ニライカナイ

クロさんの事を考えて眠れない。
心の臓をなにかにつかまれたような感じがする。
誰かに言ってもせん無い話だが、書いたらなにか落ち着くかもしれない。


コメントを下さった皆様に感謝します。
そう。犬はなにかを訴える。 rice_shower さんがおっしゃるように、全身で語りかけて来る。
クロさんもそんなわんこであった。子供の時から常に寂しそうで、そして全身を委ねてくる。離れがたいと言わんばかりに、いつも膝にかじりついてきた。満たされぬ心の領域があるとしか思えないような。

そんなクロさんが孤独に死んでいた事が耐えられない。
痛む足を抱えて不安の中にいたクロさんが、安心を求めて来ていたことはよくわかっていただけに、申し訳ない事をしたと思う。
というのも、何故我が家を飛び出したのかというと、我が家のわんこが両親につれられて散歩に出掛けたので、それを羨ましがって啼くクロさん。キズに悪いと思ったので我慢させたのだが、それでもトイレには行きたいだろうと、包帯が汚れているからと、家から出す前に交換しようとしたのだが、剥がす時にとても痛かったらしく、クロさんは大層脅えて啼いた。安心出来るはずの人に痛い思いをさせられたと思ったのかもしれない。それは裏切りだと、クロさんは思ったのかもしれない。クロさんは誰に助けを求めてよいか判らなくなっていたかもしれない。網戸をたたいて啼いていた。もっと気持が落ち着いてから出してやればよかったし、外には共についていくよということをはっきりさせてやるべきだったのに。
クロさんは子犬の時に一度足を痛めている。その時もしばらく人間不信になっていた。絶対に誰にも触らせなかった。しかし今回は何故か私にだけ、委ねていた。だからそれに応えてやれなかった事が申し訳ない。

でも、それは過ぎたことで、今更、言っても仕方がない。
ただ、クロさんがすごく不安で孤独だったのだろうと思うと、とにかく心が痛む。それはもう私の心の問題に過ぎないのだけど。
その重さに耐え切れず、霊的師匠に電話した。
師匠は、クロさんは神様の元にいるから委ねなさいと。そう言った。だから甘えん坊のクロさんがマリア様の御手に抱かれて安心出来るように祈って下さいとお願いした。師匠が祈って下されば安心であるから。

だからココからは私の気持の整理だけなのだけど、それがなんとも納まりが悪い。

「死」による別れは何時まで経っても慣れない。人生の後半は死による別れがどんどんと増えるだろう。もっと深い関係の或る存在のその「死」が待っているのは確実なんだが、こんなことではこれから先予測される「死」による別れに耐えられるんだろうかと不安になる。


庭に出て、海に落ちていこうとする月を見ていた。
月の光に煌めく水平線を見ていたら、ニライカナイに憩うマブイ(魂)に思いを馳せた先人達の、その気持が判る。

おりしも島は盆である。島では旧盆で盆を過ごす。
死者の国である常世とこの世が繋がる時、
クロさんはニライカナイ(天の国)へと旅だった。

いずれまた太陽が昇るし、永遠に続くこの世の明日があるのだけど。