島帰りの翌朝・島問題

島に帰ってきたので再び島日記。
前述の通り、島は暖かい。日が昇ると半袖でないと暑い。しかし冬場は晴れの日のほうが少ないので、まぁそれなりに島の冬になる。丁度、山中湖に移住したSさんから山中湖便りが届いたが、雪が積もっているらしい。想像もつかないですよ。

昨日は那覇に泊まったので、那覇の高度経済成長ぶりと比して島の空気の時間の遅さを実感した。東京が時間が早く流れるのは判るが、「うちなータイム」と呼ばれる時間を持つ沖縄本島の時間が早くなっているのには驚いた。げんにうちなーんちゅに聞くと「ないちゃーが来て那覇も変わったよ。みんな時間を守るようになったさ」まぁ、時間ってのは当然守るべきものなんだが・・・。頼んでいた仕事が何ヶ月も実行されないことがあると言ったら「沖縄よりすごいのか!」と驚かれた。まぁそれはそれなりに理由(部品の交換を頼んだらまだ使えるからもったいないし、もう少し待ったほうがよりよいとの判断をしたなど)だったり親切心(他所の工事と同時にやれば材料費がすこぶる安く手に入るのでそれまで待つ)からそうだったりするので、別に怒る理由もない。ただとにかく要求を激しくしないと進まないことも多い。
沖縄は外部の企業が大量に入り、建築ラッシュ、観光ホテルラッシュが続いている。内地で仕事がないゼネコンがここぞとばかりにハコモノを作り続けている。その所為か移住者も増え、仕事人間も入って来て、那覇の街は70年代の東京のように活気に溢れているが忙しい街に変貌したという印象だ。
このホテルなハコモノが曲者で、実のところもうホテルは飽和状態だとうちなーんちゅは言う。花村萬月が『沖縄を撃つ」で書いていた暴走族のたむろする瀬長島にも巨大ホテルが建つ予定だそうだ。そんなホテルだらけの状態で地元のホテルは大手ホテルに客を取られ、成り立たず、倒産しているところも多いという。本社を東京などに持つホテルが幅を利かせ、地元の業者は職を失っていく。やがて雇う側としての本土人間と、雇われる側のうちなーんちゅという、二極構造が出来ていくのではないかと心配になる。地方の自立、沖縄の自立はそのように阻害されていくんではないか。もし沖縄観光が衰退したら、つまり観光バブルがはじけたらどうなるんだろうか?起業のノウハウをどんどん奪われたうちなーんちゅは自立出来るんだろうか。などと考え込まされた。自立してそこが本社になるような産業を定着させないとまずいですよ。などと話してたんだが。
私が昨日泊まったホテルもうちなーんちゅ経営のホテルらしい。貢献出来てよかったかもしれない。幽霊でそうで恐いなどといって済まんとですよ。今のうちにナイチャーのノウハウを盗んで、大手企業ホテルから客を奪うんだな。頑張れ。

そのような沖縄からみた与論は、じつに遠いところらしい。うちなーんちゅに「与論に住んでるよ」というと「あっちは寒いでしょ」などという。いや?伊平屋島と同じぐらいなんで、暑いんだが?というと、どうも与論は内地に近い印象だと、うちなーんちゅは言う。沖縄復帰運動の時、与論島は本土の象徴だったそうだ。だから与論=本土という刷り込みゆえに、与論がまさか沖縄本島にもっとも近い空港を持った離島だとは知らぬらしい。そこに分断されたアメリカ統治の時代の残滓を感じた。
うちなーんちゅがいうには奄美諸島が復帰した時、奄美諸島出身の人々が沢山強制送還されたという。沖縄に残った人もいたらしいが、アメリカは復帰した島の人間はいらないと職も土地も奪って追い出したようで。
周縁の地の悲しみはそこにある。行政が変わる時、否応なしに運命決められてしまう率が高いというか。

でも、アメリカと高度経済成長中の中国やロシアという次世代の大国構造の狭間で周縁になりつつある日本の運命もこれまた悲しいことになりかねないよな〜と空港に向うタクシーの中で考え込まされた那覇滞在だった。
日本も島なんだよね。。。