ムハンマド風刺画問題追記

swan_slabさんが、法とその成立の歴史推移という観点からの論考をアップしておられました。
○+ C amp 4 +
http://d.hatena.ne.jp/swan_slab/20060212
アメリ憲法修正一条の哲学とフランスの言論自由の政治的コンテクストの違いについて
フランス史というのは王や教会との戦い、ことに革命以降は残存する教会権力との戦いみたいなものがあり、ナポレオン対カトリック教会とか、色々確執がありますね。教会の反近代思想を作りだしたのもこの時代。しかしそれ以前からアヴィニヨンに教皇庁を移したり、フランスというのは教会権力を利用したり疎んじたりと申しますか。仲がいいのか悪いのか、イタリアと違う歴史を辿ってきたように見えますね。
swan_slabさんが論評しておられる先のブログの論考も読みごたえあり。
○fenestrae
http://d.hatena.ne.jp/fenestrae/20060209#p1
ムハンマドの風刺画(1)−−フランスのメディアはなぜ火中の栗を拾うのか
→これ以外にもフランス政治事情がよく判る論評が幾つか。

個人的に、英国的な、アメリカ的な、フランス的な、或いはイタリア的な、それぞれの国で宗教というものに対する距離感というかそういうものに違いを感じておりましたが、フランスのように非常に極端な形でのライシテというのはどうなのだろうか?とか。或いは南米のように積極的に教会が政治的なものへと組み込まれていくような状況とか、どうも自分としては宗教というのは個人の領域故に政治に教会側が積極的に介入するのは望まないのですが、しかし同時に政治が個人の宗教的自由(つまり慣習的な部分においてまでもそれを否定し、排除する)に介入してくるのも嫌だと思うので、フランス的な或る種の極端さというのもどうなのだろうか?とは思いますが。

イスラムというこれまた極端なスタイルの宗教を持つ移民を抱えることとなった欧州がどのような解決を見いだしていくのか、ちょいと観察中。

ところでfenestraeさんの処で紹介されていたキリスト教関連の風刺画↓
http://jccabanel.free.fr/dessins_images_et_illustrations.htm
なんともうしますか、こりゃ酷い。勿論、笑ってしまうものもあるが、中には笑えない品のないものまである。流石に馬鹿文化に耐性の出来ている私でも「こりゃ、あんまりじゃないのか?」という風刺レベルの低い作品まである。まぁこんな風に宗教を嘲笑する文化があり、成熟というか、マヒしている環境だと、「なんで?」という線がわかり辛くなるのかもしれない。
昨今この手の佐藤亜紀なら怒髪天を突かせる宗教(まぁ新興宗教キリスト教が中心だけど)への嘲笑と侮蔑は、日本でも見られるがここまでやるほど酷くはない。あくまでもそれなりに理由があると感じさせる批判だったり侮蔑だったりするのだが、上記の風刺画などは、そのようなレベルの批判ではなく、尊厳を粉々に踏みにじる領域まで行っている辺りに別の異常さを感じなくもない。或る種の原理主義的な光景を逆転して見てしまうのは私だけなんだろうか?