『菜の花の沖』司馬遼太郎 読了

やっと読了。全6巻。そのほとんどが薀蓄垂れだった。特に5巻なんか主人公高田屋嘉兵衛が出てこないでおろしや事情にほとんどのページを割いているというすざまじさで小説を読んだというより人文系の軽い読み物を読んだという感じだった。小説としては破綻しまくっているといってもいいかも知れない。
くどいように何度も同じ説明がされるほか、気がはやって時系列もはしょっていきなりのちにこういうことがあるよなどという一文が書かれたりするもので、人文系にしては落ち着きがないし、小説だとすると頭が混乱する。
司馬遼太郎って実は小説書くの下手なんじゃないか???
・・・と何度も叫びたくもなるも、司馬の物事を見る目線は人間世界の持つ矛盾、弁護の余地もないくらい駄目と思えるような面も、実はある面に於いては理由があり筋もあるというような、相対性を持たそうとしている辺りで、善悪が単純化されない面白みは感じる。

高田屋嘉兵衛の接したロシアという国の事情。近代化が遅れた国。南下政策やコサック兵の問題点、当時の政治状況(嘉兵衛はナポレオンと成年が同じであり、彼がロシアに抑留されたときナポレオンはロシアに攻め込んでいた)等を含め、そしてこれがのちに『坂の上の雲』の歴史事件と繋がっていくであろうということで、今度は『坂の上の雲』を読むことにしたよ。つまり日露戦争の時代のお話だね。
これ、すごい古い単行本がうちにあるんだけど、字が小さくて困る。
ところでロシアというと、ノボシビルスクは鉄鋼で有名な町で、以前シベリア鉄道に載った時に大量に沿線に戦車や機関車が鉄くずとなって沿線を延々と山のように積まれていたのを見て、「鉄鋼業が盛んっていうけど、原料はこれ溶かすんかにょ?」とびっくりしたものだった。それを友人に話したらGoogle Mapで戦車ゴミを目撃したい。という話になりシベリア鉄道ググる旅行をしたんだけどそれらしきものがなかった。流石に15年ぐらい前の話だし片付けられたのかも。しかしノボシビルスクよりオムスクのほうが工場がすごいな。
しかしシベリア鉄道の列車の長さは尋常ではない。