子犬とカナ

子犬には名前がまだない。はやく決めて欲しい。便宜的に「チョビ」と呼んでいる。二階堂君の真似だ。
現在、おイヌ様部屋に放置してあるので、鳴く。夜鳴きというヤツだな。カナははじめはおろおろしていたがそのうち慣れきって無視している。一緒にしとくとはじめはカナは相手をしてやったりするんだが、草臥れるらしく途中で相手をするのを放棄してしまう。しっぽをかじられてこりゃたまらんと逃げてくる。
夜鳴きするチョビには「もうわが家の犬になったんだから慣れてもらわないと困る」と懇々と説いた。
神妙に聞いていたが、まぁ判るわけない。が、一応ナニか感じるところはあったのか少し覚悟したみたいだ。しかし時々悲しそうに遠い目をしているのが可哀想である。信頼関係をとりあえず作らないといけない。
・・・・・・・仕事に集中出来ないのが困るなぁ。
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夕方、カナの実家のおねーさんが母犬を連れて陣中見舞いに来てくれた。
チョビとカナと共に実家に一緒に散歩がてら行く。チョビは嬉しい。
しかし実家についた途端土砂降りの雨。島はもう梅雨まっただ中なんだな。
雨宿りがてら夕飯をご馳走になる。ホテルオーナーのD君とサッカーネタでだべる。かれはカルッチョ基地外なんで、話すネタは球蹴りばかり。來月ドイツに行くらしい。
なことをして時間を潰していたが犬達が心配なので見に行く。
カナは濡れた身体が寒くて奮えていて気の毒。ホテルのロビーに移動させ、チョビを見に行く。
他の子犬達は飛んでくるのだが、チョビは恨めしそうに私をみている。
兄弟達と離され、トイレをすればこっぴどく叱られ、変な部屋に閉じこめられ、いいことないもんな。
嫌な人間のそばよりは母と兄弟の元で自由に好き勝手にしたい
・・・・のは分るが、社会性のない犬はいずれ自滅するのだぞ。
気の毒だが彼らと別離させ、再び躾の日々がはじまるのである。
・・・と、私は厳しすぎるんじゃろかのう?
ちょっと悩んだ。