『無限の網―草間弥生自伝』

日本が生んだ世界的アーチストの一人、草間弥生の自伝を読む。

無限の網――草間彌生自伝

無限の網――草間彌生自伝

世界的に有名な美術のアーチストというとオノヨーコとか岡本太郎なんてぇのがいると思うけど、草間弥生もその一人で、前衛美術の旗手。ニューヨークを拠点に活動し続けた女性であるが、とにかく水玉模様が増殖している奇異な作品、精神病固有の幻覚がそのまま絵になったようなドラッグ的なアートなんであるが、自伝を読むとそのアートの根源がそのまんま彼女の知覚認識だったということを知る。

草間は現代70歳ぐらいでうちの母くらいの年だ。この手のすごいおばはんというとルイス・ブルジョアなんかもそうだけど、人間のエネルギーを越えたなにかがある。

草間の作品は60年代の前衛芸術の典型で活動もそれに連動している。オノヨーコのような知的な印象を受けるものではなくもっと根源的な太古のナニかを感じさせるような方法論でそれを表現する。60年代の流行ったハプニングにおいて裸体のパフォーマンスを行い、乱交パーティなどをアート活動として行うは、今の価値観からするとなんだか激しく稚拙に映る。しかしそれも時代のものだったと思う。60年代って、まぁなんつーか、ほんと青臭いなぁなどとは思うもののあの時代に生きるもの、ことに草間のごとき、旧家の息苦しい倫理の価値の中で生きそこから逃れることが唯一の自らの生きる道だった者にとっては、理屈を越えた必然の何かがあったのではあるまいか。
アメリカという極端なブレを見せる国でそうした運動が盛んに起きたってのは判らなくもない。若い国だからねぇ。
そういう環境の中で草間は生きる道を見つけ、自らの病と共に、しかもそれを芸術へと昇華させてしまう。なんともたくましい生だなと。感心してしまいました。
しかし草間さんって、風貌からしてすごいよねぇ。ブルジョアと草間さんだけは同じ部屋にいたらしんどいかもしれないや。
草間弥生のサイト↓
http://www.yayoi-kusama.jp/
尊敬するアーチストの一人でおます。