本の重さ

信仰の美学

信仰の美学

阿倍仲麻呂神父(本名)の本が妙に軽いことを書いたが、中身はそれなりに重い。まぁ神学という世界で生きている方の著作なので一般人には何がなんだか分からないだろうが、坂本龍一からエックハルトまで古今東西の色々なものに精通している様はカトリックギョーカイの山口昌男か、現代の尊師ベータか?といったところか?
しかし重量が妙に軽い本というのも珍しい。700ページという厚さ。幅だけ比べると平凡社の中世思想原典集成シリーズに匹敵するが、あっちのほうがもっと重い。比較的軽い印象を受けた親父の書棚にある扶桑社の「国民の歴史」よりもっと軽い。匹敵するのは今は無きスコラ出版の藤原カムイの「雷火」ぐらいかのう。
ところで阿倍仲麻呂師(本名)の本とは逆に、ページ数1200を越えるというふざけた仕様のル・ゴフの「聖王ルイ」は重すぎて持ち歩いて読めやしない。電車の中で立って読もうと思うと手首をおかしくするし肩も凝る。布団の中で読もうとするとなんとなくページをめくりづらい。書見台でもないと辛い体力消耗本である。辞典やアート本以外では私の蔵書の中ではキングオブへびぃなル・ゴフ。お陰で読破していないよ。我ながら「ルイちゃんは重量がある。」というぐらいしか頭に入ってないのはどうかと思う。
そういえば前述の山口昌男の「内田魯庵山脈」も分厚かったなぁ。これも重いんで読破して無いや。山口氏といえばお体を壊されて心配していたが、展覧会にいらしてくださって元気なお姿を拝見。「山口昌男山脈」なる雑誌を出して相変わらず意気兼好。この人も隙間家具的物件を見つけてきては云々する博覧強記な方ですが最近岩波の文庫版で「挫折の昭和史」が出たらしい。これも元本は重い。文庫はありがたい。年取ると文庫がいいや。重くないんだもんよ。