眠れぬ夜のための講談本
研究室の教授が『GANTZ』の次にこれ↓を読め。と申したので読んだ。
- 作者: 隆慶一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1989/09/28
- メディア: 文庫
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吉原の成立とその風俗の知識を交えて語られていく江戸創設期の物語。要するに講談本です。作者が仏文科を出た人で脚本家だったこと「にあんちゃん」のシナリオをかいていたということとか、江戸時代の講談の世界にどっぷり浸かっているとは思えない略歴なのだが、江戸創設期というミニマムな時代の小説をしつこくしつこく書き続けたオタクっぷりを炸裂させながらかなりの数の小説を書き続けてきた。「きた」と書いたのはこの方がすでに亡くなられているからなんですが、流石、仏文をやられていた方だけあって、ビクトル・ユーゴーの正しき継承者とでも言いたくなるほど、この小説でも、吉原についての薀蓄や考察に満ち溢れている。それが面白い。単なる講談本の読者はスピード感を阻害するこうした記述はつまらんのだろうが、わたくしにはそちらが面白うございました。
これには後日談としての小説『かくれさと苦界行』もあり、それを併せて読むのがいい。
眠れぬ夜はオルテガより講談本かも・・・・。