秀吉が南蛮人から日本人を守った件について

先日からのネタ。
下流ニートな私は資料本も買えなくて考察出来ず悲しいんだが、色々と考えさせられるネタではある。
で、友人とこの件で電話で話していたら
「秀吉の時代って、日本人=同朋って発想なかったんじゃねーの?」
・・と言っていた。
そういやこの時代の戦国大名ってのは自分とこの領民って感覚はあっても、日本国という領域概念ってあったのか?
では何故日本人を売り飛ばすのを禁じたのか?九州の大名達の財源になっていたからじゃないのか?その財源を断てばただでさえ反骨地域の九州大名の力を押さえることが可能になる。という考え方も出来るなぁ。
当時の統治者にとって、或いはどの歴史の時代の統治者も、善悪よりも効率性を最優先しただろう。食い詰めた農民が海外に放出されるより国府を富ませる為にも留め置く方が理にかなっている。「君主論」的立場に立てばよく判ることだが。
欧州人にとっては自分達の文化や宗教が異る人々は労働力と見做されていたわけで、例えばヨーロッパ中世においてはイスラムの方が先進国だったので、イスラムに売り飛ばされる欧州人の話は多い。トルコのスルタンのハーレムにはそのようにして売られた妾が沢山いたわけだ。フランス人女性はかなり高く売れたらしいよ。中世ヨーロッパはイスラム社会から見りゃただの文明の遅れた蛮族に過ぎないし。力もないから。北アフリカ辺りで売買されちゃったりね。とにかく「弱い」ほうが売り飛ばされるという社会。それが近代に力をつけたら反対のことをしてしまうんだが、とにかくこれら「奴隷」という存在そのものが社会労働力として自明という時代だったようで。
日本の場合も、労働力としての農民も、結局食い詰めれば売られる羽目になって銅山での労働力にされたりしたと言う按配。その過酷な環境。死ぬまで働かされる。あるいは食い詰めた親に売られた子供の自由意志はない。結局、奴隷的立場に代わりはない。
これらを現代の感覚で倫理的に裁いても仕方がない。価値そのものがまったく違う世界であったわけで。戦国大名の財源としての人身売買なども、或いは秀吉が半島で行ったことも、それはその時代の価値によって動いている。切支丹弾圧も精神論や倫理観で弾圧したのではなく、宗教による結束力を恐れたということもあるだろう。ただでさえ一向衆やら僧兵などに悩まされた体験もあり、ましてや外来のあやしい国を背景にした宗教野郎どもなど信用が置けないだろう。ゆえに事前のリスク回避としての切支丹弾圧というのは、「日本人を切支丹から守る為」ではなく、統治者の統治の為の手法としてまことに理にかなっているという方が判りやすい。などと思うのであった。
そもそも中国史においても宗教野郎はたいてい時の政府の反逆者の巣窟になったりするわけで。その精神性による結束が自らの敵となった時は、はなはだ迷惑になるわけではある。
統治者の発想は善悪とは関係なく、統治における合理性で成り立つと思うし、またそうでなくてはならない。現実の問題に対応するには倫理など彼岸に置いとかないといけなかったりすると思うのだなぁ。「君主の徳」とはリスクを回避することが優先されるものだったりすると思うのですね。
◆◆
友人に前に勧められたブログ。トリカゴさんトコみたいな特定アジアニュース収集ブログのようです。
なもんで、見に行って眺めていたらこんな記事が。
○mumurブルログ
http://blog.livedoor.jp/mumur/archives/50398531.html
■「従軍慰安婦」が朝鮮人業者によるものだったということを朝日新聞が認めるも、反省の色無し

お?!!これは???規視感を覚えるぞ!!!!

従軍慰安婦」→「奴隷女性」「奴隷」
「日本軍」→「ポルトガル商人>なぜか批判の時はイエズス会宣教師に代表される」
「朝鮮キーセン業者」→「日本の人買い商人」

・・・・・・・・・・・・なんというか。はぁ。
とにかく「売られた女性/奴隷がいる」「売ったヤツがいる」「買ったヤツがいる」という事実がある。
・・・が、それを判断するとき、人のバイアスがかかる。という光景ですね。
キーセン業者の罪はどうよ?=日本人の人買い商人の罪はどうよ?
日本軍の罪はどうよ?=ポルトガルイエズス会宣教師)の罪はどうよ?

歴史素材はかように人の主観で他が無視されるのであるな。

ま、「従軍慰安婦」売買したヤツは赦さん。欧州の南蛮人どもも赦さん。などとというお方は一貫していると思うが、「『従軍慰安婦』問題はなかった」とか「売る方が悪い」と批判する人が「伴天連は日本人を買いやがった鬼畜」などと言っていたらダブスタである。(注・一応念のため。mururuさんとこは関係ないですから。)

わたくしとしては真実本当になにが在ったのか?なにが?どのように?なにをしたのか?という事実が重要であって、当時の価値観を現代で裁くのは難しくないか?などと思ったりするわけではあるのだが。ただまぁ、誰が悪いとかではなく、かどわかされてその仕事に就かされた女性はとにかく気の毒だなと思う。
(ただし、自称「従軍慰安婦」=つまり自由意志にもとずく選択によって慰安婦を選んだ人は対象外。「貧しさゆえにやむを得ない売買春の選択」という問題を倫理的に考えるにせよ、それはまた別次元の問題だ。)