待降節と家ツリー

犬の散歩をさせていると気がつく。クリスマスが来つつある事を。耶蘇な私としてはこの時期は待降節なんだが、世間様はクリスマスの時期らしい。家ツリーがあちこちに出没して満艦飾になっていくのだな。
家ツリーの法則は、概ねが新築数年内。新築して一年目で屋外を派手派手に飾り、やがて年を追うごとに尻つぼみになる。新築屋敷の一帯は同じ時期に建つ事が多い。そのうちの一軒が派手な家ツリーを始めると周りに伝染する。隣や向かいが負けてはならないと家ツリーをはじめる。そしてその一角は家ツリー地帯として師走の寒い町の異空間を作るので見物人なんかも登場したりする。見物人が集まると近所の苦情がでたりする。それでやめる家が出たり、あるいは家ツリー行為そのものに疲れてやめたり、大抵、数年で家ツリーは消える。
新築以外でも時々目覚めて家ツリーを始める家もある。

しかし家ツリーってのはアメリカ的だなぁ。昔ブルックリンで見たときは驚いた。まだ日本に家ツリーの習慣はなかった時代だ。イタリア人街の一角がクリスマスになるとすこぶる派手になると聞いて出かけた。すごい家ツリーの家があって眺めていたらその家の住人が嬉しそうにしていた。内心「ここまでやるたぁ馬鹿じゃないか?」とか思ったけどそれは黙っておいたよ。
その馬鹿が日本にも上陸してしかも家の近所に沢山出没している。「京都議定書〜」とか思うのは野暮なんだろうけど、人様の家の電気代を心配してしまうよ。下流で気弱だから。

教会のクリスマスはその点地味だ。本家本元なんだが、静かに聖夜を迎える。
待降節は4週間続く。聖堂内の一角にはアドヴェントクランツという蝋燭が点る。3本の紫の蝋燭と一本のばら色の蝋燭。合計四本の蝋燭がクリスマス前の日曜日ごとにともされていく。だから最初に灯した蝋燭はクリスマスの日になると一番短い。
蝋燭の色の紫はこの時期の典礼の色である。この紫色の典礼色の日は他に復活祭前に「主の復活の喜びを迎えるに当たって、そして主の受難を共にする為に」内省する四旬節などがある。昔は肉食が禁じられたりした。主の降誕を迎える前の待降節でも静かに内省する時期の色であるとされる。だから典礼色は紫。しかしアングリカン(聖公会)などでは青を用いて四旬節と変える所もある。
この待降節はそういう内省的な時期なので、昔は結婚式も禁じられた。そこで待降節の第三主日(日曜日)を歓びの日としてピンクの典礼色とした。この日は歓びの日ゆえに結婚式も挙げてよかったらしい。この日、司祭の祭服も薔薇色となる。なかなかレアな祭服なのでお目にかかることは出来ないが、わたくしはサンチャゴ・デ・コンポステラで目撃した。そこで気がついたが薔薇色の祭服が似合う司祭はあまりいないようだ。
日本ではこの薔薇色の祭日を忘れたかのように司祭が祭服の色を変えなくてつまらん。どうしてああも視覚的なことをないがしろにするね。司祭は少し芸術の基礎を学べ。昨今のあやつらの芸術音痴はなはだしきは耐えられぬ。ゴス系な人々に師事した方がよいよい。
閑話休題
とにかくそういう習慣がアドヴェントクランツに生き残って一本だけ違う色になったのである。

あとアドヴェントカレンダーというのもこの時期出回る。子供用なのだが、クリスマスげなイラストが描いてある。そこには小さな窓が開いていて、それは全て閉じているんだけど、12月1日からクリスマスまで毎日、日をめくっていく。キャンデーとかチョコレートとか入っていたりするのもある。
↓こんなの
http://www.ciel-importshop.com/calendar1.htm

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玉川高島屋もそういえばクリスマス仕様になっておった。
クリスマスカタログなるものが無料でおいてあったが、高そうな商品が。。しかもあきらかに「ねぇ、今年のクリスマスはこれちょーだいね♪」なおねだりアイテムばかりである。ムカつく。
そりゃくれるなら欲しいよなぁ。シャネルマトラッセの時計とかな。文字盤、黒くてシルバーブレスレッドのあれとか。・・・けっ。