吉川英治文学賞なるものがあって佐藤亜紀と浅田次郎が受賞した件について
先だって、コメントに浅田次郎の書評をかいたら消えてしまったがくーりということを書いたのだが、その浅田次郎の『中原の虹』が吉川英治文学賞をとったらしい。
- 作者: 浅田次郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/09/25
- メディア: 単行本
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わたくしの書評はそのような文学賞をとった作品に対しすこぶる辛口だったのでーつまり甘ったるいロマン主義臭いとか、登場人物があまりに散漫すぎてまとまりに欠けるとか、西太后や袁世凱の人物像が軟弱すぎというか、善意ある人間として書くその偽善的視点がキモイんだよとか・・いやそこまで酷いことは書かなかったか、或いはカステリィオーネが出てくる必然がさっぱり分からん。龍玉?だからナニ?ーまぁそういうわけでかなりこき下ろしていた。どうやら高名な国民的作家吉川英治の名を冠する賞作品に対し、たいへんに無礼千万であると取り次ぎの神様が怒って消してしまったのかもしれない。おそろしいこっちゃ。
いや。清代末期超好きなわたくしとしてはそれでも萌えながらがしがし読んだんです。
今度は消さないでください。
それとともに佐藤亜紀さんの『ミノタウロス』が吉川英治新人賞をとったとか。
うーん。ベテランに新人賞?なんとまぁ70過ぎてやっと先生と呼ばれるような中国的な賞なのだな。気の長い賞である。直木賞とか芥川賞が年齢がこんだけ若い人がとったよ!!天才じゃね?なんて小説の内容なんかどうでもいいような要素がまず話題になるのと違って、円熟しまくった賞のようである。世間知らずなわたくしとしてはこげな賞があること自体を知らんかった。
- 作者: 佐藤亜紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/05/11
- メディア: 単行本
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しかし佐藤亜紀のこの作品、どっかで「なんで日本人が外国ネタを書くんだ?」などという頓珍漢な書評があったりしたもんだが、今回の賞はどっちも日本人による外国ネタだな。そのうえ吉川英治も『三国志』なんて外国ネタだもんな。日本人が外国ネタ書くのが悪いのか?人間が砂の惑星の話を書くのは駄目なのか?砂虫に食われてしまえ。
かように、こちらの作品はわたくし的ツボだったので書評でこき下ろさなかったお陰で取り次ぎの神様が消さなかったのだ。書評は過去ログあさってくれ。どっかにあるよ。たぶん。
と、いうことで、まぁ読んだ本が両方とも賞を取ったんで、嬉しいというか、この賞の定義はもしかして「国民がすべからく読むであろう、或いは読んどけよ本」ってことかにょ?日本人の作家を単行本で買うのが珍しいわたくしまで読んでいるからそうかもしれない。誰か傾向を教えてくださいです。
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にしても今この↓本読んでるんだが、大河過ぎて長くて時間がかかっています。
- 作者: プラムディア・アナンタトゥール,Pramoedya Ananta Toer,押川典昭
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これら↓の本が友人達から送られてきたんではやく読みたいんだが・・まだ行き着けません。すまんです。
- 作者: イシメール・ベア,忠平美幸
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世界を語るということ―「言葉と物」の系譜学 (双書 哲学塾)
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表紙がこれじゃ出とらんようだが、なんか軽そうなんで、すこすこ読めそうと思ったら大間違いで、このロゴスな言語学な哲学親父の書くものは三位一体論から来るんで、うぎゃぁって感じです。ピュシスとかアルケーとか並んでいる時点で、形而下脳で生きているわたくし的には、うへ。であるけれど、ウンベルト・エーコのひそみに倣ったお遊びなども盛り込んでいる模様。楽しみである。