守護聖人

カトリックはわが国の八百万の神のごとき聖人というのがいる。聖人はそれぞれに守備範囲があり、縁結びとか、うせものとか、妊婦の聖人、主婦の聖人、とにかく色々働く場所が違う。これを鑑みてもわが国の八百万の神、神社の神様みたいである。お陰でプロテスタントから「異教臭い」などと批判されているが、批判されても仕方ないかもしれない。
で、歯痛にも守護聖人がいる。
聖アポロニアという方だ。
北アフリカアレクサンドリアの人で、異教の神々に犠牲と捧げるのを拒み、あまつさえ神像をぶっ壊すという失礼なことをしでかした為に捕らえられてしまう。そこで歯を抜かれる拷問に遭い、最終的に殉教と相成った。
歯を抜かれる拷問に遭ったというコトで、歯医者や歯痛に苦しむものの守護聖人となる。昔から歯痛というのは苦しいものだったと思う。ましてや麻酔などない時代には抜くしかなかった。地獄の苦しみであったと想像する。中世の人々はこの聖女に「歯痛をなんとかしてくれ」と祈っていた。
聖アポロニアは抜いた歯をはさんだやっとこを持ち、殉教を意味する棕櫚を手にしてにっこりしている絵などが、スルバランのにある。
これ↓
http://www.wga.hu/art/z/zurbaran/1/apolonia.jpg

さて、私は本日歯髄にある神経をぐりぐりぶちぶち抜かれ大変に痛い思いをしていた。こういう時こそ守護聖人に祈るべきかもしれないと思い、聖アポロニアの姿を想像してみたが、やっとこで抜いた歯を思い出すとよけいに痛くて、ぜんぜん守護してくれない。そのうえ「わたくしはもっと痛い思いをしたのになんというヘタレか!」と、怒られているみたいですごく嫌であった。却って苦しいことこのうえない。どこが守護聖人だかわからん。
結局、悶々としているうちに治療は終わってしまった。誰に祈ったらあの痛みが軽減されるんだろうか?神様やイエス様にも直接祈ってみたけど駄目だったから、わたくしの守護聖人のアントニオ様がいいのかもしれないよ。
とにかく歯医者だけは駄目だ。辛いよ。2週間後にまたいくと思うと嫌だよ。