アベラールとエロイーズ

飛行機の中で読もうとこういう本を見付けたので買った。

エロイーズ 愛するたましいの記録

エロイーズ 愛するたましいの記録

弁証法の騎士ピエール・アベラールと才媛エロイーズの愛の書簡集は涙なしには読めない美しさである。双方の微妙なすれ違い、己の立場をかなぐり捨て切々と心中を語り続けるエロイーズと、結局は神学に立ち返っていくアベラールのすれ違いがなんとも悲しく、しかし相手を互いに信頼し切ったその内容に二人の関係性が切り離せないなにごとかであることも、とにかく美しい。
・・・・・で、それが小説になったというので、しかもおフランス人の女流作家の手によるというので、少し楽しみにしていたのだが・・・10分ほど読んで嫌気がさした。文章にいらぬ修辞が多過ぎます。エロイーズの独白と言う形式をとるのはいいですが、このモノローグもつぶやくようなおふらんす語で朗読されればそれなりの雰囲気は出るのかもしれませんが、生憎小説ではそのようなものは読みたくもありません。しかもエロイーズもアベラールも馬鹿そうです。これではただの盛りのついた馬鹿っプルです。涙。
口直しにはやはりエチエンヌ・ジルソンの本でも読むしかないです。
アベラールとエロイーズ

アベラールとエロイーズ

ジルソン先生はアベラール様よりエロイーズのほうを評価しております。まぁ、普通に考えればそうですね。アベラール様は情けないです。弁証法の騎士って?と笑いたくなるぐらいエロイーズの前ではダメダメ男です。でもそのギャップがいいんですけどね。だからあの書簡がとても美しいのです。
・・・・・ただ、エロイーズは実は貪欲な女性だったかも。と、思わないでもない。
通常の貪欲とは異なる貪欲。