アントニオ・ダ・パドヴァ

パドヴァのカルッチョチームを見守る守護聖人アントニオ様。
彼を讚える教会がパドヴァにある。パドヴァってのは有名で歴史のある大学もあり、ガリレオ君も学んだとこだ。町の規模はなんとなく名古屋みたい。ジオットーの有名な壁画のある礼拝堂も、ドナテッロの傑作ガッタメラータ像も、市庁舎の側には12星座の壁画のかかれた巨大な建造物もアリ、なかなかじっくり回っても面白いような観光物件を隠しているよ。
その町のはずれにあるアントニオ大聖堂は、霊験あらたかでナンでもいうことを聞いてくれるありがたーい聖人の総本山といった按配で、さしずめ善光寺みたいなモノでございますね。洋の東西を問わず、時代も問わず大衆はそのような(自分にとって)在り難い存在は大切にするという按配である。まぁ偶像崇拝なんぞと堅いことはいわないお約束。
彼は「失せ物」と「縁結び」に効用がある。彼自身がかなえるわけでなくあくまで「取り次ぎ」なので、天国における遺失物窓口担当、及び少子化対策委員会会長といった按配かもしれぬ。なんでも存命中に彼の持っていた書物がなくなり・・だか忘れたけどそんなエピソードがあった記憶がある。そういう事を書いた本を探そうと思ったらエピソードが失せ物になって見つからなかった。そもそも旅の間になくしものをしないようにとアントニオ像を持って行ったらロシアでしっかりアントニオ像が失せ物になりました。それくらいな効用。せいぜい師匠にその話をしたら大変に受けて、喜んでもらえたので特した気分になったぐらい。


当のアントニオはポルトガル生まれ。貴族の家に生まれ、聖職者になり、アウグスチノ会だったかどっかに所属していた。しかしかなりお馬鹿な人なので、フランシスコ会の修道僧達がイスラムの地に行って殉教したという話を聞いて、フランシスカンになってしまい、イスラムの改宗と殉教夢見てモロッコに旅立っちゃったりしています。しかし、勇ましく嗚呼玉杯に花うけて〜〜〜♪とか歌いながら金波銀波のジブラルタル海峡を越えていったはいいが船酔いになり、何も出来ずにぶっ倒れていたという体たらく。

まぁそういうちょっと抜け作な聖人ですが一応、頭脳明晰な教会博士でもあります。馬鹿と頭のよさが渾然一体となった聖人。
隙のないえらそーな聖人よりはずっと親近感が持てると思いますです。
でもそんな偉い人でも、世界中の人々の失せ物やら縁結びやら、カルッチョ優勝のために天国で働いているということです。