島の地酒「有泉」を送り付けたこと。島宴会のこと

遙か群馬は高崎の飲処「The 常磐」の店主さんとはひょんなことからネト仲間になった。店にはいったことないんだが・・・。
ここね↓
http://www.geocities.jp/thetokiwa_hp/
んなもんでリクエストもあり、我が島が誇る名産品、与論島地酒・黒糖焼酎『有泉』を送り付けた。
試飲してくださった感想を店主日記「ざときわ」に紹介してくださったよ。

これね↓
http://www.geocities.jp/thetokiwa_hp/zatokiwa_2007/20070601

流石酒のプロ。「熱い日に飲んでネ♪」程度しか説明しなかったんだが、一口飲んでロケーションと飲み方まで看破。しかもその結果引き起こされるであろう事態まで予測しておられました。

そう、度数は20%代とまぁちょい軽めの焼酎でしかも口あたりがよいので、うっかり飲み過ぎ、酩酊する人続出の我が島。そして飲むは当然屋外。各御家庭は、外で飲めるよん。な、設備を整えている家も多い。暑い日もそのまま室温で飲むが、でかい杯にぶっかけ氷を置いてそこに注いできゅっと飲むのも乙。
とにかくか〜〜〜〜〜っと暑い日に最適なんす。

んなわけで、島は晴れると屋外飲みの誘いが多くなる。
昨日はすんごくさわやかなトロピカルな日だったので、引き篭もりなわたくしにも声がかかったです。

古里に住むEさん御夫妻からのお誘い。あの山を見たくて高崎までいったしまった英国人旦那のMr.Bが製作した御自慢のバーベキュー設備(実は庭のあちこちにある)でバーベキューしたですよ。ここのおうちは、Mr.Bの亡くなられた奥様でもある森遥子さんが建てられた家で、森さんの愛した森さん的島宇宙になっている。庭は大きなガジュマルをはじめ亜熱帯の植物園的な世界であり、海側の庭は広い芝生の先に海が広がっている。海のそばの木造建築の宿命で痛みはあるもののどっしりとした造りの家はバリ島を懐かしく思いだすような造り。その前妻である森遥子さんの遺志が残るこの家を引き継いでEさんはなるべく雰囲気を大きく変えないように生活している。実はキッチンが欧風に高いので使いづらい 泣)とか、葉を落とす樹が多いので掃除が大変でいっそ切り倒したくなる。泣)などなど維持の苦労は色々あるそうなのだけど。「娘さん達が来た時に寂しいだろうと思うし・・」とおっしゃっていた。

まぁ一番の苦労は私的空間である敷地内に観光客が勝手に入ってくることで、しかも門扉を閉ざしていてもそこを乗り越えて入ってくるらしい。これはわたしの家もそうなんだが、見晴らしがよさげとか、なんとかと、人がすごい格好で寛いでいる庭に勝手にはいってくる。困ったものだ。東京だったら変な人で通報されるじょ。観光地では観光客は私的空間まで観光対象だと思っているのかづかづかと断りもなく人の敷地内に入ってくる。「景色を愉しみたいす」という気持ちはよく分るんで「庭をみせてください」とか一声かけてくれれば、お茶でもお出しするのに。

閑話休題
夕月の美しい夜、実は「有泉」はなくてビールだけだったけど、みんなで呑気に週末にはちと早い宴会を愉しみましたです。つっても私は締切りあるんで、帰ってから仕事する予定で、ほとんど飲まなかったっすけど。


で、島酒の飲める「The 常磐
群馬在住の方、Mr.Bの「山があるかもしれない」高崎へお越しの際は是非。夏季限定になると思うけんど。

この島酒、実は我が島に一件しかない酒造店「有村酒造」が造っているのだが、水は天水を用いている。ゆえにまろやかなのかもしれない。なんでも「日本スローライフ協会」とかなんとかいう団体があって、そこの会長さんが島に来た時、この有村さんを取材したいというので案内した。んで「天水」にいたく感心していたが、島の水は海水入った硬水だからなぁ。近年は農業汚染でその水もあやしい。ゆえに島人達は天水設備持ってる人が多いのだな。

「ざときわ」さんに送ったのは御贈答用の小振りの瓶だけど、一升瓶がある。(そっちも送って欲しかったら言ってね)この一升瓶が通常、島人が飲むもの。生産されてもほとんどが島人で消費されるので、島外にあまりでない。もしブレイクしても生産が追いつかないだろうし、島人の飲むのが無くなると島人達が暴れ出すかもしれないっす。なんせ島酒を愛しているから。
島人に言わせると仕込みの違いか味が時々違うという。しかも一升瓶は瓶の色が違う。青いのとか透明のとか茶色いのとか、緑のとか。これは瓶をリサイクルしているから。元は日本酒。元はどっかの焼酎という瓶をリサイクル使用しているんだな。だから有泉のオリジナル一升瓶はない。元は醤油瓶だったというのまであるらしい。島で消費される利点で、この有泉瓶は回収率が高い。
それと度数の高いのもある。35度くらいの。そっちは御贈答用しかないです。

夢之介さんの為にこれ貼っときます↓
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そいやどっかの商品説明では珊瑚の湧き水で造ってるとあるんだけど、有村さんとこいった時、天水使ってると聞いたので、どうなってるのかにょ?差し水する時に天水とか???うみゅ〜???

