わが家の殿方

現在、島の生活は父とわたしとカナとで成立している。役割分担を父は朝のごみ捨てとカナの散歩。と決め、やってもらっているんだが、今朝はごみの袋が重いとかぶぅぶぅ文句をいわれた。確かにごみ捨て場は遠く辛いのはわかるけど私はいつもその重さのゴミを捨てに行くんじゃがのう。
思えばわが家は振り返ると父はペンと箸より重いものを持たなかった。旅行などに行っても重い荷物を持つのは母の仕事。買い物に行ってもそう。悪意があるわけでもなく習慣なので気付かないだけだ。兄貴もそんな中で育ったので義姉と買い物に行っても義姉が両手に重いものを下げていても気がつかない。あまりにも気の毒なので「そりゃおかしいんと違うか?」と意見したことがあった。以来持ってくれるようになったらしいが、いやはや義姉はわたくしたちには言わないけど、他にも色々苦労してるんじゃないか?と心配になるよ。
母は古い考え方で育ったので男に逆らってはいけないとか大切にしなければならないと、家事、その他家のことで父を患わすことはいけないと思っていた。父が非常識なことをする人間でなかったからよいようなものの確かに父に逆らったり、何かを要求する母を見たことはなかったよ。でも歳がいくとだんだん本性が出てきて今は母の方が強い。意見も言う。文句も垂れる。普通の対等な夫婦になった。
しかし習慣付いたものは消えないので、父には家の中のことをいちいち指摘しないとなにも出来ない。坐っていて何からなにまでしてもらえた習慣が災いしてストーブ一つ点けることが出来ない。はっきり言ってこれは気の毒だよ。寒い中、待ってるんだもんよ。
とにかく気が遠くなるほどなにも出来ないので、母は苦労している。今回は母一人横浜に残った。正月は一人で過ごすとのこと。独身生活状態で羽根を延ばして貰うのもいいかも。