BLネタから、西洋と英米

ネト逍遥していたらBL関連で面白いエントリを見つけたので備忘。
○0007 文藝檸檬
http://d.hatena.ne.jp/chinobox/20071227
■[livres]『BLスタディーズ』における森川嘉一郎氏のカルチュラルスタディーズ批判・女性学批判と、それにたいする千田有紀氏のご反応。(3

これは「ユリイカ」の特集の論考紹介というか、論者の立ち位置の相違で見える世界が違うという辺りを描いて見せている。なかなか面白い。シリーズで1,2、3とエントリしてらして、上記のは3。
ユリイカの本はこの特集ね↓

またユリイカか・・・・・・・・('A`)<また「読まずに語るな」とかいわれて買わされる恐い本か・・・。

・・・・・・・というのは、さておき、なんかアカデミックなジェンダーさん辺りが加わるとBLもややこしくなるようで。わたくしは実はBL読みではないんでコミット出来るほどにはよく判らない世界ではあります。しかしなんか紹介された文章などを読んでるとゲソーとかなってしまいそうです。腐女子的な夢ある世界がかように語られるとしんどくなりそうというか。しかし腐女子世界の人々が自らこういう語りをはじめているということについて、逆に腐女子の置かれた揺らぎというのがなんらの形であるのかもしれない。と、まぁ思った次第。

しかし・・・・英米=西欧 についての3章目のエントリで・・・「英米」について語ってる森川氏とやらの・・

英米の植民地支配の歴史や人種問題、中絶・避妊・同性愛などを否定するカトリック教会が影響力を持つ宗教的風土、さらにそれらが選挙戦などで争点となる二大政党制の政治的風土の存在を背景とし、左派の理論武装として発展した側面を色濃く帯びているということである。

・・という記述。
ちょっとまて。英米ってのはプロテスタントが強いトコじゃね??????
ラテン西洋はカトリックだが・・・。プロテスタントも英と米では事情が違う。特にこの文脈でくるなら、英と米はひと括りには出来んと思う。宗教事情に激しく疎いんではないか?
イタリアとかフランス、スペインにおけるカトリック教会は確かに中絶、避妊、同性愛等にクソ煩い。アメリカのプロテスタントではファンダメンタリストがくそ煩い。カトリックは保守とリベラルがいて保守のほうがくそ煩く、そして目立つ。プロテスタントでも長老派などやアングリカンに属しているリベラルな方々などはそうでもないかも。んで英国では実はわりと緩やかだと聞くが、よく知らない。んでもアングリカン(英国国教会)ではハイチャーチとローチャーチでも温度差はあるかも。

ブログの千野さんも・・・

私(ひょっとしたら森川氏も)の興味を引いたのは、「英米以外の西洋など見下してやる」という差別ではなく、そうなる以前の、「ドイツ語圏」とか「英米以外の西洋」といったものがそもそも「見えていない」、そんなものの「存在に気づいていない」、そんなものは最初から「土俵に上げていない」というタイプの世界観ですね。

と書いている。

実はこのエントリでわたくしが興味を引いたのは、この英米=西洋 保守的キリスト教カトリックという単純理解でして、本論とはまったく関係ないあたりです。こういう理解をしている人が実は日本でわりと多く、その一例としてのアカデミズムの場にいる人の言として、典型例が出ていたので「あちゃ〜*」ってな気分になっちゃったといいますか。

まぁフランスなんかでは保守カトリック的な倫理観に押しつぶされそうな性同一障害の友人を知ってるんで、語られる構造がフランスの話だったらわかるのですが、「英米」という文脈で語る時はまた違ってくるということなんですが、そこがぞんざいだと説得力を失うと思うのです。
にしても、わたくしなどは英米よりもイタリアとかフランスなど大陸欧州の方が馴染があるので逆に英米事情をよく知らないです。とはいえ現代の米については妹が住んでたこともあり現地情報がよく入って来たのでなんとなくは判りますが・・・。とにかくアメリカと欧州はすごく違う気がするし、欧州もひと括りにしたくとも出来ない複雑さはあるな〜とは常々思う時があります。ジェンダー問題なども西洋事情をよく知る人だと、その辺り、アメリカという歴史事情と欧州の歴史事情の温度差などから考えてるとは思いますが。

というわけで、実は元ネタのBL話よりそこについつい目がいってしまったのです。
BL話の方ははじめに書いたように「既にアカデミズム的に語られてるのか」としみじみしたって按配ですが、まぁ雑誌読むほどには興味エナジーが無くて済みません。