姉妹の邂逅

島犬カナとミモザの姉妹である島犬ロンが遊びに来た。
ロンの飼い主はわたくしの職場である短大の教授である。この教授、ロンが欲しくてただそれだけの為に島にロンを引き取りに来た。なんせ島犬カナたちの母犬は働く犬ケン。「犬」と書いて「ケン」と読む。相当暴力的な名づけ方なのだが、これが優秀。ホテルの飼い犬でお客さんを案内するガイド犬。頭がいいうえに必要以上に吼えない。落ち込んで自殺を考えていたというお客さんを助けたりと、まぁすごく賢い犬なのであるよ。あまりに賢いので新聞にも載ったことがある。
島での飼いかたは野蛮で放し飼い。当然避妊もしない。なもんでぼこぼこ子供を産んでしまうので、ケンは草臥れている。しかもぞろぞろと子供がいる。ある時飼い主が「いいかげんなんとかしてちょうだい」などと怒ったら子供達の引き取り手を捜しに旅に出てしまったこともある。我が家にも二匹捨てに来たことがある。まぁ「避妊しろよ」と思うけど島にはお医者さんがいないのでどうしようもない。


そういう母犬ケンの子供達、カナ・ロン・ミモザはそれぞれ性格がぜんぜん違う。カナは病弱な性もあって大人しい。上品といえば上品なお嬢さんという感じだけど、ようは病弱で無理しないだけ。愛想はいい。薄幸の美少女といった感じ。

ロンは元気。とにかく体格は一番大きく人見知りも犬見知りもしない。何故か男好き。愛想がまったくないうちの父にでれでれしていた。毛ヅヤもよく美人で、体のラインもグラマラスに鋭い。狭い我が家の今で走り回ってパワーが溢れている。いいなぁ。


ミモザは人見知りが激しいちんまい犬なので、ロンに押されていた。ロンが怖くて私や母の陰に隠れる。姉ちゃんなのに。

どうも我が家の犬は線が細い。飼い主の脆弱さが乗り移ってしまったのか?すまんとです。


ところで教授K村氏は以前島に遊びに来たのだがみごとに台風に遭遇して帰れなくなっていた。昨日も台風で風雲があやしからん状態だったけど、実は前回、我が家に遊びに来ると約束した日にやはり台風が接近して嵐だったので断念したことがある。(しかも酔っ払って2階から転落してしまったので打ち身激しく寝ていたらしい)
どうも遭遇するときは必ずナニかあるようだ。
そういうめぐり合わせの人っているよね。