チベット問題の影でのあれこれ

本日のチベット
一日一チベットリンク運動/Eyes on Tibet

まずは気になる読売の社説から

チベット対話 もっと早く決断すべきだった(4月26日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080426-OYT1T00005.htm
日本や欧米諸国など国際世論の圧力が、中国指導部の強硬姿勢を転換させたと言えよう。

中国政府は25日、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世側との対話を近く再開することを明らかにした。

北京五輪聖火リレーがきょう26日に長野市で実施される。中国政府の方針転換を受け、聖火リレーが、整然と平穏のうちに行われることを期待したい。

それにしても、中国チベット自治区ラサでの抗議行動鎮圧から1か月半余り。今月1日に聖火リレーが開始されてから、欧州はじめ世界各地で聖火リレーの混乱が拡大してきた。この間、中国政府は「五輪直前という時期を利用した計画的な策謀だ」と非難するばかりだった。そもそも武力弾圧には限界がある。中国政府は、もう少し早く対話姿勢を打ち出すべきだった。

近く開催されるダライ・ラマ側の代表と中国政府側との対話は、必ずしも楽観できない。インド北部ダラムサラにあるチベット亡命政府と中国政府・共産党側との最近の対話は、02年9月に再開された。毎年1回実施され、昨年6〜7月の上海などでの6回目を最後に途絶えていた。対話の詳細は不明だが、ダライ・ラマ側は、中国からのチベットの分離・独立を断念し、「高度な自治」を求めている。具体的には、チベット自治区と周辺のチベット族の居住地域を対象に、香港のような「1国2制度」の適用や、チベット族の宗教や文化を尊重する少数民族政策を要求している。しかし、中国政府は亡命政府側の主張を拒否し、進展のないまま対立が続いている。平和的な話し合いを通じてしか、問題の解決はあり得ない。粘り強く対話を続け、接点を見いだす努力をしてもらいたい。

福田首相は、先に訪中した自民、公明両党幹事長に胡錦濤・中国国家主席への親書を託し、ダライ・ラマ側との対話を求めていた。高村外相も、来日した楊潔チ(ようけつち)・中国外相に対して、無条件で対話を再開するよう促した。中国政府は、今回の発表を日米両国などに事前通告してきた。国際世論を受け入れて、今後の聖火リレーにおける不測の事態を避けたいのだろう。

5月6日から胡主席が来日する予定だ。日中首脳会談を良好な雰囲気で開催するためにも、長野市での聖火リレーを“成功”させることが大切だ。

 (楊潔チの「チ」は竹かんむりに「褫」のつくり))

(2008年4月26日02時06分 読売新聞)

中国の視点が日米に向いているという点を留意しておきたい。

チベット情勢沈静化に協力申し出、ダライ・ラマ胡主席に書簡
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080425-OYT1T00112.htm
【ワシントン=黒瀬悦成】チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世のロディ・ギャリ外交担当特使は23日、チベット情勢に関してダライ・ラマが中国の胡錦濤国家主席に書簡を送り、情勢の沈静化に向け協力を申し出ていたことを明らかにした。


ギャリ特使が同日、米上院外交委員会の公聴会に提出した書面証言によると、書簡は3月19日付けで送付され、「チベット住民の苦悩を和らげるため、ダライ・ラマチベット自治区への使節団派遣を提案した」としている。一方、ダライ・ラマ周辺が中国当局と事態打開に向けた協議に入った、とする一部報道については、「事実が誇張されている」と否定した。

AFP通信によると、ギャリ特使は公聴会終了後、記者団に対し、中国側から書簡への返事は来たものの、ダライ・ラマの提案に対する具体的な回答はなかった、と述べた。

(2008年4月25日01時14分 読売新聞)

▼中国がダライ・ラマと対話へ、国際圧力の回避狙う
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080425-OYT1T00660.htm
 【北京=佐伯聡士】中国国営の新華社通信は25日、中国政府の関係部門が、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の私的代表と近く接触し協議するための準備を進めていると伝えた。
3月14日にチベット自治区ラサで発生した大規模暴動鎮圧後、中国政府に対し、ダライ・ラマ側との対話再開を求める国際社会の圧力は強まっており、約100日後に迫った北京五輪の成功に向け、こうした圧力をかわす狙いがあるとみられる。

双方は2002年以降、昨年7月まで6回にわたって水面下で接触してきた。しかし、中国側がラサ暴動をダライ・ラマ側の「策謀」と断定して非難を強めたことから、接触が困難な情勢になっていた。

