現代版シモニア(聖職売買)

こりゃ、中世か?と思うニュースが内田樹氏によって紹介されていた。

内田樹の研究室
http://blog.tatsuru.com/2007/04/05_1347.php
■博士号売ります

「ディプロマ・ミル」(DM)などによる学位商法問題で、聖心女子大の教授がDMとされる団体の博士号を取得し、使っていたことが1日、分かった。同大は調査委員会を設置して事実関係の調査に乗り出した。現役教授のDM学位所持が発覚したのは初めて。また、早稲田大でも先月定年退職した元教授が、実態不明の「大学」が出す博士号を取得、使用していたことが判明した。文部科学省は全国調査を実施する意向を示しており、問題はさらに拡大しそうだ。

金で学位が買えるってどうよ?というお話だが、アメリカと日本の教育機関に対する考え方の差違もあるようなので、「アメリカって変」とは一概にはいえないだろうが、とにかく「学位ビジネス」がアメリカに存在する。

かつて中世は11世紀、ローマ・カトリックでは聖職売買(シモニア)つまり聖職者の地位と特権を金銭で取引することがたびたび行われ、教会を腐敗化させていた。世俗の権力者が教会に介入し、聖なる職務への自覚なんぞのない金と権力にぶいぶい言わすようなトンでも聖職者が蔓延したので、それを憂えた当時の教皇グレゴリウス7世が、そのような俗な生臭坊主の一掃をはかる為に「聖職売買の禁止」を命じた。これによって教会は本来の「聖なる職務」を取り戻すわけだが、その後続く教皇対皇帝の叙任権闘争の発端ともなる。その500年後、ふたたび懲りずに近親者登用、聖職売買などが蔓延したカトリック教会でイノケンティウス12世がこれらの根絶に乗りだした。

まぁ、権力はともかく、「金でなんでも買える」というのは問題を大きく孕む。ことに俗とは異る価値感の世界では、それが負の方向に働くのは歴史を見ての通り。内田氏が憂慮するのもよく判る。

しかし言語の壁で、日本じゃメリケン教育産業がダメだったというのは面白いな。
とにかくちょっと面白いニュースだったので備忘。