浜に鴫と遊ぶ

島犬カナの散歩コースの一つの海岸はいつも人気がない。昨日つけた私の足跡がわかるほどだったりする。珊瑚が隆起して出来たこの島はほとんどが岩場でその岩の窪みとなる場所に長い年月をかけて珊瑚や貝が波に砕け散り、あるいは珊瑚の幼虫の殻が堆積し、南国の固有の白さの浜が生まれた。だから海岸線には白い砂と岩とが交互に存在する。うちの側の浜は岩場に囲まれてはいるが比較的大きく、何度か往復すると丁度いい運動になる。
その浜に島犬カナを放すと弾丸のように砂浜を駆け巡り全身で喜ぶ。こちらも適度に浜を行ったり来たりしたのち、岩場を越えて隣のとても小さなくぼみのような浜に移動する。島犬カナもいつものコースを心得ていて先に行ったり後になったりしながら岩場を越えてゆく。
昨日はその岩場に珍しいお客さんがいた。くちばしの長い鳩ほどの大きさの鳥が数羽、波のよせる岸壁に羽根を休めていた。鴫の一種で、この季節になると遙か豪州から日本の北国へと夏を過ごすために渡りにやって来る鳥さん達である。島はこれら渡りの鳥達にとってのイタリア語でいうバスストップ「フェルマータ」である。音楽用語でいう小休止。そういう場なので、色々な鳥さんが飛来しては去ってゆく。
出会ったのはこの鳥さん↓
http://www.gt-works.com/yachoo/zukan/tori/sigi/oojisigi.htm
オオジシギというらしい。
さて、我が島犬カナは岩の上に休む鳥さんを見て、いたく狩猟本能をかき立てられたらしくでこぼこに切り立った岩の上を上手いことバランスとりながら鳥さんに向って突進していったが、まぁ鳥には羽根があるわけで、見事に逃げられておりました。足下も危うい岩の上でぼーぜんとしているのはいいが、その足下には荒い波が砕け散っている。先日のようにどぼんと海に落ちたら困るので、呼び戻す。
怒られると思ったらしく「済みません」ポーズをとってやってきたが、別に怒らんて。