気分はもう戦争

十字軍の騎士とはいわば「傭兵」であります。傭兵はとても古い職業で、十字軍でもほっとくといきなり山賊に成り下がる傭兵達を持て余して、聖地送りにしたという歴史もありますね。佐藤賢一さんの「傭兵ピエール」などが有名ですが、おフランス外人部隊はこのような傭兵によって支えられているということで、未だそういう職業軍人さんがいるわけです。

フランス外人部隊
http://www.f5.dion.ne.jp/~mirage/message11/fr.html

■[部隊における職種]
フランス外人部隊では、教練終了後各連隊に配属されるが、そこで各職種の技能を一つ修得する。
戦闘部門(フランス軍に存在する全ての職種)
事務(秘書、PCオペレーター、プログラマータイピスト、会計)
通信(通信士、通信機械工、電話オペレーター、テレタイピスト
自動車(各種運転手、自動車整備工、溶接工、板金工、塗装工)
建設(大工、塗装工、電気工、指物師
その他(ミュージシャン、看護士、料理人、写真家、図案家等)

図案家も求められているんですね(^^;いわゆるデザイナーか。。フランスならではの募集とも言える。(そういえばぬるぽ将軍は事務方面担当だったと申していたな。)

先だってイラクで人質(?)になった斎藤さんのその後は判りません。
彼はフランスの外人部隊に所属し、そしてその後「警備会社」に入ったようです。警備といっても戦闘地帯における警備であり、いわゆる「パイナップル・アーミィ」のジェド豪士のように民間の為に働いたりするような傭兵集団のようですね。
大友克洋の漫画にもこうした戦争を渡り歩く傭兵達が出て来ます。「戦争という需要」があるという事実に驚かされますが、世界では未だ紛争地帯が多くあり、こうした傭兵達が求められる場があるという現実はどこか物語めいた不思議さを感じつつも、やはり慄然とせざるを得ません。
しかし、そこに参加する人はその戦争の是非とは関係なく、任務をひたすら果たす徹底した職業人である事を求められているわけです。彼らは善悪の彼岸の存在であり、彼らをその場に駆り立てる決定機関に責任があるわけです。

斉藤さんはこんな方だったそうです。

イラクで拘束の斉藤さんは元ヤンキーだった   [最近のニュースから]   
http://blog.so-net.ne.jp/demoshika/2005-05-11-1

斉藤さんは中学校時代所属していたバレー部の顧問教諭に、つっぱている姿勢がただ気に食わない
という理由で殴られ続けた。理不尽な指導に斉藤さんの不屈の精神に火がついた。殴られても殴ら
れても決して斉藤さんは倒れなかった。ついには顧問が感服し斉藤さんに謝罪したという

高校を早々と中退した斉藤さんは友人たちと飲んでいた。宴もたけなわの頃、普段から口数が少な
い斉藤さんは突然「面白いからやくざでもしばくか」と言い出した。友人たちは戸惑ったが人望が
厚かった斉藤さんに付いて街へと繰り出した。繁華街にいるチンピラに喧嘩を売り、大喧嘩へと発
展した。友人らのうちある者は怖さあまりに逃亡し、またある者は滅多打ちにやられたが、斉藤さ
んのみはチンピラを打ちのめした。相当腕っ節が強かったのだろう。

札付きのワルだった斉藤さんはその後陸上自衛隊に入隊する。習志野第一空挺団に志願するも一通
りの訓練を受けた後辞めてしまう。寡黙な斉藤さんは理由を明らかにしなかったが、ある友人には
かったるかった」と漏らしている。「泣く子も黙る」と自衛隊内でも恐れられる空挺団でも斉藤さ
んにとっては生ぬるかったかもしれない。

寡黙だが、内に秘めたなんらかの怒りを常に持ち続けているタイプのようです。
おフランスは彼を讚えています。

国防省、斎藤さんの貢献たたえる
http://www.sankei.co.jp/news/050513/kok055.htm
フランス公共ラジオによると、フランス国防省報道官は12日、イラクで拘束されたとみられる
斎藤昭彦さん(44)が「誇りと忠誠を持って21年間、フランス外国人部隊で勤め、勤務成績
も良いとの修了証書を得て除隊した」と、長年の貢献をたたえた。

 報道官は「斎藤さんの現在の状況について何も知らないが、彼は曹長として軍歴を終えた」と
説明。「除隊後、彼はマルセイユ地域に住居を定めたようだが、その後の情報は何も持っていな
い」と述べた。
(共同)

求められていることに責任を持ち、徹底しているという人は尊敬出来ます。
同じ物語的な存在でも小林王子とは正反対の、気骨の或る殿方ですね。
斉藤曹長の無事を祈りたいです。