25日の新華社電は、中国側が「ダライ・ラマ側からの度重なる対話再開要求を考慮した」と説明したうえで、ダライ・ラマ側に対し、中国政府の「対話の扉は一貫して大きく開いている」と強調した。

 その上で、中国側が本格的な対話再開の条件として、ダライ・ラマ側に突きつけてきた〈1〉祖国分裂活動の停止〈2〉暴力活動の画策・扇動の停止〈3〉北京五輪妨害・破壊活動の停止――の三つを改めて提起、「実際の行動」で対話に向けた環境を作り出すよう求めた。

 一方、ダライ・ラマのスポークスマンはAFP通信に対し、「正しい方向への一歩だ」と述べ、歓迎する意向を表明した。近く行われる中国側関係部門とダライ・ラマの私的代表の接触について、具体的な日時や場所は明らかでないが、本格的な対話再開に向け、3条件について話し合う事実上の予備協議になる見通しだ。

(2008年4月26日00時50分 読売新聞)

対話受け入れというが中国の主張は変わっていないようだ。そしてダライラマの主張は〈1〉祖国分裂活動の停止〈2〉暴力活動の画策・扇動の停止〈3〉北京五輪妨害・破壊活動の停止・・は始めからそのように中国と全世界、そしてチベット人達へ常に訴え続けていたことである。但し既に自由主義国家で活動する多くの亡命チベット人、また圧政下で苦しむチベット人の自発的行動を阻止出来ようはずもない。事実上の拒否としかいいようがないと思うのだがどうなんだろう?もしくは日本政府にも日本国内のメディアの言論を統制しろなどと言ってのける中国にとってメディアをはじめ、その配下にある存在、国民というものはコントロールするべきというか、コントロール下にあると考えてるんだろうか?謎だ・・・・。

直接的なモノではないが気になるニュースとしては・・・

パラグアイ大統領選:左派勝利、「台湾と断交」浮上 対中接近、言及
http://mainichi.jp/select/world/news/20080423dde007030042000c.html
アスンシオン庭田学、台北・庄司哲也】南米で唯一、台湾と外交関係を持つパラグアイで大統領選に勝利した中道左派のルゴ氏(56)が、対中国交樹立についても「検討する」と言及、台湾と断交する可能性がとりざたされている。台湾側は危機感を強めており、外交関係維持に全力を尽くすとともに「大統領一個人で決められない」などとけん制している。

ルゴ氏は当選後の22日の会見で「中国との関係具体化に向け作業を始める。他の国が中国と商業的、外交関係があるのに、我々が取り残されるわけにはいかない」と語った。

パラグアイは89年まで反共の軍事独裁政権が35年間続いた影響もあり、台湾と外交関係を維持してきた。台湾はパラグアイで国会議事堂建設、国会議員へのパソコン支給、低所得者層向け住宅建設などを支援し、支援額は07年で約2900万ドル(約29億円)にのぼる。

 しかし、対中国の貿易量が急増、対台湾貿易を大きく上回っており、ルゴ次期政権は少なくとも中国の貿易事務所開設を認めるとの観測も出ている。

 台湾と外交関係がある国が多い中米では昨年6月、コスタリカが突然、台湾と断交し中国と国交を樹立した。

毎日新聞 2008年4月23日 東京夕刊

南米に着々と親中国国家を作り出している中国。まだ憶測の段階ではあるが、コスタリカの前例があるので台湾としては不安要素であろう。
因みに話はチベットから外れるが、この大統領。元司教という。カトリック聖職者が政治に関わるたぁ、問題だが、まぁ司教の職を引いてというので、いいかもです。政教分離原則が守られないというのは、実は恐ろしい結果を生むこともあるので、バチカンが解放の神学絡みのこの手の聖職者を警戒するのは当然である。圧政下に苦しむ民を解放する革新政権が圧制側に回るということすらあるわけで、教会はどんな場面でもどれか一つに加担するというわけにはいかない。示唆するにとどめるのが関の山。俗な世界のプロトコルと聖職者のプロトコルは厳密に分ける必要がある。なので政治したいヤツは聖職者の職を引いてからやれよと。
・・で、その元カトリック司教大統領。可哀想な台湾を見捨てないでくださいよ。バチカンも国交結んでるんだから。

聖火リレーに関しては、そもそもオリンピックにあんまり興味ないんでなんとなくスルーしていた。聖火リレーなんて開催国のプロパカンダに過ぎないし。聖火リレーそのものが馬鹿じゃねーのって思っておったっす。。中国に限らずどんな国のでもさ。ナチとかが喜びそうなイベントだよ。オリンピック競技自体は、日本の選手が頑張ってるのを知るのは嬉しいけど、そもそもがスポーツ全般に興味がないのでなんとなくいつもみそびれているうちに、オリンピックが終わっている。

