ミクロの決死圏

共産主義の活動の手法に「細胞」というのがあるのを40年生きてて初めて知ったわけだが、小林多喜二は「蟹工船」すら読んでなかったです。筒井康隆の「蟹甲癬」は読みました。
3人一組のグループがボツボツと出来ていく様はビジュアル的に気持ちわるそうですが、どのような活動をするかというと・・・

共産党 規約
http://www.bekkoame.ne.jp/i/ga3129/kiyaku.html
第十五条 党の基礎組織は細胞である。職場、地域、学校などで三人以上の党員がいるところでは細胞をつくる。
     細胞は細胞長を選出する。細胞は、定期的に会議を開き、
 党員は細胞長の指導の下に規律ある党生活を行なう。

第十六条 細胞の主な任務は次の通りである。
(1)大衆と共に闘い、常に大衆の意見と要求を聞き、これに党の政治路線を結びつけて細胞の政策・方針をつくる。
(2)党の政策を、職場、地域、学校のなかへ持ち込み、不断に宣伝活動を拡大し、大衆の革命的自覚を高めるようにする。
(3)各種大衆組織の発展強化をおしすすめると共に、新党員を積極的に獲得し、党の隊列を不断に強化する。

あちこちに散らばって、そこを染める活動も一つなんですね。党員獲得も課題のようです。ねずみ講のようで対象となる側は嫌な気分になりますが、目的がある場合は効率がいいのかもしれません。
そうした「共産主義の細胞」について随想を書いているサイトがありました。

日本における共産主義の展開(中) ?「冬の時代」の果て?
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/3776/copy_02.html
この「細胞」といふ言葉について申し上げますと、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」
といふのは、共産主義の一つの目標であります。他人を手段としてゞはなく目的として行為する人間の
存在可能な社会の構築こそ、共産主義の求める所であると申せませう。しかし、この「一人」といふ言
葉を「細胞」といふ言葉に置き換へるとゞうなるかと申しますと、

  「細胞は全体のために、全体は細胞のために」

と、なります。全体における細胞は、単細胞生物でない以上、単なる部品に過ぎません。故に多細胞生物
の細胞は思考することがありません。たゞ、中枢から送られてくるホルモンであるとか云つた命令に従つ
て活動するだけです。その限りにおいて、細胞に自我はありません。生物学のお話でしたらこれで宜しい
のでせうが、現実の組織論になりますと、さういふ訳には行かないのではないかと思はれます。つまり、
「細胞は全体のために、全体は細胞のために」といふとき、そこでは他人が目的ではなく、手段として見
做されてしまつてゐるといふことです。しかも、その「他人を手段とする人」は、ごく少数の特権者(指
導部)に限られると云ふ、共産主義の理念からは到底考へられない状況になるのです。

う〜ん。怖いです。
(このサイトは幾つか随想があり、読んでいると日本の共産主義の歴史的な悲哀を感じます)
しかし、細胞とはそんなに冷酷な手法なのでしょうか?これに関しては使う側の裁量にもかかるかも知れませんが、責任所在や細胞相互の結びつきが希薄になる気もするので結果的にやはりそうなりやすい構造かもしれません。

さて「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という独特の言い回しがあるんですね。早速、検索してみました。

一人はみんなのために、みんなは一人のために の検索結果 約 4,190 件中 1 - 10 件目 (0.09 秒)?
1人はみんなのために、みんなは1人のために の検索結果 約 1,210 件中 1 - 10 件目 (0.06 秒)?

ふーん。たくさんヒットします。人口に膾炙している言葉だったのですね。私は知りませんでした。
「二人のため、世界はあるの」という言葉は知っていますが。
学校関係や組合関係、スポーツチームに多いですね。

英語だとALL FOR ONE  ONE FOR ALL
それだとこんなものまで↓

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000666PFW/249-6959138-6034700
モー娘。ハロプロの人気者総勢46人が大集合! スペシャルユニット“H.P.オールスターズ”によるミニアルバム
『ALL FOR ONE & ONE FOR ALL!』。

内容(「CDジャーナル」データベースより)
モーニング娘。安倍なつみ後藤真希W(ダブルユー)松浦亜弥をはじめとするハロー!プロジェクトの
始動7周年を記念したシングル。総勢46名全員でひとつの曲を歌う豪華なナンバーだ。

で、この国のスローガンでもあるんですね↓

http://www.geocities.co.jp/WallStreet/3277/98kenpou.html 
第63条 朝鮮民主主義人民共和国において公民の権利と義務は
          「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という集団主義的原則に基づく。

自民党議員の鈴木恒夫さんも口にしていましたから、たぶんとっても人口に膾炙している言葉なようですね。

国会議事録
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/159/0058/15906020058007c.html
子供のころ、我々は、強い人間になりなさい、そして世間の役に立つ人間になれ、そして他人に迷惑だけは
かけるな、おやじからさんざん言われて育った世代であります。それは、言葉をかえれば、一人はみんなの
ために頑張れ、しかし、みんなは一人のためにまた頑張らなきゃいけないという、ヨーロッパ、欧米に根底
をなしている精神と同じだと私は思うのであります。一言で言えば、人間力をどう回復するか。これは総理
の言葉でありますが、人間力の回復、これを教育の原点に見据えて進めなきゃいけない。


とっても勉強になりました。
でもこれ以上探求するのは怖いのでやめときます。