◆◆島宴会考察

昨日の島宴会は楽園庭の島人Tさん夫婦、奥様は教員でいらして、Tさんと御結婚。大工と陶芸のマエストロ夫妻Yさん夫婦。奥様は京都から嫁いできた。魚捌きの鉄人、島人、てつさん、ほっそりした島娘の姐さん(名前を忘れてしまったぁ)。それにわたしとホストBさん夫婦。

なんちゅーか、島の殿方は優しい。さりげなく気を使ってくれるし、漢。という感じ。シャイなので積極的ではないが、そこはかとなく優しい。島の女性は島母のように誰かを抱くような懐の深さと優しさがある。イタリア人並に呑気なんで仕事が遅いとか、すぐ飲むとか、朝っぱらから二日酔いでへろっとしているとか、シャイ過ぎて押しが弱いとかあるかもしれないが、島世界の中で、島時間の中ではそれは別に気にならない。
島に対する自尊心が強過ぎて島語りをはじめると大変だが、島好きならそれは寧ろ楽しい。たしかに永遠のたびんちゅであることをつい認識させられてしまうことも多いが、親がディープな関西(しかも京都とかな)というトンでも出身だからなのと、その子供である私などはもともと故郷がないに等しいようなたびんちゅなんで気にならない。(どこにいても地元の語りは他者的な存在だった)こういうのは琉球弧の島々どこでも見られる光景なんだろうが、こと我が島の島人はおだやかで「お人よし」とまで言われるほどの、優しき視点があるので、その自負心は他者を排他しない。
それは観光の島として栄えた時に身についたものであるのかも知れないけど、ポリネシア圏にある「カーゴ信仰*1」というか、他から来る客人(まろうど)をもてなす意識がどこかにあり、それは例えばハワイの海からきた神をもてなし送り返すという、そういう海を持つ民族の共有感覚めいたものを感じる時もある。もっともハワイの逸話ではその神が最後殺されてしまうのだが(→クック船長の悲劇*2 。)で、我が島の場合は、酒宴におけるその持てなし方の巧みさは、もとはその「客人」が薩摩の役人とかで、これまた、酒の席では持ちあげておいて、早めに潰すってな生活の知恵に起因するのだけど、今となっては、そういう起源の性質はなく、純粋に外界との交歓を愉しむという感じ。
それはかつて島の部落ごとに分かれていてそれぞれが閉鎖的な空間ではあるが、浜下りなど祭りの時には部落を越えた交流があったと聞く、その宴会の光景を思い起こすような、そんなものなのかもしれない。

で、ま、その懐の深い暖かさの恩恵。
楽園のTさんから大量のポモドーリを再びいただいた。「トマトソース作れ」用。
なんでも「ためしてガッテン」だかでトマトソースの造り方を紹介していたらしいよ。皮をむかない、種をとらない、ってのがいいらしい。ブログでも取り上げている方がけっこういた。
実は私は激しく怠けものなんでトマトソーススパはいつもそれだったのだが・・・。うーん。というか、みんなちゃんと皮剥いていたんだ。種も取るもんだったんだ。。。。_| ̄|○

*1:カーゴ信仰:海の果てから宝船がやって来ると言ったような、外界からの贈り物、或いは神という概念を持つ。「カーゴ信仰」は近代の造語なようだが、キリスト教宣教師達がもたらした物質的な恩恵信仰に由来する。この信仰は受動的な、つまり生産能力を身につけることなく受け身の態度であり続けることをつけさせてしまったという点で否定的にも用いられているようだ

*2:クック船長の悲劇大航海時代の冒険家で有名なキャプテンクックはハワイで殺されている。見たこともない大きな船が島人にとっての「神の道」を通って到達した為、島の人々は、「神が来た」ということでクックを神と見做し船員達を大層念入りに御馳走などしてもてなし、そして無事出港まで見届けた。しかし出港後すぐに嵐に遭い、船は再び戻ったのだが島の人々は神がまた帰ってくることを不吉とし、クック達もいきなり非協力的になった島人達をいぶかしんだ。クックはタブーを犯していたのを知らず、そして水と食料確保の為の暴力が起き、クックは殺され、解体されて島人達の聖遺物となったそうだ。これに関しては荒俣さんかなんかの本で読んだ記憶があるんだけど、どの本だったのか思い出せないっす。