「救う」ってなんだろうね

島の本屋は小さいので品揃えがしょぼいんだけど、何故か前を通るとつい覗いてしまう。本読みの性。
先日銀行行ったついでにまた本屋に行った。坂東眞砂子の短編集があったので購入。読破。
不買運動」とかアホらしいので、坂東さんの本を寧ろ買う。積極的に買う。全部買うつもり。島にゃぁ売ってないけど。


ああた「不買運動」なんぞより子猫が可愛そうなら今からタヒチにでも飛んで引きとってやれ。もしくは保健所行って殺される寸前の子猫を救いに行ってやれっての。わたしゃカナとミモザで精いっぱいだから出来ない。責任もとれない批判ってのは難しいやね。勿論批判をするなとは言わない。ただ、その後どうする?って色々問われてくると思う。だから批判したなら先を考えないといけない。
自分的にはその先を考えた結果の「不買運動」なんて「だからナニ?」って感じ。元々興味もなかった作家に対して行ってもしょうがないだろうし、ファンならこれからも読むだろうし。そもそも猫が可哀想であるならターゲットたる猫の救いを考える方が建設的だと思う。私は犬飼いだから先日紹介したネパールのNGOが気になるけどね。ただ本人が救済されているような下流なんで今んトコナニもでけん。何か出来ても人間様問題のカリタスへの寄付とかの方が優先されちゃうけど。だって同じぐらい遠い出来事だとパレスチナとか、アフリカとか、もっと悲惨なのがあるし、身近には老人とかホームレスとかあるし。ああもう。世の中には山積みな問題大杉だよなぁ。
不買運動」が馬鹿らしいのは、個人がかってに「こんな作家よまねーよ」ってやりゃいいモノを「運動」にしてなんかしたような気になってる点だな。こういうのってよくあるけど。不買運動ってのは抗議の一形態?既にネットでこれだけおお騒ぎになり数多くの人の意見も表明されている。これ以上なにが必要なのか?社会的制裁?既に司法に通告した人もいるらしい司法に委ねるべきこと。それを村八分的に波状攻撃でやろうってのは、なんだ????例えば「自分もなにかしたい。」その手ごたえが欲しいなら「他者を葬る」より「救い」の方向へシフトする方がいいよ。もともと「子猫を救いたい」的気持から発しているわけだし。

で、eireneさんが日経の連載送ってくださるというので今それ待ってるトコです。
やはり連載ゆえに全て通じて読まないと作者の意図は判らない。ですから坂東さんへの批判なりナンなりは今ちょっと脇において、それ読んで今回の事を総括してみようかと思ってるとこだが、まぁ、批判を誠実に行うなら、彼女の価値を今一度知る事だ。あの文読んだだけで、頭ごなしに「サイコバス」呼ばわりするような馬鹿と同列になってはいかんよ。人を簡単にサイコバス呼ばわりする人のほうがわたしゃ怖い。お上が「あいつは敵だ!」と言ったら鵜呑にしてしまうかもしれない。洗脳されやすい自分ってのを畏れた方がいいづら。自分の意見そのものを疑え。というのが重要かも。
ついでにいえば、「己の信仰を疑え」
宗教がカルト化しやすいのは誰かお偉いさんの言うことを「疑う」という行為をしないからだと思うのだ。だから他人様のいう事はナンでも疑って検証して後、それが妥当だとするなら採択するっていう感じですかね。
で、「倫理」ってのは宗教の範疇だったんだけど、これってのも相対化してみないと時々怖い。たとえば「中絶」。カトリック教会が「中絶反対」なんてやってるけど、それは様々なスタンスの人々から批判対象になっているわけで。他にもなんだか時代錯誤と思える倫理がある。しかし「子猫は殺すな」と同じような心情から出ているものも多かったりする。中絶なんてどんな事情であれ「人の姿をしたものを殺すな」「産め」「育てろ」「育てられぬなら誰かに預けろ」な事だわな。でも現代社会においてそんな悠長な事言えないでしょって人も多いとは思う。「ならセックスするなボケ」とか思うけどまぁそういうわけにもいかんケースもある。レイプとか。鬼畜な恋人とか。
倫理というのは難しい。その根底となる環境、価値、文化、事情が違うと当てはまらなくなることも多い。

で、マザー・テレサは当然中絶反対なので「産んだら私が育てるから産みなさい」などと申していたらしい。ううむ。すごい。言った以上の責任とっている。その手法が正しいのかどうかはわたくしには分らないけど、「中絶なんかするな」という批判だけでおわらせない、元々の「子供が可哀想」という思いを「子供を救う」という積極的な解決に向おうとしている。その転換が重要なんじゃないか。などと思ったりした。

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倫理とまた批判する時の態度として以下に触発され申した。
不定期日記
http://d.hatena.ne.jp/Brille/20060829/1156863134
■倫理の臨床性。
http://d.hatena.ne.jp/Brille/20060831/1157044873
■おいてけぼりの子猫。


フランス的ロジックで考える竹下節子さんの談は以下のBBSで読むことが可能。示唆に富んでいます。
http://6318.teacup.com/philosophie/bbs
「一元論と仔猫殺し」という竹下先生の話を読んでください。ここでも責任問題という事が語られています。
因みに竹下先生は大の愛猫家です。