ベネディクト16世 ヨゼフ・ラッツィンガー

・・・・というわけで、シスターを送って一息ついた。外は嵐。
どうも検索で「ヨゼフ・ラッツィンガー」でたどり着く方が多い。検索をみるのは面白い。なんでこんな検索?という組み合わせまであります。しかし、ついこの間まで超マニアックなラッツィンガーが大量に検索かけられている光景って・・・(^^;なんか不思議です。もし御興味のある方は「典礼の精神」について書いてある項目でも読んで下さいです。
その中で何故か「ベネディクト会+ラッツィンガー」という取り合わせで検索をかけて来た方がいらした。おそらくベネディクトゥス16世という名から連想なさっていらしたようなのですが、それは違います。ヨゼフ・ラッツィンガーは教区の司祭であり、修道会には属してはいない。ベネディクトゥスは16世の数字が示す通り、教皇においてポピュラーな名前である。「祝福」を意味するラテン語で教会ではよく使われる言葉でもある。しかしこの名の由来は確かにベネディクト修道会の創設者。聖ベネディクトに帰するだろう。(「薔薇の名前」にここの坊さんが沢山出てきたですね。)
ラッツィンガーは何故この名を選んだのか?
ベネディクトゥス15世は第一次世界大戦の時に教皇であった。無益な戦争を辞めさせ中立を守ろうとした彼は当時の聖職者から批判を買った。それぞれの国が自国を支援して欲しいと願ったのだ。当然専制君主的なものを打倒したいと考えた正義の立場の人も、伝統を守ろうとする側も、教皇の協力を願ったが、彼はどちらにも与しなかった。しかし結局、戦争を阻止することは出来なかった。中立故に批判された教皇であったのだ。仲介者としての講和に失敗した彼はドイツ同盟軍からは「フランス教皇」フランス連合軍からは「ドイツ教皇」と考えられ、評価はされなかった。
彼はこうした外交面よりも内政において優れていたという。伝統主義者と、近代主義者(当時のリベラル)との対立を緩和し海外の宣教に力を入れた。また帝性ロシア崩壊の危機的状況の中で東方教会との対話に力を入れ、シスマ以降の再統一を望み、東方教会省と教理庁東方委員会を設立する。そのため東方は彼の業績を高く評価し、イスタンブールに彼の銅像が建っているそうだ。
今、カトリック教会は第2バチカンによって改革された途上で、急進的なリベラルと伝統主義的な保守とに2分している。日本のカトリック教会はどちらかというとリベラル傾向が強い。信徒達も2分して互いを批判しあっている。今回のニュースでも保守とリベラルという言葉が飛び交ったように、今のカトリック教会は道を誤れば2つに分裂するかもしれない危険をもはらんでいる。そうした状況の中で、戦争には絶対の平和を。内部においては和解を念頭においた活躍を残したベネディクト15世に従いたいという願いはあったのだろう。(尚、ラッツィンガーベネディクトゥス15世が設立した東方教会省の委員を務めていたこともある)
◆彼は保守なのか?
ラッツィンガー・・・教皇ベネディクト16世はまぁ顔も怖い(耳がとんがっている)し、教理庁で発した文章も過激に見えるし、保守でガチガチのやな奴に見える。が、その書を読むと非常に理性的で、神に謙遜であろうというただそれだけの概念を貫いているに過ぎない。立場上、彼の名を冠した公文書は一読すると傲慢とも思える過激に読めてしまうものではあるが、じっくりと読むならば、単なる欧州優位主義的、あるいはカトリック至上主義な視点ではないことがわかる。
また、東方教会の問題を取り扱う立場にいたこともあり、東方教会への造詣が深い。先日からずっと(ここでも)彼の著作「典礼と精神」を読み続けているが、彼が東方(正教会)の霊性に特に影響を受け高く評価していることが伺える。
「ここ数年、なぜかローマは正教会とばかり対話している。」と、あるローマ在住の神父がぼやいていたことがある。西方の兄弟達(プロテスタント)とのほうが先決だろう。というのだ。たしかにプロテスタントは身近な隣人であるし、日本でも数が多い為に接する機会は多い。他の教派との交流というとまずプロテスタント教会の事が頭に浮かぶし、友人も多い。正教会は歴史的な不幸もあり、ロシアという距離的には近しいはずなのに、結局、数が少なくなってしまった。(今は盛り返しつつあるとは思う)
ラッツィンガーにとって霊的な近しい隣人はたぶん正教になるのだろう。著作を読んでもそれは伺えるが、それはつまり、教会の中での「7つの秘跡」というものをもう一度伝統にのっとって見直す事が必要だと考えているのかもしれない。そして、そういう考えの彼が選ばれたということは、結局、今のカトリック教会にもっとも必要としているものはそれなのだという事なのだろう。保守、リベラルという人間の事情が産む対立構造を越えて、神の業に立ち返ろうとするなら、これからを期待したい。
しかし、空位期間というのは落ち着かないものですねぇ。

因みにラッツィンガーファンクラブはここ。
http://www.cafepress.com/ratzfanclub
つーか、そんなもんがあるのか!?
ラッツィンガーの写真付きビアマグなんか欲しくないぞ。
しかも写真がスタートレックの悪役みたいで嫌だじょ。

ラッツィンガープロフィールはここ↓
http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/feature/newpope/biography.htm
夜中に直していたなぁ。中央協議会の方もご苦労様。夜勤の貼り付け係りがいたんだろうなぁ。
そういえば 著書『キリスト教入門』を1968年 ←これが何故かうちに2冊もあるよ。間違えて買ったらしい。
たぶんカビが生えていると思う。絶版なので貴重かも知れなかった。大事にしよう。

日本語で読める本はこれ↓
http://www.sanpaolo.or.jp/catalog/2004/Book/061111.htm
「買って」読め。図書館とか立ち読みとかでズルしたらあの顔が夢枕に立つじょ。

検索のツボ(本日のツボにはまった検索)
http://www.google.co.jp/search?q=ラッツィンガー 保守 中絶 女性&hl=ja&rls=DVXA%2CDVXA%3A2005-01%2CDVXA%3Aja
・・・・・・・お気持ちはわかるが、絞り込み過ぎですよ。