]『ローマ亡き後の地中海世界』塩野七生 全部読んじゃったんでつまらない

結局全部読んじゃったんで、あとが二月に出るとかですごくつまらない。下巻を早く出してくれ。待ちきれないです。

ローマ亡き後の地中海世界(上)

ローマ亡き後の地中海世界(上)

読了しての感想は・・・・

イスラムの海賊ってトンでもだったんだな!!!!

・・という感じですかね?


600年代から最後に終結したのはなんとフランスがアルジェリアを植民地化したからだったというから1000年以上もイタリアフランススペインの海岸からキリスト教徒を拉致して身代金を要求するか、奴隷としてこき使っていたし、女性はみんなイスラムに改宗させて家の使役に使っていたというから、酷いもんである。安い労賃でこき使えて使い捨てできる奴隷は有難いので、イスラムに改宗させることすらしなかった。イスラム教徒は奴隷に出来ないからだ。

かように恒常的にずっと北朝鮮より酷いことをキリスト教徒にしていたというのだから、十字軍のことをイスラムな人々に謝る必要もない気がしてきたし、マグレブの黒人達はフランスででかい面するな!貧しいのは自業自得だろ!!!ボケが!などと思ったりしてしまいそうだ。
だがまぁ、過去の怨恨を引きずって未来を見ない政治はクズだと塩野さんも言ってますので、やめときましょう。

そもそも十字軍は頓珍漢な偉い王様達が聖地奪還な方向に行ってしまってダメダメだったようです。ほんとに救わなくてはならない拉致された庶民達は結局ローマ教会がまとめた騎士団とか修道会が行ってきたようなのです。
教皇、イノケンティウス3世というとフランシスコ会を認めた偉い親父というイメージなんだが、実は拉致被害者の救済の援助の為の実行力を発揮した点で評価されてもよさげな偉い人でした。

欧州は各国がくんずほぐれつ喧嘩しているか、都市国家は自分とこの領民以外の保護はしない。イスラムとは通商を以て不可侵条約を結ぶけど、拉致被害者の救出には積極的ではない・・・・というのはどこかで聞いたことある事例だが・・・まぁとにかく役立たずであった。全ての情報を入手出来たのは世俗の境を持たない組織であるローマ・カトリック教会であった。俗な権力構造ではない教会組織は、俗世界の国家政体の思惑に左右されずに動ける。

そういうわけで、修道者や騎士達が自発的に救済騎士団や救済修道会を作り、拉致奴隷たちの解放活動を行う。教皇はそれを資金援助し、便宜を図る。かくして何万人もの拉致被害者である奴隷達が救われることになる。

この時代の教会が果敢であったのは世俗権力が情けなかった性もあったからなんだろうが、教皇たちがけっこう生臭いことを平気で行っていた時代でもあった。(その為、教皇暗殺も多かった。)
かくして西方教会ローマ・カトリックはずぶずぶに世俗的な体質を持つ教会になったという按配でございますな。

まぁ結局、誘拐犯に身代金を払うというやり方は、その性で余計にビジネスとして成立してしまったんで1000年も続いたという馬鹿げたことになってしまったわけでもある。

最終的に海賊問題が解決したのがフランスによる植民地化というから皮肉なものである。

拉致はいかんよ。