ムハンマド風刺画その後

▼イランとシリア、デモ扇動」 風刺漫画問題
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060213-00000005-san-int
デンマークと米非難
【ワシントン=有元隆志】デンマークのラスムセン首相は十二日、米CNNテレビとのインタビューで、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺漫画を同国のメディアが掲載したことに対し、イスラム諸国で抗議活動が広がっている問題で、「シリア、イランを含め自分自身の問題から国際社会の関心をそらそうと、この状況を利用しようとしている国があることは明白だ」と述べ、両国が今回の件を政治的に利用していると非難した。また、ライス米国務長官も同様の認識を改めて示した。
アメリカが絡んでなお厄介になってきているようですね。イラン、シリアは既に「デンマーク紙」やヨーロッパの「表現の自由」とはまったく別なところへ騒動を拡大させようとしているようです。

▼反風刺画デモ、死者5人に パキスタン、連日の暴動
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060215-00000270-kyodo-int
→こんな風に、パキスタンでは関係ないはずのインド大使館やケンタッキーが攻撃対象に。

イスラム社会もまぁ困ったものです。初動において「表現の自由」に執着する欧州の「マスコミ」には腹を立てましたが、こういうイスラム社会の連帯の怖さというのはまた別の問題。結局、前教皇が予言した「南北の問題」つまり国家間の経済格差、欧米先進諸国と第三世界との衝突の問題はかなり深刻になるだろうと、それが世界を二極化させつつある気もします。これは「表現の自由」という問題とは別次元で論じるべきことだとは思いますが。
しかしだ、シリアのデモに「ケータイ」が使われているというけど、なんか最近下流ニートな私には「ケータイ料金が負担だ。もしかしたら無駄か?」とか「ネットの経費が辛い」とか、「その性で本も買えないづら」とか悩んでいるのに、ケータイをばんばん使い回せるって、なんかお金持ちだなぁとか実は思っちゃったりする。
まぁ日本の場合、食費にお金がかかるからなぁ。島なんて輸送代がプラスされるから、スーパーで買ってたら紀伊国屋で買うみたいな料金だし。あと税金。固定資産税がもうすぐくるのが怖い。貯金がないのにどうするよ?とりあえず光熱費以外の食費と生活雑費を一月1万円に押さえたい。本なんか当然買えん。CDも買えん。旅行?なにそれ?消費税値上げ反対。日本でも貧困問題があるぞ。(まぁその前に営業した方がいいんだけどね・・・・出版不況のせいなのか仕事があまりこないし。困ったもんだ)
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仕事が一段落したので、少し論考を進めてみる。
そもそも私が激しく貧困なのは自分自身の営業能力がないのに加えて、昨今のニーズにあまりそぐわない絵柄らしいのと、編集者の世代交代のせいと、出版不況のせいである。出版不況は、ブックオフなどのリサイクル業の発達で、出版社に還元されない経済システムが打撃をあたえている。そうなるとなによりも著者に還元されず、最終的に文化は衰退していってしまうと思う。ブックオフのごときまったく還元されない書店で買うのではなく、還元される形で購入して入れば一冊辺りの単価は安くなると思うんだが。どうだろうか?みなさん本を買いましょう。わたくしはしばらく買えませんが、大人買いが出来るひとは文化発展の為に貢献してくださいです。
それはさておき、コストパフォーマンスを押さえる為に出版界がまず削るのはデザイン部分で、イラストレーターなんぞに金払うよりデザイナーにフリー素材で処理してもらうとかに留めおいた方がコストが削減出来る。結果、挿画家達の仕事量は減る。この数年で本屋に並ぶ本の絵の数が激減した。ビジネス関係の本は文字が多くなった。これも時代の趨勢なので仕方がない。これらに頼らず生きる術を見いださないといけないんだけど、どうもよく判らない。絵しか能のない私はどうしたらいいんだろうかと悩むのであるが。とりあえずこれから絵描きになる人間には「食えないうえに下手すると浮浪者になる危険性のある仕事だ」とかアドバイスしてみる。「それでもいい」という人はたぶん本物だな。絵を描くのが、寝ることより、飯食うことより好き人間。
とまれ、こうした経費削減のしわ寄せが色々なぎょーかいで存在することは想像出来る。特に派遣社員に頼る体質、正社員の殺人的仕事量といった話はよく聞く。IT関連企業のプログラマーの仕事評価が異常に低く、女工哀史世界だとかもよく聞く話だし、姉歯ヒューザーの問題もそういう中で生じた。日本もいまやビクトリア朝時代の英国みたいな状態になるんじゃなかろうか?などと思ってしまうよ。ニートが増えているのもそういう閉塞した空気に耐えられない人が多いからかもしれない。(ニート世代はそれでもバイトの口があるからいいよ)とりあえず浮かした経費によって経済が上向きになったとしても実質的な体力は落ちる。企業という怪物のもと、奴隷化している人々が増えている気がする。小泉改革に懐疑的なのはどうもこうした近年の様相故であるんだが。
第三世界の問題はそれが世界規模でなされているということで、デモ起こしたりする人々のイライラ感というのはその線でなんとなく理解出来るのではあるが、それでも問題の主題を意図的に変更させたり(EX・欧州のマスコミの問題が欧米全体への批判になってしまう)、或いは根源的な問題を直視しない(EX・国内政治の問題なのに仮想敵国の問題にすり替える)でデモっているとただの「危険なヤツ」となってしまうとは思うんだけどね。
この辺りについてはマッコイ博士が中間層を大切にする改革をという話をしていたのが印象に残った。
○Dr.マッコイの非論理的な世界
http://d.hatena.ne.jp/drmccoy/20060215/p1
■[社会] 格差や二極化が問題というよりは・・・