流行り系の「スピリチュアル」にだけは目をつけられたくないもんだ

島の本屋は正直しょぼい。文具やさんと共有のと新聞やさんがやってる古本屋だか新刊本屋さんだか判らないのが2軒。人口比からして仕方がないが、とにかく今まで知っていた本屋さんとは全然異る。大坂の本屋でビジネス本とハウツー本しか置いてなかったことに衝撃を受けたことはあるが、それすらもない代わりに、郷土本は充実している。これは助かるのでそれを見に行くのが愉しみだったりする。しかしそれ以外の品揃えは流石に辺境を実感せざるを得ない。
その本屋、最近、なぜか江原啓介だか江原啓之たらいうニューエイジ系で売ってる男版、細木かず子みたいな人の本がなぜか平積みになっている。実はこの人よく知らんのだが、ネットで見ると細木さんと同じように評判悪い。あなたの前世が云々とか言うのだがなぜかそれが欧州人ってどうよ?みたいな。

どーも心霊ギョーカイでは沖縄をはじめ南島は癒し系ジャンルに組み込まれている場合もあるようで、その流れでスピリチュアル系に受けがいいってのもあるんだろうが、この手のビジネス的なスピリチュアルに目をつけられたらと思うとぞっとする。金になるからと、流行りもんだけで扱われたら嫌だな。

そもそも個人的に、生理的にダメなんだな。電波系。カトネタ書いてしゅーきょー話するわりに、どーも精神世界の上澄みみたいな、つまりムー的な話が苦手である。だからカトぎょーかいでも出現ネタとか予言ネタをマジ話されると引く。文化現象として観察するのは好きだが、自分的にはどうも苦手である。
幸福の科学」というニューエイジ系の宗教に入信した友人がいて「先生が講演していたら空に巨大な十字架が現れたんですよ!すごくね?」って興奮して語られたんだが、そいつは、あ〜、あれだ。コンスタンティヌス帝の奇跡物語だな。だが違うシューキョーの人がなんで十字架????などと思ってしまった。まぁカトリックの黴のはえた聖人伝にゃぁよく出て来る話だ。『黄金伝説』なんかよむとあるよ。

黄金伝説 1 (平凡社ライブラリー)

黄金伝説 1 (平凡社ライブラリー)

13世紀の本。
つまり、まぁ人間というのはこの手の人知を超えたものに弱いのは未だ変わらんということで、一定のニーズがあるのは当然だとは思う。だからまぁそれを提供するってのも悪いこっちゃないんだろうが、今生きて現実にいる人間がそれによって人知を超えた存在になる的な方向に行くとカルト宗教への道へと陥りやすくなる。つまり奇跡、形而上的なことをを餌にビジネス的に金儲けが目的となったらもうダメポである。

江原氏なんかも心霊ビジネス。有り難いツボ売るのと同じなのか。とにかく新興しゅーきょーのカルト的なやな部分をエキスにしたみたいな。そんなのが本屋の店頭にどんと置いてあるだけで引く。どーも我が島の本屋のこれだけあるんだから全国的にも流行っているのかもしれないが。。。どういう風潮なんだ?こら?世間知らずになっているんで世の中のことがよく判らんが。実家の本屋でもあんまり見なかったもんで。

島には伝統的なスピリチュアルがあるのでその流れでちゃんと理解してもらいたい。古神道として確立された世界がある。伝統文化の上に成り立った精神世界であり、それは年間の生活を通して知るものゆえに、もっともっと体感的で、日常的なもので、簡単に切り取って体験出来るものではない。島人達が体験してきた歴史や思いの蓄積されてきたモノの上に成り立っているものだから。
それに「スピリチュアル(神秘主義)」だって伝統がある。古くはイギリスの心霊運動とかにはじまるものだけど。胡散臭いような前世がどうたらとかではないよなぁ。シュタイナーはなんじゃか進化論を応用したようなへんてこなことも書いているが人間精神の発達に寄与する新たな視点を与えるようなことも考察している。カトぎょーかいだってスピリチュアルなら、聖ベルナールをはじめ、ビンゲンのヒルデガルト、ドメニコ会、フランシスコ会カルメル会イエズス会と言ったさまざまな修道院神秘思想、霊性を伝統的に持っているが、これなんかはあくまでカトリック的な文脈で理解しないと読み誤る。上澄みだけかっさらって理解していると下手すりゃオウムになりかねない。ハルマゲドンなんか演出すんなゴルァ。ってな感じで。
そういや、ただの60年代ヒッピームーブメント的な代物として聖フランシスコなんかも、そんな扱いを受けていたけど、ああた、今、ヤツが生きていたらベネディクト16世よりももっと保守的な発想しているかもしれんぞ。