というわけで今回もあんまりどうでもいいやって気分だったんですが、鼻息荒い中国に激しくうんざりな気分になるだけな聖火リレーなんぞいつもの五倍ぐらい見たくないや。な気分。
ただ、長野県警が青服集団を拒絶したというのは偉いと思った。・・・・しかしである、デモに行っていた人がこんな報告。
○想像力はベッドルームと路上から
http://d.hatena.ne.jp/inumash/20080426/p1
■『聖火リレーin長野』スタート&ゴール地点状況まとめ

あああ。長野県警は中国に中国の警備派遣を断ったという漢っ気の強いトコを見せたのだが、おれたちだけでやると威勢のいいこといった以上、安全につつがなくリレーが終了することを目標として動きすぎたというか。。。。まぁ合理的に考えるなら問題分子を排除するのは当然である。ただ、なんつーか、やり方が中国政府のごとくコントロール下におこうという按配で反発食らったようです。
結果としては大きな問題が起きなかったのはほんというといいことなのだとは思うのだが、なんだろうねぇ。もやもや感は残りますね。

しかし、inumashさんは偉いなぁ。行動するし、報告してくれるし。

別の参加者からの視点
○sjs7のブログ
http://d.hatena.ne.jp/sjs7/20080426/1209218287
■[言及]自分の感覚としては、「棲み分け」は(すべきではなかったけど)やむなしだった

冷静に状況観察しておられる。
どうも劣化ナショナルな人が煽っていたようです。右翼系団体の人らしいのが「シナ人は帰れ」などと叫んでいたようですよ。右っかわに頭がねじ切れたトンデモというと、以前、チベットデモで「竹島はわが領土」などといってるどさくさ紛れの馬鹿垂れがいましたね。それについて某所で批判したら新風党シンパの人から「ぜんぜん問題ない」などと回答が来てあきれたことがありましたよ。こういう人たちは別の場所で中国排斥運動などをタコ壺こもってやってなさいです。ダライラマが主張している「対話」をぶち壊しにすること判ってんのかねぇ。粘着で攻撃的な頭の悪い人間は嫌いである。つってもまぁこういう人もデモ活動出来る自由さがある日本はいい国であることは確かであるが。

にしても中国旗が大量に並んでいる写真も異様だなぁ。嫌中ナショナルな新風君的には、縄張りには入り込んできた雄犬のごとくみゆるのだろう。吠えるスイッチが自動的には入ってしまうと思われ。もっともわたしもああいうのは気持ち悪いと思う。全体主義ってやだね〜的に。とにかく全体主義的なナショナルな光景というのはどうも尻がむずむずする感がある。某新興宗教団体のアリーナ貸切っての大会とか。或いはカトリックでも列聖式なんかいくとそんな気分になるかも。

あとチベット人で台湾に亡命した人が妨害行為で捕まったらしいです。一応妨害行為ということで逮捕されたんだろうけど、丁寧な扱いを受けていることを祈ります。この人、二重の意味で大変なものを負ってると思うのでなぁ・・・。

それからこんな人も捕まったらしいです↓

▼【激写! 聖火リレー】何者? 目的は? 「黒タイツ男」職務質問の瞬間
http://sankei.jp.msn.com/sports/other/080426/oth0804261224022-n1.htm
 【現地にて国府田英之】彼は何がしたかったのか。中国やチベットの旗を振る人の群れの中で、全身黒のタイツに三日月型の銀のお面をかぶったコスプレ男性が、沿道を疾走する姿を目撃した。
 すると、警察官3、4人に取り囲まれ職務質問され始めたため、テレビカメラのクルーなどとともに追いかけ、連行される直前に“激写”した。
 異様な姿に動揺しながらも、夢中でシャッターを切った。

何者?>月のように優しく見守る月男です。
目的は?>月のように優しく見守るのが目的だそうです。
http://www.tanteifile.com/baka/2008/04/26_01/index.html
というか「探偵ファイル」って懐かしいなぁ。大住・・・・・ワロス

なんかこういう場面で不謹慎だなぁとは思うものの、キャラがあまりに虚脱系なんで、虚脱して笑うしかないです。こっちはお巡りさんに絞られた方がいいかも。

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本日のブログペットミモザのご神託

ミモザ占い:チベット人達運まあまあ

対話受け入れというが中国のチベット人達は変わっていないようでしょう

あ、ああ・・・そうなの。そうかもね。