今年もまた島に夏が来た

暑い。
数日前から島は梅雨が開けた。その性かもう完全にトロピカルである。東の、島の稜線から上った太陽は顔を出した途端、重力を持った光を容赦なく浴びせかけてくる。
そういうわけで島犬散歩は太陽のぼる前の曙に行わねばならず、仕事は早朝から昼までで、午後はもう暑すぎて出来ない。昼間の海の水は既に温かく、海で遊ぶ人の数が増えてきた。故に午後は仕事をせずに海遊びにした方がずっとよい。健康のためにも泳ぐのが一番である。
梅雨前までは犬散歩の度に走っていたが、いわゆるジョギング的なハードなものではなくジョギング散歩程度。せいぜいが近所をぐるっと回って帰ってくるだけである。ただし島道なんででこでことしていて浜の砂地などは足を取られるしで実はハードなんだけどね。そんなわけで程よく疲れてよかったのだがこう暑くては走る気も起きない。日が昇らないうちにやりゃいいんだろうが今日も結局9時に目が覚めたという体たらくで犬達も外に連れていくのをためらう突き刺す陽光になってしまった。午後に海散歩に連れ出し泳がせることにする。夏仕様の生息活動時間帯に変えるための体内リズムの調整をしないといけない。6月の終わりはいつもそんな感じで調整時期になる。
夜日が落ちてしばらくしてからまた仕事タイムとなる。
ここ数日は月が満ちつつあり、満月にほど近い月が照らすので、夜が明るい。犬を連れ出して浜まで行けばもしかしたらウミガメの産卵に出くわすかもしれない。月明かりがあるなら浜はそれなりに視界が利くのでウミガメを脅かすこともなく観察出来る。なので夜散歩な気分がむずむずするのだが、いかんせん幽霊が怖いのでためらっている。島にとって浜は霊場でもあり、しかも浜脇にはお墓があるし。死者の時間を脅かすのはどうもな。
ちなみに近所の浜のウミガメ産卵は確認しただけで4匹近くが既に産卵を終えたようだ。産卵自体は目撃していないが彼らが上陸した痕跡や、産卵の為に掘り返した穴が残っていた。孵化はおそらく八月になるだろう。