・・・とまぁ、なぜか品揃えが少ない本屋で異常な数の江原本が並んでいた為に、もんもんとしたのであった。

◆◆
江原啓之について名前すらちゃんと記憶してなかった恥ずかしい私であるが、ちょっとはてな繋がりで色々語られていた。

江原君現象についての考察は以下の方に同意である。
○双葉亭日乗はてな出張所
http://d.hatena.ne.jp/lelele/20070511/1178860407
江原啓之 vs ニューズウィーク記者

どうも江原氏はNewsweek誌でボコられたらしい。

リベラルが売りもんのNewsweek的にはまぁこの手の迷信臭いネタをビジネス化してるってのは看破出来んこったろうな。オウム後の日本の抱える問題点を取り上げているんだろうが。

しかしNewsweek誌、読んでないから判らんですが、こんな一節とかはどうなんだろう?

スピリチュアリズムに対する免疫力不足は、日本ならではの特徴のようだ」

西洋人も同じだ。基本的に。いままで伝統的なキリスト教が力持っていたからだろうが、例えばローマ・カトリックの歴史においても、上記に紹介したように免疫なしな話は多いし、教会内にスピリチュアル現象を内包していたに過ぎない。自分トコで飼いならしていただけ。教団が沢山存在し新興宗教も多いアメリカなんか、ブランチ・ダビアンとかどうよ?などと逆質問したくなるかも。ディスカバリーチャンネルでもあやしい系多いよ。

しかし・・江原氏の顔を初めてしったけど、ほりえもんかと思った・・・。

それでぼこられた江原氏こんな記事まで書かれてしまっている↓

▼挑発質問に「経歴詐称疑惑」 江原氏踏んだり蹴ったり
http://www.j-cast.com/2007/05/14007584.html
■会員簿に江原氏の名前がないことが判明?

■雑誌のインタビューでは、「投げやり」とも取れるやり取りも

執筆したのは、ジャーナリストのコリン・ジョイス氏。英高級紙『デイリー・テレグラフ』の東京特派員などの経歴を持ち、日本滞在歴は15年を越える。記事では、江原氏の「スピリチュアリズム」が日本で受けている背景を「入り口のハードルを巧みに低くすることで、信仰を持たない人々の心をつかんでいるようだ」と分析。江原氏を追う形で「スピリチュアリスト」が続々と登場し、スピリチュアリストの「見本市」の盛況ぶりを伝えている。

その一方で、江原氏を初めとする「スピリチュアリスト」への懐疑的な記述も多い。例えば、スピリチュアリストは英国を「聖地」と仰ぐのに対して、「(英国では)一般市民もスピリチュアルにはほとんど関心がない」としていたり、江原氏が留学中に学び、しばしば特別な敬意をもって語られる「英国スピリチュアリスト協会(SAGB)」のことを

「ドイツや日本など、国外からの問い合わせも増えているというが、会員数は2,000人前後止まり。実際はごくマイナーな団体に過ぎない」

と断じている。
さらに、江原氏は、自身の著書では「世界ヒーリング連盟会員」という肩書きを使用しているが、

「本誌が問い合わせたところ、現在は同会の会員簿に江原の名前がないことが判明した」

と、「経歴詐称疑惑」まで提起している。

うーん。天下のNewsweekにまで俺様登場か?と悦んでインタビュー受け手がっかり状態ってトコかな?
確かに双葉亭のleleleさんが江原さんちょいと気の毒と思うのも無理ない。この手の精神世界モノって昔からあるわけだし、ニーズがあるなら提供する人がいるのは自然。だから金になりそうだと群がって持ちあげ、社会現象化させた人々も悪いよ。

◆◆
スピリチュアル問題についての本をチェック。

<スピリチュアル>はなぜ流行るのか (PHP新書)

<スピリチュアル>はなぜ流行るのか (PHP新書)

これ、id:karposさんも読んで、書評書いてらした。
BK1で今、注文したいが、これ一冊で送料500円って阿呆臭いので、来月買う。備忘。

そういえばカトぎょーかいからも「JESUS CHRIST THE BEARER OF THE WATER OF LIFE:
A Christian reflection on the “New Age”」なんて本が出とるらしい。世界的規模でのスピリチュアル系流行に警鐘ならしとこ。・・って、バチカン様からのありがた〜いお話なんだろうが、日本語訳も出とるらしい。
こうてみたいが、BK1では扱ってない。べね16の『神は愛』も扱ってない。どーも調べたら、黒猫さんならいいらしいが、登録するの面倒だなぁ・・。パスワードとか。

しかしバチカンがこういう本だすくらいなんだから、日本だけじゃない現象だよね。やっぱり。