のレコード扱ってるお店でどぞ。

あと、ここ読んでるの東京の人が多いと思うんで、ライブ情報貼っときますね。

コウサカワタル/Wataru KOUSAKA

2008年9月15日 15:00
三軒茶屋, 三軒茶屋, 東京都
料金 : 1000

9/15(月・祝)三軒茶屋 
a-bridge  http://www.a-bridge.jp/
moonbow crew prezents space art event「moonbow beach」
open 15:00〜24:00 charge?1000
コウサカワタル/family slow/Mccoy(paint)/maktub(felt art)

9月14日には山中湖のライブフェスにも出るそうなんで目撃したい人はどうぞ。私は島なんで行けませんです。