ユベロン地方とか

◆ユベロン地方
ゴルドを中心にこのクソ度田舎に散らばる物件を見ているわけだが、この辺りはユベロン地方というらしい。セザンヌの絵に出てくるサン・ビクトワール山は南仏はプロヴァンスの固有の大地の表情を見せるが、その山の連なりの流れにユベロン地方も存在しているのか、とにかく南仏は全域に渡って岩山文化が多い。・・・と、書くと変に思えるがようするに(何処でもそうだと思うけど)石造りの建物の石は現地御用達なので建物の表情が現地の石に左右されてしまうのですね。そもそもフランスは古代の古い地層が隆起して出来た台地がそのまま残るような地形をなしていて、火山地帯である日本とかイタリアのような厳しく険しい山がどかどかあるというよりはゆったりとした大地やうねりが続くような国なのだな。行けども行けども丘が続くとことか多いよなぁ。それで南仏も古い地層がむき出しとなっているために、原始時代の壁画とかあるし、岩山もなだらかな表情で石が顔を覗かせている。
ユベロン地方で採掘される石はどうやら縦に割れる性格があるのか、その薄く割れる石を用いた建造物が多く、固有の表情のディテールを産み出しているようだ。薄く割れる石ってのは扱いやすい性もあって、この地方では気軽に壁やら塀やらに用いている。なもので琉球のような石壁が続く固有の光景があちこちに見られる。
特にゴルド周辺にはエスキモーの家のように石を屋根まで積み上げた変な形(舟形?)の家が点在していて、ボリーという村ではそれらがにょきにょき生えていてまるでムーミン谷のようであるよ。(或いは『バタアシ金魚』で主人公の薫が山村で特訓していたときに仲良くなった「猿」の家みたい・・って、誰もわからないか)とにかくおかしなお家である。未だに倉庫として実用している所も多い。
イタリアにもアルベロベッロというへんてこ家の村があるけど、石で有機的なフォルムが作り出されている。ユークリッド幾何学の知識でもって建てられたシトー派の建築群とは対照的な庶民の形。不思議と安心感のある形ではあるが・・・石だけにやっぱり寒い。アルベロベッロは壁部分を漆喰で固めているが、ユベロンのは石を積んだままむき出しの状態で使っている家が多かったようだ。中には内部を漆喰で固めた家もあるが基本的にはエスキモー状態だよ。

ナニも見ないで書くとどうも間違いが多い。なもんで旅日記ノートを開いたが・・・役に立たない。ゴルドを中心に回った街の幾つかのメモをアップしてみよう。
・ラコスト 
「サドの町」 
 落書き(どうも石畳の絵を描いたらしい)
・ルション 
「赤い顔料」 
 落書き(どうもこの街固有の崖の絵と、煙突と、瓦屋根の絵が描いてある)
・ただの風景の落書き(とにかく街から見た景色が広大であることに感動していたらしい)
・ボリー村
「石造りの街」
 落書き(ボリーの街に点在する家の形のメモらしい)
・セナンク
「6人の修道士が生活をしている」
修道院の平面図と、周辺のラベンダー畑の絵のメモ。
・ゴルド2日目
・オビエンヌ
ノートルダム寺院
・・・・と、一言だけ書いてある。一体、何処だよそれ?
オランジュ
「がいせい門」「ローマ劇場」「アウグストゥス
・・・・・と、書いてあるが「凱旋門(がいせんもん)」と書こうとしてひらがなの日本語すら間違えている。
プラタナスが気になったらしく絵が描いてあるけど、プラタナスっておフランスには何処にでもあるんだよなぁ。

・・・とにかくこんな調子でメモも役に立たないや。我ながら、なにしに行ってきたんだ?