美術ギョーカイの勧誘

美術関連ではよく変な電話がかかってくる。
曰く
「先生のお作品をおフランスのなんたらいう評論家が気に入り・・」
「先生のお作品を見て気に入りまして、是非、グループ展を実現させたいので・・・」
「わが社でアート年鑑を作っておりまして是非、先生にも参加いただきたく・・」

概ね初対面でいきなり誉めるやつは信用しないわたくしはこういう出だしですぐに警戒モードに入る。だいたいこの手のは誉め殺しで実は出資させようという腹である。出品料に異常な金額がかかるとか、そういう話。まぁ下流なわたくしは「先立つものがないですからねぇ」と断る前にそもそも
「絵を売った金以外の経費を持たねばならないというビジネスシステムはその時点で破綻している」
「ビンボーな画家から金をふんだくろうというのは詐欺か鬼畜以外の何者でもないが、そういうことを抜きに考えてもビジネスとして金にならんだろう」
「マジならスポンサーを探せ」
などという御託を並べてお断りする。
こっちが持ち出しの商売なんぞ出来るか。プロだぞこっちは。ビジネスとして美術に生きてるんだからねぇ。ギャラもらってなんぼだろ。

というわけで先日も「美研インターナショナル」と「ゆうびどう」とかいうとこから電話が来た。美研さんはお話をしたが「何をするから、いくら出せ」とかそういう話になる前に、「上記のような現象がよくあるがどうか?」という世間話をしたら具体的な話になる前に終わった。まぁ違っていたら申し訳ない。「ゆうびどう」は幸いにして留守だったので出ないが似たような話かも知れぬ。

母の所にも変な雑誌社から「経営理念をインタビューしたいので」などという電話が来ていたが、こちらもすこぶる怪しい。なんせインタビュアーは男優とか女優だそうで、いきなり電話帳で調べた所に打診の電話をかけるという。状況から見ても激しく怪しい。

一応上記の会社は全て検索にかけてみたが、やはり怪しい気がした。インターネットの時代はすぐ情報が出るのでどうするんでしょうね。

まぁ、出資しても作品を世に出したいという人がいるならそれはそれで成り立つ商売なんだろうが、わたくしは以前から付き合いがあるところ、もしくは実存の人物を知っているところとしか仕事しませんですし、そもそも文庫本代すら事欠く下流な有様ですから、金のかかることは知り合いですらお断りするしかない。わたくしから現生がほしいなどと思う方は電話かけてこないよーに。